新型コロナウイルスの影響で中止されていたANAの成田~ホノルル便が半年ぶりに再開されたり、大規模展示会も密を避ける工夫をしたうえで開催されたりするなど、コロナ下での経済活動が模索されています。

 

そんな中、「都心の中古マンションと、中古車がともに人気である」とテレビ東京の『ワールドビジネスサテライト』(2020年10月5日午後11時~)で特集されました。

 

なぜ都心の中古マンションが人気なのか、中古車との共通点を番組がどう説明していたかを紹介し、中古マンションの魅力に改めて迫ってみたいと思います。

 

(不動産のリアル編集部)

 

湾岸マンション

(写真はイメージです)

 

築12年で分譲時より1,000万円アップした湾岸タワマン

 

人気が高まっている都心の中古マンションとして紹介されたのは、湾岸エリアにあるタワーマンション『ブリリアマーレ有明タワー&ガーデン』(東京・江東区)でした。築12年の70㎡、3LDKの物件が、分譲時は5,200万円だったのに、現在6,200万円になっています。

 

このマンションの仲介会社はここ3カ月、中古マンションの成約件数が前年比30%も増えているということでした。

 

東京カンテイによると、都心6区という国内で最も不動産価格の高いエリアの中古マンション価格(70㎡換算)は8月が8,506万円と、2カ月連続で過去最高を記録しています。

 

まず、なぜ中古マンションの価格が高騰しているのでしょうか。

 

この疑問について、番組では背景に新築マンションの供給量が減っていることを挙げました。コロナの影響で、首都圏の新築マンションは販売活動の中止や工期の遅れが発生。7年前には約2万3000戸だった供給戸数が今年に入って約5000戸までに落ち込んでいます。

 

購入したいと思っていた新築マンションの販売が中止となったり、引き渡しが遅れてしまったりという状況に陥っているのです。さらに、昨今の資材価格の高騰などで新築マンションの価格が上がり、手を出しにくくなっていることもあります。

 

カンテイの担当者は「新築に比べて割安で取得までの期間が短いことから中古マンションにニーズが移っている」との分析でした。

 

中古車人気も同様の理由だった

 

番組では続いて、車も中古が人気であることを紹介します。

 

ある中古車販売大手の千葉県の店舗では6~8月の成約数が去年の1.5倍以上に伸びていました。トヨタアルファード(2019年式)は、緊急事態宣言が発令されて需要が落ち込んだ5月は460万円台だったのが、現在は490万円台になっているということでした。

 

中古車に注目が集まる独特の理由として、密を避ける移動手段として見直されていることもあります。しかし、それ以上に大きな理由として「新車と比べて割安であり、納車まで早い」と解説されていました。

 

コロナの影響により、4月時点で乗用車メーカー全8社の国内工場が生産停止に追いやられました。トヨタは8月に通常稼働に戻しましたが、一時20カ国以上で新車の生産がストップするなど、販売が低迷しました。

 

新車の生産が減れば、市場に出回る中古車の数が減少するため価格が上昇します。それでも生産がおぼつかない新車よりは確実に早く入手できます。先述した中古マンション人気と同じ理由でした。

 

家を買うタイミングは先送りすべきではない

 

新築マンションも新車も、「新しい物好き」の日本人にとっては魅力的に映ります。しかし、冒頭で述べたように、コロナウイルスがいかにはびころうとも、経済活動を止めるわけにはいきません。新築マンションも新車も、いくらほしいといってもすぐに手に入らないのでは、中古を求めるのは自然な流れでしょう。

 

家を買うということは、そこで過ごす時間を買うということです。住宅ジャーナリストの榊淳司氏はREDS「不動産のリアル」への寄稿〈【購入編】コロナ時代に失敗しないマンション購入術【榊淳司・完全ガイド】〉で、マンションを購入するタイミングについて、こう述べています。

 

「マンションを買うということの意味から考えると、ひとつ言えることがある。マンションを買うということは鉄筋コンクリート造の箱を買うということにとどまらず、そこで過ごす時間を自分のものにすることでもあるということだ。たとえば、下がりゆく市場を眺めながら3年を過ごしたとしよう。その間、住んでいたのは住み心地に不満だらけの賃貸住宅だ。しかし、3年前にマンションを購入していれば、その間に満ち足りた時間を過ごせたと仮定してみよう。仮に3年後にそのマンションを購入したら、1,000万円ほど安く買えるかもしれない。しかし、3年間という満ち足りた時間は得られなかったわけだ」

 

つまり、マンションは買いたくなったときがその人にとって最高のタイミングであり、「いつ不動産市場が下がって安く買えるか」という視点には疑問を呈しているのです。この点、供給量が減っていつ手に入るかも分からない、選択肢も少なくなっている新築マンションは、今はかなり不利であるといえるでしょう。

 

買わぬ新築マンションにたたりなし。改めて「マンション下駄履き論」を

 

REDSでは新築マンションも扱っていますし、多くの場合、仲介手数料は無料でご購入いただけます。

 

ただ、不動産事業プロデューサーで、不動産のプロとして実績のある牧野知弘氏は「不動産のリアル」のインタビュー記事〈買わぬ新築マンションにたたりなし。そのかわり、中古を10年で買い換えなさい。【不動産事業P牧野知弘氏・1万字インタビュー(下)】〉で以下のように述べて、新築マンションには手を出さないことを勧めています。

 

「マンションは長く持つものではありません。便利だし、いろんな所に住めるというメリットを最大限に生かすべきです。人生かけて住むための新築を買っちゃうなんてもったいない」

 

また、新築マンションのデメリットと新築マンションを買うことのリスクについては以下のように説明します。

 

「新築マンションには開発者の利益がどっかり乗っていて、経済的に考えるとあんまり意味はありません。また、新築マンションというのは住んでみないと隣人が誰かも分からなければ、コミュニティが本当にうまく行くか分かりません。中古だったら調べれば建物の不具合や住民コミュニティの様子も全部分かります」

 

「今の自分の境遇がずっと続くと思っている人がほとんどです。30年後はだれも見通せないのに、ファイナンスを組んで投資をしているわけですよ。それでもいいのですが、きちんとリスクを考えないといけません。ところが見通せない30年間のリスクを無視して、今の状態が30年間続くという仮定のもとで買うということは、賢明な決断といえるでしょうか」

 

その上で牧野氏は、以下のような「マンション下駄履き論」を主張します。新築マンション離れがコロナ禍で加速する今こそ、一考に値するでしょう。

 

「マンションは『生活の下駄』だと思っています。下駄は緒が切れたり足がすり減ったりしたら取り替えますよね。あれと同じ感覚で考えてほしい。下駄を1,000円で買うのか、それとも1万円で買うのかということです。古くなったら下駄はどんどん履き替えていけばいいというのが僕の考え。

 

なけなしのお金で買う場合、1,000円の方がいいでしょう。下駄を履き替えるようにどんどん中古を買い換えていけばいいじゃないですか。それぞれの人生のステージに応じて履く下駄の大きさや機能って違うはずです。

 

最初に買った下駄を大事にボロボロになるまで履くのもいいですよ。ただ、その下駄は他人に売れるかっていったら売れにくい。それだったら自分の好きな下駄を好きな時に好きなデザイン、大きさのものにそれぞれの人生の考え方や個性に応じて気軽に履き替えてください」