首都圏で毎年、増え続ける分譲マンション。しかし、その資産価値を長く保つことができるものは限られるのではないでしょうか。不動産の価格は、利用価値で決まるといわれます。

 

その不動産を利用する人間の数が減っていく近未来、利用価値は低くなるため、価格は下がっていきます。住宅ジャーナリスト、榊淳司氏は近著『2025年 東京不動産大暴落』でこう警鐘を鳴らしました。

 

各メディアで健筆をふるう榊氏は不動産への愛ゆえの辛口で知られますが、そんな榊氏にも資産性や流動性からその価値に脱帽したマンションがあります。マンションの具体名を挙げて、なぜ優れているのかを紹介していきます。

 

マンション

(写真はイメージです)

 

志木の杜レジデンス

 

売主・総合地所他 東武東上線 「志木」駅 徒歩19分(バス5分徒歩3分)
全319戸 2012年2月(第1工区)、8月(第2工区)完成

 

今が売り時! 買うのはもう少し待って

 

マンション業界には私が「長谷工プロジェクト」と名付けたカテゴリーの新築マンションの一群があります。長谷工コーポレーションが土地の仕込みから設計施工までプロデュース。販売はグループの長谷工アーベスト。管理も長谷工コミュニティである場合も多いですね。このマンションもその類。典型的な長谷工プロジェクトでした。

 

このマンションはリーマンショックの傷も癒えない2011年頃に新築販売されていました。もとは、外資系の製薬系企業の工場だか、研究施設だそうです。そんなことはどうでもいいといえばいいのですが、場所が志木駅から「徒歩19分」。私がまだ計画段階で漏れ聞いたときには、確か「23分」でしたから、差し引き「4分」はどこへ行ったのでしょう?

 

その時期でも「こんな場所でマンション事業をやろうなんて会社があるのか?」と疑問でしたが、1社現れたみたいですね。はい、総合地所です。

 

確かこのマンションの販売が始まった直後に長谷工グループ入りをしています。その後、長谷工プロジェクトでどこも乗ってこないプロジェクトをこの総合地所が一手に引き受けて事業化しているイメージがあります。

 

このマンション、当初の計画では全体で「996戸」のはずでした。しかし、今はどのサイトを見ても「319戸」になっていますね。残りの計画住戸がどうなったかも、今となってはよく分かりません。いろいろと謎は多いのですが、しっかりとマンションはあります。

 

新築販売時には、平均坪単価120万円という触れ込みでした。建築費が高騰した今ではほぼ不可能な価格になっています。それで、現在の流通価格を見ると、その時からあまり下がっていません。ノムコムによると85万~138万円(中央値116万円)でした。局地バブルの影響で何とか踏みとどまっているのでしょう。

 

こういうマンションも、将来的に売却の予定があるのなら今のうちに売っておく方が良いと思います。築10年が過ぎて、老朽化が可視化できるようになると、ものすごく売りにくくなるマンションでしょう。

 

逆に、購入するのなら慌てない方がいいでしょう。市場が下落期に入ると、かなり下がりやすいタイプのマンションです。典型的な長谷工プロジェクトのマンションですが、今なら何とか購入価格に近い価格で売れますから、売りチャンスでしょう!

 

 

榊淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年生まれ、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上、携わってきた。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)、『マンション格差』(講談社現代新書)など。