首都圏で毎年、増え続ける分譲マンション。しかし、その資産価値を長く保つことができるものは限られるのではないでしょうか。不動産の価格は、利用価値で決まるといわれます。

 

その不動産を利用する人間の数が減っていく近未来、利用価値は低くなるため、価格は下がっていきます。住宅ジャーナリスト、榊淳司氏は近著『2025年 東京不動産大暴落』でこう警鐘を鳴らしました。

 

各メディアで健筆をふるう榊氏は不動産への愛ゆえの辛口で知られますが、そんな榊氏にも資産性や流動性からその価値に脱帽したマンションがあります。マンションの具体名を挙げて、なぜ優れているのかを紹介していきます。

 

青空とマンション

(写真はイメージです)

 

シティテラス加賀

 

売主・住友不動産 都営三田線 「板橋区役所前」駅 徒歩9分
全385戸 2013年8月完成 15階建て

 

駅近なのに、わりあい買いやすい

 

住友不動産は、今やマンション業界のトップ企業です。ここ5年ほど、ずっと供給量で全国1位を保持しています。それも、わりあいに大規模な物件がいくつもあります。販売は基本的に子会社の住友不動産販売。よくもまあ、手が回っていると思いますね。親会社以外の物件も売っていますから。

 

だからなのか分かりませんが「総合マンションギャラリー」なんていうのを首都圏の主要ターミナルに設けて、そこでまとめて接客しようなどという自分たちにやたらと都合のいい販売方式を取っています。ただ、「そんなことやってて本当に大丈夫なの?」とは感じます。

 

三田線のこのあたりは住むには狙い目なのですが、それほど高いマンションが売れる地域特性はありません。リーマンショック前には鹿島建設が開発・建設した高級系マンションがかなりの苦労をしながら販売をしていた記憶があるエリア。いくら加賀藩の下屋敷跡だといっても、これから住む人には無関係です。

 

このエリアのマーケットは、値上がりしにくく下がりやすい、という特性があります。このマンションも新築分譲時に比べて若干の値上がりが見られました。しかし、現状のマーケットではやや弱含んでいる様子がうかがえます。逆にいうと、こういう時期ならでは狙い目でもあります。

 

売り出し物件の所有者は、ほとんどが新築時の購入者で何らかの理由があって急いで売却せざるを得なくなった方がほとんどのはず。信頼できる仲介業者を通じて価格交渉を行うと、時に驚くような値引きが引き出せたりもします。そういうことがありがちな物件といえるでしょう。

 

これからの時期、いかにもそういう売り物件が出てきそうです。それでいて、周辺環境や住みやすさはまずまず。何よりも、都心アクセスがそれなりにいい。ある意味で、合理的な発想の方には狙いやすいマンションではないでしょうか。

 

 

榊淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年生まれ、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上、携わってきた。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)、『マンション格差』(講談社現代新書)など。