首都圏で毎年、増え続ける分譲マンション。しかし、その資産価値を長く保つことができるものは限られるのではないでしょうか。不動産の価格は、利用価値で決まるといわれます。

 

その不動産を利用する人間の数が減っていく近未来、利用価値は低くなるため、価格は下がっていきます。住宅ジャーナリスト、榊淳司氏は近著『2025年 東京不動産大暴落』でこう警鐘を鳴らしました。

 

各メディアで健筆をふるう榊氏は不動産への愛ゆえの辛口で知られますが、そんな榊氏にも資産性や流動性からその価値に脱帽したマンションがあります。マンションの具体名を挙げて、なぜ優れているのかを紹介していきます。

 

住まい・暮らし・街 イメージ

(写真はイメージです)

 

リライズガーデン西新井

 

東武伊勢崎線「梅島」駅 徒歩2分 売主・東武鉄道
全738戸 2009年9月竣工 地上9、18階建て

 

リーマンショック時に新築販売し広告大展開で完売

 

このマンション、あの世界的大不況の時期に新築販売を行っていたので、記憶が鮮明です。水川あさみさんという女性タレントが夜空を飛んでいるビジュアルを展開して、新築マンション業界に話題をふりまきました。

 

日比谷線の車両の中にも中づり広告でこのビジュアルをよく見かけましたね。何といっても媒体費は無料ですから、使わない手はないわけです。

 

実は、このマンションの新築販売時には近くにライバル物件がありました。『レコシティTOKYO(リ・トーキョー・プロジェクト)』という物件です。売主はオリックスを筆頭にしたJV(ジョイントベンチャー)だったと思います。価格設定は、どちらもさほど変わらなかったはずです。むしろ後発で線路と道路にはさまれたこの「リライズ」の方が少しだけ価格を安めに設定していたような記憶があります。

 

でも、リーマンショックをいち早く敏感に受け止めたのは「レコシティ」。マンションがあちらこちらで「投げ売り」されていた2009年3月頃の時期に、レコシティは迷わずその嵐の中に参入。かなりの値引きを行いながら残住戸を減らして、わりあい早期に「完売」に持ち込みました。

 

こちらは、電鉄系の売主なのでそんなに軽快な動きは無理だったのでしょう。建物が完成した後、2年以上にわたって販売を続けていました。それでも完売せず、挙句の果てに、冒頭に述べたタレント起用の広告を使った大キャンペーンで何とか売り切ったという物件。

 

売主は東武鉄道。東京スカイツリーの大家さんです。この会社、電鉄系ではありがちなのですが、まるでお役所のようなとこがあります。2005年ごろの話ですが、私の記憶では、マンション開発部門にもアタマのカターイ上役がいたかと思うと、わけのわからんことばかりを言って業者を困らせる担当者もいらっしゃいましたね。それでいて、きちんと会社が存続しているのだから不思議です。

 

このリライズは、用地は販売する何十年も前からもっていたと思います。そこにマンション建てて売るのですから、売値なんていくらだってそれなりの利益は出せたと思います。

 

つまり、当時ライバルだったレコシティよりも1割や2割安くても、十分採算は取れたはずなのです。ところが、この会社のわけの分からないところは、レコシティと表面的には変わらない価格で出してしまい、その後かたくなにそれを守ろうとするところ。市場の変化にまったく付いていっていなかったのです。

 

計画を見ると、はっきりいうと、線路際の余っていた三角形の土地を仕方なくマンションにしたような印象を受けます。さしたる特徴を感じません。この土地なら、だれが設計しても似たり寄ったりのプランになりそうです。場所も、「西新井」の駅を少し遠くに感じるあたり。歩いて行くなら「梅島」の方が近いのです。中途半端といえば、中途半端です。

 

しかし、今や築10年超の中古マンションになってしまいました。最近の流通価格を見ると、新築販売時よりも若干値上がりしていますね。ノムコムによると2020年2月の参考相場価格は坪165万~261万(中央値205万円)でした。

 

しかし、それも今年いっぱいまでかもしれません。仮に、売却をお考えなら「早い者勝ち」となるのではないでしょうか。市場が下降し始めると、さほど強みのある物件ではありませんから。

 

 

榊淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年生まれ、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上、携わってきた。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)、『マンション格差』(講談社現代新書)など。

 

物件名:リライズガーデン西新井

物件外観・画像

物件概要

  • 交通

    梅島駅より徒歩で2分
    西新井駅より徒歩で5分
    北千住駅よりバスで14分

  • 沿線

    『梅島駅』 東武伊勢崎線
    『西新井駅』 東武伊勢崎線 東武大師線
    『北千住駅』 JR常磐線(上野~取手) 東武伊勢崎線 東京メトロ日比谷線 東京メトロ千代田線 つくばエクスプレス

  • 所在地(住所)

    東京都足立区梅田8丁目14番

  • 構造

    RC一部S(鉄筋コンクリート一部鉄骨)

  • 階建て

    地上18階 地下2階

  • 築年月

    平成21年9月

  • 総戸数

    738戸

  • 管理方式

    常駐

  • 土地権利

    所有権

  • 用途地域

    準工業地域

  • 小学校区域

    亀田小学校

  • 中学校区域

    第九中学校

  • 備考

    ●平成22年3月撮影 ●ルーフバルコニー:あり ●専用庭:あり