コロナ騒動がマンション市場の空気を変えている。これまでは「この先、価格は上がるだろう」と多くの人が考えた。不動産業者たちもそう考えたので「今買わないと、買えなくなります」とあおった。

 

しかし、この騒動が始まってからは、そういうあおりを聞いても虚しく思う人がほとんどだろう。外出自粛、休業要請、行動制限……。あらゆる経済活動が停滞している状況でこの先、マンション価格が上がるとは思えない。ということは、これからマンションを買おうとする人はどうすればいいのか。下がりゆく市場を眺めつつ、いつまで待てばよいのか。

 

コロナ

(写真はイメージです)

 

マンションを買うことはそこで過ごす時間を買うこと

 

実のところ、確実な答えはない。ただ、マンションを買うということの意味から考えると、ひとつ言えることがある。マンションを買うということは鉄筋コンクリート造の箱を買うということにとどまらず、そこで過ごす時間を自分のものにすることでもあるということだ。

 

たとえば、下がりゆく市場を眺めながら3年を過ごしたとしよう。その間、住んでいたのは住み心地に不満だらけの賃貸住宅だ。しかし、3年前にマンションを購入していれば、その間に満ち足りた時間を過ごせたと仮定してみよう。仮に3年後にそのマンションを購入したら、1,000万円ほど安く買えるかもしれない。しかし、3年間という満ち足りた時間は得られなかったわけだ。

 

1,000万円を3年間の負担に換算すると、月額約28万円になる。この28万円を高いと思うか、安いととらえるかは個人の価値観の問題だ。私のような他人や不動産業者のような第三者が口出しすべきことではない。

 

さて、コロナ騒ぎで市場は揺れ動いている。私は35年ほど業界を眺めてきて、2回のバブル崩壊を体験している。その経験値から申し上げよう。

 

バブル崩壊までの過程は、目に見えないところで進むものだ。また、目に見えないところで、びっくりするような価格での取引が成立することもある。先の例のように、3年後に1,000万円分の価格が下がる物件を、その価格ではなく、半分の500万円分くらいなら安く買えるような取引もよくある。

 

こうしたラッキーな例をつかむにはどうすればいいか。まず、あなた自身に運がついていることも必要だが、それ以上に必要なのがあなたの側に立って動いてくれる有能な仲介業者だ。

 

みんな弱気な今、思わぬ値引きも

 

有能な仲介業者の話を語る前に、まずはいったん立場を変えて、マンションを売る側のマインドを想像してみよう。コロナ騒動で市場の空気が一変した中で、マンションを売ろうとしている人の心である。自信満々な人はいない。冷や冷や、あるいはびくびくしている人が大半だろう。

 

「○万円はやっぱり無理かなあ。だったらせめて△円くらいで売れればいいのだけれど」。そう考えているはずだ。ということは、交渉の余地が十分ある場合が多い。

 

中古マンションの売主は、そのほとんどが個人だ。新築マンションのように財閥や大手金融系列などの大きな会社ではない。値引きの決断は素人である個人が下す。中には急いでいる人もいる。必要以上に焦っている人もいる。そういう人からは、相場観以上の値引きを引き出せるのだ。

 

特に、今回のような世界規模での不況到来が確実視されているタイミングでは、強気の価格でマンションを売ろうなどと考えている人は多くない。だれもが弱気なのだ。つまり、上手に交渉すれば多くの値引きを引き出せる。

 

先の例なら、あらかじめ500万円分くらいの値引きを引き出した額で購入できるかもしれないのだ。そうすれば3年間の負担額は月額にして14万円にまで軽減される。

 

その負担で、残りの人生で最も若い間の3年間を、満ち足りた気分で暮らせることをどうとらえるか。これもそれぞれの価値観だ。

 

交渉は有能で誠実なプロにまかせよう

 

ただし、そういった交渉は不動産取引に慣れていない一般人にはなかなか難しいだろう。だから、有能な仲介業者をパートナーにすることが必要で、彼らに懸命に動いてもらうことが成功のカギなのだ。私の経験値から言えば、有能な仲介業者は相手とのやり取りの過程で、その物件にどれほどの指値(値引き)が可能なのかの勘が働く。これはもう、個人技の世界なので何がどうというものではない。強いて言えば「匂いでかぎ分ける」能力を持っているのだ。

 

私の言う仲介業者というのは、会社ではない。営業担当者、個人だ。不動産仲介というのは、営業担当者の個人技の世界だとご理解いただきたい。大手系列の仲介会社は個人技を尊重せず、会社の利益を最優先する。だから避けるべきだ。彼らはお客が求める物件ではなく、自分たちが売りたいものを売ろうとする。

 

彼らが売りたいものとはいわゆる「両手仲介」が成立するものなのだが、その説明は別稿に譲る。彼らはとにかく、大手の看板を盾に自分たちのエゴを押し付けてくるのだ。大手ではない有能で誠実な仲介業者と組めば、それこそ「500万円の値下がり先取り」購入も、案外たやすくまとまる可能性がある。

 

では、そういう仲介業者を見つけるにはどうすればいいのか。別に難しいことではなく、案外ネットでの評判などを丁寧に調べれば行き着けるのではないかと考えている。お困りの方には、私のブログからネットでの無料相談も承っている。

 

 

榊淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年生まれ、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上、携わってきた。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)、『マンション格差』(講談社現代新書)など。最近は不動産を中心とした時事問題解説系YouTuberとしても活躍している。