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菅野 洋充(宅建士・リフォームスタイリスト)

社会に必要とされ人に役立つ企業を目指します

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公開日:2022年10月11日

菅野です。

今、不動産投資家界隈で大変な話題となっている「限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地」を読みました。

 

千葉県北東部に、家が疎らにしか建っていないような小規模分譲地が、無数に存在するそうです。

これは多くがバブル期前の1970年代に造成されていて、それは投機目的購入者を狙ったものが多く、インフラがお粗末だったり未整備だったり管理不十分で使用できなかったりするそうです。

そういった分譲地は「限界ニュータウン」もしくは「限界分譲地」と呼ばれ、地域や自治体はその問題に目をそむけているというのです。

著者の吉川祐介さんは、結婚を機にそういった限界分譲地、限界ニュータウンに移住、実態を目の当たりにし、問題点を挙げたブログを開設したそう。

そのブログを見つけた出版社「太郎次郎社エディタス」が、自費出版ではなく商業出版を勧めたそうで、見つけた編集者さんはものすごい目の付け所だったな、と思います。

著者はその宣伝となればと今年の2月よりYouTubeチャンネルを始めたところ大変な人気となっていて、どの動画も10万回以上の再生数となり、最も多い再生数の動画は100万回に迫る勢いというブームとなっています。

私も実は、YouTubeで吉川さんの動画がおすすめに出てきたため見たところ、一気に引き込まれてしまった口です。

こちらの本も、9月30日の発売直後、Amazonで販売ランキングがジャンル1位となり、私も遅ればせながら購入し拝読しました。

 

このテーマですが、不動産業者はあまり触りたくないものだろうと思うのです。

そもそも、限界分譲地の不動産というのは価格が非常に低く(0円物件なんてものもあるそうですが)、不動産業は取り扱う物件価格が手数料を左右するという仕組みが法で定められているため、仲介では全く商売にならないのです。

文中にあった限界分譲地を扱う地元業者さんのおっしゃるとおり「ここには儲け話などない」のです。

しかし、分譲当時の不動産業者は田畑としても利用されていない二束三文の土地を買い取り、造成して濡れ手に粟だったわけです。

この問題の最初の原因は、昔の不動産業者の乱開発なわけで、本当はどこかで誰か(不動産にかかわる者)がこのけじめをつけないといけないと思うのです。

 

吉川さんはもともとライターでもなく、別のお仕事をされていたそうですが、筆力があり読ませます。

YouTubeでもそうですが、わかりやすい語り口で人を納得させる力があるように思われます。

構成としては、「限界ニュータウン」「限界分譲地」の現状、このようになった歴史と筆者がこの問題に関わるようになった経緯、問題点の洗い出しと解決につながるかもしれない管理がうまくいっているケースの紹介、という流れになっていて、先に希望を感じる終わり方でした。この構成もうまいですよね。

 

ただ、吉川さんの提言として「自己責任」という言葉を使っていわば自由主義的な方向性が解決につながるのでは、ということを述べられていますが、ここに関しては正直なところ、私としては異論ありです。

 

この問題の原因の一つとして「強すぎる所有権」というのがあります。

私は共産主義者ではないので所有権自体を否定するものではありませんが、日本の不動産の所有権というのは権利に付随する責任や義務があまりにも軽いのではないか、と考えています。

法人が所有している不動産の権利関係があまりにも入り組み塩漬けになっているというケースを、直近の吉川さんのYouTube動画で紹介されていますが、これは本来であれば法人が倒産や解散した後に精算すべき権利が放置されている、というケースです。

それ以外にもこの限界分譲地の問題にとどまらず、ゴミ屋敷問題や大都市の空き家問題、朽廃しかけた区分所有建物の行政代執行による取壊しなどの都市問題は、不動産の所有権やその処分にかかる問題です。

登記をするような一定以上の規模の現物については(これは動産不動産問わずなのですが)所有することに付随する義務、最後の処分までの責任を明確にして、所有者がいなくなった場合の処分をもっと効率的に行えるよう法で定める必要がある、と考えます。

不要な不動産、いわゆる「負動産」については、実は「ゴミ問題」に近いアプローチが必要なのではないかと考えます。

そして不動産については、所有者責任を善管注意義務に準ずるような重いものにすべきだと考えます。

それに併せて、不動産を管理できない所有者が国に土地等を比較的容易に納められるような仕組みも作るべきだと思います。

結局のところ、不動産は自由主義、市場主義的に所有者が管理するもの、という考え方は人口減少社会では行き詰まってきていて、個々人が管理できない不動産は国全体の問題として社会でしっかり管理すべきで、ある程度の権利制限もやむなしではないか、と私は考えます。

 

とても不動産屋の意見ではないな、とも思っておりますが、皆様はどのようにお考えになりますか?

最近の世界情勢も踏まえると、国土の保全に関わるような大きな問題のような気がしております。

田舎の土地

※画像はイメージです。

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最終更新日:2019年3月22日
公開日:2018年3月24日

 菅野です。

 私、ツイッターやっていますが、先日こんなツイートを見かけました。

 

これはこれで面白いなあと思ったのですが、このツイートのリプライにこんなのがありました。

 

 

 

 いいですか、「不動産仲介手数料が無料、割引」というのは、地方では成り立たないってことなんです。

 何故か?それは不動産の価格、賃料が安いからにほかなりません。

 例えば、大分ですがこんな物件が実際に募集されています。

 2015年築メゾネット43平米が家賃22500円!都内じゃ事故物件ですら考えられない賃料です。

 こういった賃料の物件でも、広告には費用がかかり、物件を案内するのにガソリン代も人件費もかかります。

 いくら地方の人件費が安いといっても、賃料1カ月分の仲介手数料では(場合によっては)赤字になるレベルの安さです。

 

 

 また、以下の国交省統計に不動産業者数、宅地建物取引士数がございます。

(PDF注意)

宅地建物取引業者数等【平成28年度】

 こちらを見ると、全国の不動産業者数はおよそ123000(平成29年3月末現在)あるのに対し、東京・神奈川・千葉・埼玉で約43500もあり、全国の3分の1の不動産業者が南関東に集まっていることが分かります。

 さらに、全国の宅地建物取引士は約100万人いるのに対し、東京・神奈川・千葉・埼玉で約432000人と、4割以上も南関東に集中しています。

 やはり、不動産業が事業として成り立ちやすいのは物件価格や賃料の高い東京周辺地域という結果を表しているものと思われます。

 これは、仲介手数料が「物件価格」や「賃料」に比例する形で定められているからにほかなりません。

 逆に言えば、不動産価格や賃料の低いところでは不動産業は成り立ちにくいということです。

 不動産屋は暴利をむさぼっている、と考えている方はよくいらっしゃいますが、地方では暴利どころか薄利もとれないようなところも多いというのが現実なのです。

 

 

 

 「田舎に不動産屋なんかなくたっていいじゃん」と思った方もいるかもしれません。

 ただ、そうやってやってきた結果は、取引が進まず「負動産」というものがどんどん地方をむしばむ現状です。

 

コトバンク-負動産

以下引用です。

「負動産」 所有者が不明だったり、市場価値を失ったりして、税負担や管理コストが資産価値を上回っている状態の土地核家族化の進行や地方の人口流出、不動産を所有したまま死亡する高齢者の増加、地価の下落などを背景に土地の相続が滞っていることで急増しており、放置された建物が防犯や衛生の点でリスクになったり、災害復旧の障害になったりする恐れもある。民間有識者の研究会試算によると、国内で所有者が不明となっている土地の面積は2016年時点で約410万ヘクタールで、40年には北海道本島の面積の約90パーセントに相当する約720万ヘクタールに広がり、土地の利用機会の喪失などによる経済的な累積損失額は約6兆円に上るという。(知恵蔵miniの解説)

引用終わり。

 

 政府では空家対策として最近、空家に限り仲介手数料率を緩和する施策を行いました。

 弊社「不動産のリアル」早坂さんの記事です。

空き家対策で仲介手数料の規制は緩和されるのか?

 ここにも書いている通り、正直これでは不十分です。

 こちらが国土交通省サイトの空家対策に関するページです。

空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報(国土交通省)

 見ました。

 ぶっちゃけ、政府で空家バンクなんか作っても意味ないですよ。

 空家バンクで見つけて個人同士相対で取引したら、重要事項説明は誰もしてくれません。

 登記にかかる事項、法令上の制限、インフラ、契約条件が妥当か等、普通の人が調査できることなのでしょうか。

 重要事項説明書で説明しなくてはいけない上記のことを一つ一つ自分で調べてやっていくと、おそらく不動産業者になれます(笑)

 

 お金を払うから調査して重要事項説明やってくれ、って不動産屋に頼めばよいと思いますよね。

 しかし、仲介手数料でしかお金をもらえないのが不動産屋なんです。

 仲介手数料の割に合わない価格の物件は、現状ではどこの不動産屋も取り扱いたくないのです。

 都内の5000万円の一戸建ても、大洋村の100万円の別荘も、契約する際の手間は一緒なんです。

 それなのに都心で5000万円売れば170万円の仲介手数料、地方で100万円売れば5万円、これでは地方の業者はやってられんということなのです。

 しかも、100万円で売れれば良い方で、地方には価格がつけられないような不動産(これが「負動産」)がいっぱいあるのが現状です。

 「負動産」を処分したい方はたくさんいて、ただでも良いから誰かもらってくれ、という方も実際います。

 そういう物件でも、仲介することで見合った対価が生まれるのであれば取引はされていくのではないかと考えます。

 やはり、私は専門家としての宅建業者、宅建士というのは価値のある仕事をしていると自負しており、世の中に必要な存在であると思っております。

 今やらなければいけないのは不動産業者が地方でも活動できるような環境を作り、「負動産」を減らすための活発な取引を生み出していくことであると考えます。

 

 

 私は仲介手数料は自由化すべきであると考えていますが、とりあえず現在の国交省告示の料率を変えるところから始めてもよいと思います。

 現在の料率(いわゆる3%+6万円というあれ)は昭和45年に定められたもので、現在とは貨幣価値も物価も違う時代のものをそのままにしてあります。

 昭和45年の公務員の初任給が31.510円、平成28年でおよそ15万円になっているので、ざっと5倍になっています。

 ですので、200万円→1000万円、400万円→2000万円にすれば良いのでは?と考えました。

 

 国交省告示に当てはめると

 

1000万円以下の金額 百分の五・四

1000万円を超え2000万円以下の金額 百分の四・三二

2000万円を超える金額 百分の三・二四

 

となり、これだけでもかなり地方の不動産業者のモチベーションはあがるでしょうね。

 まあ、みんな反対するだろうな(笑)

 それであれば、価格のつかない不動産のやり取りにも不動産業者をはさんでどんどん使いたいと思っている方に渡していきましょうよ、そのためには価格のつかない不動産の仲介でも報酬を得られる仕組みが必要ですよ、という意見です。

 ながながと済みませんでした!

 最後まで読んで頂いた方、どうも有難うございます!

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