不動産の世界に「売りは信頼、買いは情報」という言葉がある。

 

大切な自分の家を売る際には、信頼できる不動産会社や営業マンを選ぶが、買う場合には優れた物件を得たいという気持ちが先に出て、いい物件を紹介している会社を選んでしまう、という意味だ。

 

こうした顧客の心理を背景に、実際にはない好条件の物件を広告に載せ、顧客からの問い合わせに対し「さっき売れました」と、うそをついて別の物件に誘導する「おとり広告」を堂々と使う会社がはびこっている。

このように、顧客の都合よりも会社の都合を優先した営業活動をする会社や営業マンに当たってしまうと、不幸な結果になりかねない。

 

一生に何度もない大きな買い物であるなら、確かな相手から買いたいものだ。「仲介手数料最大無料」を掲げ、急成長している「不動産流通システム」(REDS、東京都千代田区神田松永町)のエージェント、荒 芳弘(あら・よしひろ)さんの話を聞いていると、そんな思いがあらためて強くなってくる。

 

 

 

「不動産仲介業とはお客様の不安を解消すること」

 

「私たちが扱う商品は普通のサラリーマンの年収の5~6倍くらいと非常に高額ですから、お客様には常に不安が付きまといます。現地にご案内して、お客様が気に入ったとしても、本当に買ってもいいのか、住宅ローンを払えるのだろうか、将来ひどい損をすることになるのではないか、などと悩みは尽きません。そんな不安を取り除き、安心して買っていただくことが私たちの仕事です」

 

広めの額に七三分け、黒縁メガネにダークスーツでかっちりとまとめ、少し福島なまりが混じった口調からは、バリバリの営業マンというより、実直なサラリーマンという印象を受けたが、荒さんは、月に10件ほどの新規問い合わせのうち、2?3件の成約をコンスタントにあげている。

 

前回も記したが、普通の不動産売買の仲介営業マンは月に1件でも成約があれば御の字とされているのだから、かなり優秀といえる。

 

仲介手数料無料 不動産流通システムのエージェント荒 芳弘1

(不動産流通システム エージェント 荒 芳弘)

 

「お客様の経済事情などは根掘り葉掘り伺うと反発され、逆に不安材料を増やしてしまいますから、こちらは世間話の中から察知するしかないんです」

 

冒頭の言葉もそうだが、荒さんの語る不動産仲介営業マンの極意は、前回の拙稿でご紹介した同社の川口さんとよく似ていた。

 

「説明し、納得の上で購入していただきますので、引き渡し後のトラブルは非常に少ない。無駄な時間を取られないから、新しい契約にどんどん進めるんです」。
ハイレベルな数字をキープする秘訣(ひけつ)まで、川口さんとほぼ同じだった。

 

 

 

買うことを決めたお客様の気持ちを守りたい

 

ネット文化が広く浸透し、REDSに問い合わせてくる顧客はほぼ100%、インターネットのサイトなどで物件情報を調べてくるという。それだけ、不動産についての情報を持つようになったし、意識も高くなった。

 

かつては、不動産会社と顧客との間の情報格差が激しく、営業所に連れてきた見込み客を営業トークで煙にまいて契約させることも多かったという。だが、もはやその手法は通用しない。営業マンはより高度な情報武装を求められるようになった。

 

「たしかに、お客様がネットで調べたこと以上のことを説明しないと信頼されません。それに対応するのはもちろんですが、不動産仲介営業マンのマインドは、『会社としての利益よりも、いかにお客様のことを考えて仕事をするか』にシフトするよう、ネット社会になってより求められるようになったと思います」と荒さん。

 

善良な消費者にとって、これまでの不動産営業が顧客よりも会社の利益を優先させていたというのは、あまり知りたくなかった現実かもしれない。そこが改善したというなら、具体的にどう動いているのか。お客様のことを考えるとはどのようなことを指すのか。

 

荒さんはかつて、こんな経験をしたという。30代で初めて持ち家を購入することになった男性が、荒さんの案内で一度は購入を決めたものの、親から「高すぎる、場所がよくない」などと反対されて、「やっぱりやめます」となった。結婚におけるいわゆる「マリッジブルー」のように、誰であっても家を買うと決めた瞬間から別の不安がよぎってくるもの。

 

また、自身や家族が納得する条件を追求していけば、最終的に気に入った物件は当初の予算をオーバーしてしまうことが多くなる。こうして、親や知り合いなど周囲からも反対されることにもなる。

 

 

前回の記事でも述べたが、顧客が購入したいと思うような物件を探しても、契約までたどり着くケースは少ない。荒さんでも7割が空振りに終わっているそうだ。ただ、購入を断念したのが本人の気持ちなのか、それとも他人の影響や干渉によるものなのか。荒さんはそこにこだわっている。

 

「1ヶ月以上もかけて物件をたくさん回った。そこで感じるメリットを積み上げて、あれこれ考えてやっと選んだ物件です。そんなお客様の気持ちを守ってさしあげたいのです」

 

仲介手数料無料 不動産流通システムのエージェント荒 芳弘2

(不動産流通システム エージェント 荒 芳弘)

 

ドラマ「家売るオンナ」でも北川景子が演じる主人公、三軒家万智が客を熱いトークで説得し、気持ちを翻意させて購入につなげるシーンが何度もあった。万智も荒さんと同じ気持ちだったのではないだろうか。荒さんもこの時は、ちょっとだけドラマと似たような感じになったようだ。

 

「買うのはあなたじゃないですか。この地域でこれよりいい物件はありましたか? やめるのはいいですが、やめた後にどんな物件を買うのですか?」

 

文面だけでは、ちょっとコワいと感じるかもしれない。しかし、その言葉にこめられた、荒さんの顧客を大事にする気持ちはちゃんと相手に伝わっていた。この後、男性は翻意し、成約が実現した。

 

 

「8割が満足なら買いですよ」

 

徹底的に顧客の気持ちを大切にする荒さん。案内した物件を見て、お客様が気に入ったのはどんなところか。逆に気に入らなかったのはどこか。それらをしっかり掴んでいく。また、顧客が重視していることを突き詰めていくと、実はそんなに重要なことでもなかった…などということもよくあるという。壁にぶち当たるたびに、なぜこのお客様が家を買いに来たのかという原点に立ち返り、質問に答えて不安を消していく。

 

最後のプロセスが、購入に向けて背中を押すことだ。先ほど紹介したものは極端なケースだとしても、前回の川口さんと同様、決めゼリフを知りたい同業者も多いだろう。

 

「買ってくれそうなお客様は、最後に目が真剣になります。目の輝きが違ってきますし、それまで仏頂面をしていたとしても、笑顔になります。価格そのものをはじめ、物件の間取りや広さ、駅からの距離、日当たり、近所の環境など、すべての条件を100%気に入ってもらえることはありえませんし、購入を決断した瞬間から別の不安が出てきます。だから『8割は満足されているなら買いですよ』と申し上げます」

 

最近では、地価の値上がり傾向から、不動産の値段は上がるとみている。こうした時事的要素も付け加える。

 

「不動産は高額なのでお気持ちはよく分かりますが、『そんなに怖がらずに買ってください』と申し上げたいのです。住宅購入は、賃貸と違って売っても手元にお金が残ります。買い時はお客様が買いたいと思った時ですよ。買わないという選択より、人生のステージで早いうちに買って、早くローンを返してしまうのが一番いいと思います」

 

 

「活躍できるのは会社のシステムのおかげ」

 

以上、REDSのエース営業マン2人を紹介し、その凄さに迫ってきた。しかし、彼らは異口同音に、自分の腕よりも彼らが所属する会社の編み出したシステムの優秀さ、仕事のしやすさを強調する。

 

「コンスタントに数字を出せる仕組みになっているんです。集客にエネルギーを使わず、こちらはお客様の背中を押して差し上げるだけ」(川口さん)

 

「お客様本位で仕事をすることが会社の利益になる、という考えで動けるのは非常にやりやすい。近江商人の心得に『三方よし』という言葉があります。『売り手よし、買い手よし、世間よし』が実現しやすいですよ」(荒さん)

 

不動産売買を仲介した場合、ほとんどの業者は法定限度額の上限である「売買価格の3%プラス6万円」を一律で徴収している。その額は「上限」なので、本来は幅のある数字であるにもかかわらず、顧客側も疑問を持つことなく示された額を支払っている。これを業界の悪弊と指摘するREDSは「仲介手数料最大無料」という思いきった戦略を掲げた。物件によっては百万円単位での節約となるため、メリットを感じる顧客も多いだろう。

 

なぜREDSがこうしたビジネスモデルを実現できたのか、また、2人のようなスーパー営業マンを生み出せるのか。次回はその秘密に迫ってみたい。

 

 

(3)に続く。

 

 

 

飛鳥一咲(あすか・いっさく)

昭和53年、高知県生まれ。大阪大学卒業後、全国紙記者として関西の支局や東京本社社会部などを歴任。平成26年に退社後、フリーライターとして幅広く取材し、ウェブを中心に執筆している。

 

 

 

この記事は前8回のシリーズです。他の記事もぜひご覧ください。
不動産売買仲介の「4割打者」の秘密ー家売るオトコたちの素顔(1)
早い・安い・正確な不動産仲介を目指してー家売るオトコたちの素顔(3)
仲介手数料が安いだけではない! ネット時代に対応した不動産仲介のプロ集団ー家売るオトコたちの素顔(4)
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なぜ不動産が売れなくなってしまうのか?(中)ー囲い込みを突き崩すテクニックとは?
なぜ不動産が売れなくなってしまうのか?(下)ー仲介手数料はなぜ上限価格で横並びなのか?

 

 

 

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