不動産のリアルREALITY OF REAL ESTATE

  • 最終更新日:2022年1月20日
  • 公開日:2016年8月18日

「家売るオンナ」【第5話】にみる中古マンション購入の教訓(1)―同じマンション・間取りで500万円も価格は変わるのか?

毎週水曜日午後9時から日本テレビ系列で放映の「家売るオンナ」。
第5話は「夢のように美しく、鬼のように恐ろしい」不動産会社の敏腕営業ウーマン三軒屋万智(北川景子)に、複雑な想いを抱く後輩の庭野(工藤阿須加)が、なんとか万智に張り合ってお客様に家を売ろうとするのですが…、というお話です。

 

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今回は、中古マンションの売買にまつわるトピックスやエピソードを、ドラマの描写に沿って、ご紹介しましょう。

 

「ポステイング GO!」

 

万智の後輩の白洲(イモトアヤコ)は、入社以来、家をまだ一軒も販売できていないダメ社員です。

 

屋代課長(仲村トオル)も、自分の出世が遅れつつあるのは彼女のせいではないかと、気を揉んでいます。

 

白州の指導を任された万智は、彼女に「築30年木造モルタルアパート」を対象に、4,100万円の永田町のマンションのチラシを配布する「ポスティング」を命じます。

 

ポスティングとは、各住居の郵便受けにビラやチラシを投入する広告・宣伝方法です。

 

折り込みチラシなどにはできないポスティングのメリット

 

新聞の折り込みチラシや郵便によるダイレクトメールに比べて、
・費用を抑えられる
・対象範囲を限定できる
・高齢者などにも訴求しやすい

などの理由から、多くの業界で採用されています。

 

ドラマ内で描写されたように物件の性質に合わせて
・費賃貸集合住宅限定
・費戸建て限定
・費物件から半径2?限定

など配布対象及び範囲を限定することができるので、不動産業界では採用する会社が多いです。

 

ポスティングのデメリット、法に抵触する可能性も

 

しかし、昨今では、興味のないチラシは鬱陶しい、ゴミになる、などの理由から悪印象を持つ人も多いのが現実。

 

また、ドラマの白州のように、ポステイングを依頼された代行業者や従業員が、チラシを投函せずに遺棄するケースもありえるため、費用対効果が疑わしいという面もあります
しかも、他人の郵便受けに勝手に投函するという行為自体が法的な問題をはらんでいることも指摘されています。実際最高裁では

 

塀やフェンスで囲まれているマンションや共同住宅に立ち入ることは住居侵入罪にあたる

 

という判例がありました。

 

また、入ることを禁じられた場所に正当な理由なく立ち入ることは、軽犯罪法違反にあたるとされており、事実、管理規定で明確に敷地内でのポスティング行為禁止を明示しているマンションなども増えています。

 

こうした事情から、最近では大手の不動産業者はリスクを嫌い、ポスティングを敬遠する傾向があるようです。

 

ポスティングのみならず、ドラマの後半で白州と庭野が試みる、売却意思がないかと確かめようとする戸別質問・訪問の場合でも同様です。

 

マンションの入り口で住人を待ち構えて、のべつまくなしに大声で声をかけるような行為、順番に何度もインターホンを鳴らして唐突に「家を売る気はないか」と尋ねるような営業活動は、さすがに今日は影を潜めています。

 

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(写真はイメージです。本文の内容とは関係がありません。)

 

購入申込書に法的効力はない?

 

ポスティングされたチラシを見て物件を気に入った地味な独身OLの草壁歩子(山田夏歩)は、万智の担当となり、購入申込書を記入します。

 

一方、勝気な独身フリージャーナリストの日向詩文(ともさかりえ)も、庭野に案内された同じ物件を気に入り、会社に戻って購入申込書に記入しようとしますが、一足遅く、すでに草壁が申し込んだ後でした。

 

仕事上のつながりから草壁を元々知っていて嫌っていた日向は意地になり、「購入申込書に法的効力はないでしょう。私が買いますから、なんとかしなさいよ!」と万智や庭野に詰め寄ります。
ここで万智は「確かに法的効力はありません。ですが、順番は順番です」と突っぱねます。

 

不動産の専門家の万智も「ない」と認めてしまっているのですが、購入申込書には本当に法的効力はないのでしょうか?

 

不動産購入では「宅建業法」>「民法」なのです

 

不動産の購入申込書は買付証明書ともいわれ、購入の意思表示のため、買主を特定する住所・氏名や、物件を特定する住所、購入希望金額、その他の契約条件などを書面にして売主に提出するものです。

 

民法では契約の意思表示をし、双方がそれに同意すれば契約は成立しますので、法的効力があるようにも思えます。

 

しかし、宅地建物業者が土地・建物を販売・仲介する場合に適用されるのは、宅地建物取引業法。
この法律では、

 

買主の利益の保護のため、契約の前に重要事項について、宅地建物取引士が書面をもって説明しなくてはならない
(宅地建物取引業法より)

 

と定められています。また契約が成立した場合は契約書を作成し、宅地建物取引士が記名押印をするよう定めています。

 

ドラマのように、こうした手続きを経ていない段階では、購入申込書は単に買主が購入希望の意思を表明したものであり契約とはいえない、とみなされます。

 

「順番は順番」という万智の主張のような交渉優先権すら、この法律では保護されていません。従って、法的には効力がないという日向の主張は正しいものです。

 

そうはいっても常識は常識です…

 

これまで述べたように、契約が締結される前であれば、たとえ購入申込書が提出されていても、業者は他の買主を優先して契約しても良いし、一方で買主が契約をやめることも自由です。

 

とはいえ、一般的なモラルから考えると、購入申込書の提出をした順番を優先する方が、普通の考え方といえます。

 

法律よりも常識に沿って行動する方が会社の信頼度を上げ業績の向上にも繋がると考え、できるだけ購入申込書の提出順序を尊重するようにしているのが、業界の常識といえるでしょう。

 

7階と2階、同じマンション・同じ間取りで500万円も価格が違う?

 

草壁と日向が同じ物件を気に入ってしまったため、日向に「なんとかしろ」と言われた庭野は、苦心の末に同じマンションの2階の部屋も売却物件とすることに成功します。

 

500万円も安い値付けとなったため、それを理由に草壁に2階の部屋を売り込み、7階の部屋は日向に売り込むこととなります。

 

でも同じマンション、同じ間取りで、階数が違うだけでそんなに価格が変わるものなのでしょうか?

 

答えは「YES」です。新築分譲マンションなどのチラシを詳細にご覧になったことのある方はよくご存じでしょうが、不動産の価値は相対的なものです。

 

同じ東京都内でも、銀座と錦糸町の土地の価格が違うように、同じマンション、同じ間取りでも部屋によって価格が違うことは、むしろ当たり前といえます。

 

価格を決める大きな要因は「人気」です。通常、マンションの価格が高い順に並べると以下のようになります。

 

(1)「眺めがよい、日当たりがよい」などの理由で人気が高い高層階や角部屋

(2)「出入りが便利、専用庭がある」など特別な条件のある場合

(3)中層階はそれらに比較して安値となる

 

その他南向きである、日当たりが良いなどの多くの人が価値を見つけやすい条件を備えている物件が、自ずと価格が高くなると考えて良いでしょう。

 

しかし、家に求める価値というのは、人それぞれです。

 

「眺めが良い」という点に500万円の価値を見出す日向のような人は多いかもしれませんが、それよりも「500万円安い」「壁紙を自分の好みに変えられる」ことに価値を見出す草壁のような人もいます。

 

どちらが価値のある家だということは一概には言えないものなのかもしれません。

 

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(写真はイメージです。本文の内容とは関係がありません。)

 

 

ドラマでは、一度は購入を取りやめた草壁と日向ですが、万智の演説により、自分の生き方を振り返り、それぞれの価値観に沿って家を購入することとなりました。昔から「断られてからが営業」とよく言われてきましたが、状況を整理して買主の本心を引き出せた結果、全員が幸せになれたことは素晴らしい成果でした。

 

今回も敏腕ぶりを発揮した万智ですが、ドラマの最後では自身の壮絶な過去を語り始めます。今後の展開がますます気になりますね。

 

(監修:不動産流通システム)

 

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