首都圏で毎年、増え続ける分譲マンション。しかし、その資産価値を長く保つことができるものは限られるのではないでしょうか。不動産の価格は、利用価値で決まるといわれます。

 

その不動産を利用する人間の数が減っていく近未来、利用価値は低くなるため、価格は下がっていきます。住宅ジャーナリスト、榊淳司氏は近著『2025年 東京不動産大暴落』でこう警鐘を鳴らしました。

 

各メディアで健筆をふるう榊氏は不動産への愛ゆえの辛口で知られますが、そんな榊氏にも資産性や流動性からその価値に脱帽したマンションがあります。マンションの具体名を挙げて、なぜ優れているのかを紹介していきます。

 

マンション

(写真はイメージです)

 

桜堤庭園テラス

 

売主・有楽土地ほか JR中央線 「東小金井」駅 徒歩13分
全230戸 2012年8月完成 9階建て

 

桜の魔力か。駅から遠いのに売れる

 

このあたり、マンション市場を眺める平均的な眼をもって見ると、かなり不思議なところです。それは「駅から遠いのに、売れる」ということ。このマンションと道路を挟んだ隣に「フェイシア」という物件がありました。これは、典型的な2000年代のミニバブル物件で、当時の基準で信じられない価格でしたね。販売にもかなり苦戦し、相当の値引きを行っていた、という記憶があります。

 

このマンションと「フェイシア」との違いは「高級物件」の装いを脱却して新築時には一般ピープル向けの「普通のマンション」のように売り出したこと。中身は、長谷工プロジェクトならではの大量生産方式。長谷工お得意の「直床」(床のコンクリートに直接フローリングなどの仕上げ材を張ること。建築コストを下げることができる)もきっちり採用されたようです。

 

高い建物で9階建て。あとは6階建てと8階建て。この住棟構成については好感が持てます。もっとも狙ってそうしたわけではなく、高さ制限や容積率の関係かと思います。敷地の真ん中にドカンと駐車場を置いて、空いたところを緑地化してそれらしく装うという、いつもの「長谷工式」の全体計画です。

 

ただ、新築販売時でも駅から13分は離れすぎていると感じました。環境のよさや中央線の人気を差し引いても、この遠さは致命的かと。斜交い向かいには「パークシティ」という物件もありました。あきらかな供給過剰なのに、竣工後はあまり長く引きずらずに完売してしまいましたね。

 

やはり、名前にもなっているように「桜が咲き乱れる」という環境が大きな誘引力になったのでしょう。それは年月を経て立派な中古マンションになった今でも変わらないこと。現在の中古価格も、新築販売時とさほど変わらない坪単価200万円前後です。こういうマンションを売却するには、1月の後半あたりに市場に出して、桜が咲く頃にお客さんにたくさん見てもらう、という戦略がよさそう。

 

そうはいっても、中長期的には資産価値の弱さは否めませんね。買う場合には、あまり桜の魔力に魅入られないように注意しないといけません。このエリアにはほかにも中古マンションがあり過ぎますから。

 

 

榊淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年生まれ、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上、携わってきた。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)、『マンション格差』(講談社現代新書)など。

 

物件名:桜堤庭園テラス

物件外観・画像

物件概要

  • 交通

    不明駅より
    東小金井駅より徒歩で13分
    武蔵境駅よりバスで11分

  • 沿線

    『不明駅』 
    『東小金井駅』 JR中央線(快速) JR中央本線(東京~塩尻)
    『武蔵境駅』 JR中央線(快速) 西武多摩川線 JR中央本線(東京~塩尻)

  • 所在地(住所)

    東京都武蔵野市桜堤2丁目5番

  • 構造

    RC(鉄筋コンクリート)

  • 階建て

    地上9階

  • 築年月

    平成24年8月

  • 総戸数

    230戸

  • 管理方式

    日勤

  • 土地権利

    所有権

  • 用途地域

    第一種中高層住居専用地域

  • 小学校区域

    市立桜野小学校

  • 中学校区域

    市立第二中学校

  • 備考

    ●オートロック ●宅配ロッカー ●ペット可 ●ゲストルーム ●バリアフリー ●「いなげや武蔵野桜堤店」約800m ●「都立小金井公園」約520m ●ルーフバルコニー:あり ●専用庭:あり ●最寄りバス停より徒歩1分