REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの井原です。

2021年、住宅建築に使用される丸太や製材の価格が上昇した「ウッドショック」。木造住宅価格に深刻な影響を与えていましたが、2022年も秋になり、各国での金利上昇政策による住宅需要の激減や、コンテナ不足の解消による物流の正常化により、一転して「材木余り」の状況となっているようです。経済産業省の発表をふまえて解説します。

（写真はイメージです）

ウッドショックについて簡単に振り返ります。アメリカで、コロナ禍からの景気回復とリモートワークの定着などで住宅需要が急増したことをきっかけに、世界中で木材の取り合いになり、丸太や製材の価格が高騰しました。

農林水産省のデータによると、外国から輸入された1㎥あたりの木材価格は、2021年1月には約8万円だったのに、2022年4月には14万円を超え、6月には14万3,100円と、その後も高止まりしていました。そこに、ロシアによるウクライナ侵攻が追い打ちをかけ、世界全体の木材輸出量の21％を占めるロシアへの経済制裁で、輸入が難しくなっていました。

ウッドショックは戸建て住宅を建築する人を直撃。8月に放送されたNHKの番組では、3月に工事に着工したものの、木材が確保できないために7月になっても基礎部分の工事のままで止まっている家族が取り上げられていました。夫婦ともに在宅ワークが増えたことや、子供たちも含めて居心地よく過ごせる空間を確保したいと半年かけて間取りを考えてきたといいますが、完成予定が当初の8月から12月にずれ込んだとか。さらに予算が約150万円も増えてしまったそうで、もう踏んだり蹴ったりの様子でした。

工期の遅れは一般の住宅だけにとどまらず、幼稚園や高齢者施設などにも及び、多くの人に影響が出ていたのです。

こちら、経済産業省のデータ記事によると、木材価格はまだまだ高いことが分かります。構造部分に使用する製材と集成材はピークアウトしたようですが、高止まりの懸念がありますし、合板や丸太はまだ上昇基調です。

みなさまが気になるのは「結局、新築戸建ての販売価格が下がり、工期が正常化するのはいつ？」ということでしょう。それはまだまだ先になりそうです。

というのも、現在は高値で仕入れてしまった木材が余っている状態。各国での金利上昇政策による住宅需要の激減や、コンテナ不足の解消による物流の正常化により、一転して余っているようです。

こちらの在庫が処分されないかぎり、価格が反映されていく流れにはならないでしょう。また、最近の強烈な円安の影響もあり、高止まりは続くと見られています。

残念ですが、待っていても、新築戸建ての価格は下がりそうにもありませんね。いつになるか分からないものをずっと待っているのも、大きな機会損失になるといえます。タイミングだけはミスらないようにしましょう。