首都圏で毎年、増え続ける分譲マンション。しかし、その資産価値を長く保つことができるものは限られるのではないでしょうか。不動産の価格は、利用価値で決まるといわれます。

 

その不動産を利用する人間の数が減っていく近未来、利用価値は低くなるため、価格は下がっていきます。住宅ジャーナリスト、榊淳司氏は近著『2025年 東京不動産大暴落』でこう警鐘を鳴らしました。

 

各メディアで健筆をふるう榊氏は不動産への愛ゆえの辛口で知られますが、そんな榊氏にも資産性や流動性からその価値に脱帽したマンションがあります。マンションの具体名を挙げて、なぜ優れているのかを紹介していきます。

 

住宅街の大型マンション

(写真はイメージです)

 

ザ・ミレナリータワーズ

 

売主・ゴールドクレスト JR南武線「矢向」駅徒歩7分 
2007年6月竣工 全756戸 20階建て

 

供給過剰な南部線沿線の大規模マンション

 

JR南武線の「武蔵小杉」と「川崎」の間には5つの駅があります。このマンションの最寄りである「矢向」駅はその内のひとつですね。このあたり、なぜだか非常に大きなサイズの土地が出やすいところです。南武線という支線沿線だったので、開発から取り残されたのでしょう。今でも現地周辺に行くと「土地が余っているなあ」という感じがします。

 

このマンションも竣工後、長らく完売せず販売が続いていた記憶があります。新築時の売主企業であったゴールドクレストという会社は、ほぼ値引きをしません。それどころか、完成物件を時々値上げしたりしています。また、このマンションの販売時には「ご購入契約をいただければ住戸をお見せします」といったわけの分からない販売手法を取っていました。

 

この物件は、新築販売時に私の元にも相談が寄せられました。ある相談者の方が私の紹介したサポート会社の専門家と一緒に内覧したところ、給気口に煤(すす)がたまっていました。この立地は、近隣の工場の煤煙が日常的に降り注ぐ場所だったのです。その方は、途方に暮れておられたようです。お気の毒というより他にありません。

 

実は、この物件がまだ完売しないうちに同じ売主から「クレストシティアクアグランデ」という493戸という規模のマンションが近くで売り出されました。さらにその後「クレストプライムレジデンス」というのも売り出されてその一帯の開発規模は約3000戸になりました。

 

また、お隣の「尻手」では2010年2月に完成した「ヨコハマオールパークス」という全1424戸の大規模マンションも存在しています。このエリア、約10年前に需要を相当に上回る供給ラッシュがあったわけです。それが今、中古マンション市場にどどっと出てきています。

 

このエリアの中古マンションは今後買い手市場になりそうです。もし、このエリアで今後マンションを売る予定があるのなら、「投げ売り」物件が出てくる前に売却しておくべきでしょうね。

 

 

榊淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年生まれ、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上、携わってきた。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)、『マンション格差』(講談社現代新書)など。