2020年といえば東京オリンピックが開催される年です。2013年に開催が決まって以降、各会場の整備をはじめ、鉄道や道路などのインフラ整備も進んできました。2020年3月14日には山手線の新駅「高輪ゲートウェイ」が開業、その周辺マンションは価格上昇が見込まれます。

 

一方、羽田空港への発着便を増やすために新ルートの運行が決まっており、東京上空を飛行する予定です。このルートに近いエリアは騒音や落下物への懸念から、マンション価格が下落する恐れがあります。

 

このように、東京都内でもエリアによって不動産価格の変動が予想されます。今回の記事では、2020年に注目すべきエリアをピックアップして解説します。

 

高層ビルと飛行機雲

(写真はイメージです)

 

2020年注目エリア① 晴海エリア

 

1つ目の注目エリアは「晴海」です。既にご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、晴海エリアの南西側には東京オリンピックの選手村が建設されています。

 

この選手村は大会終了後、「HARUMI FRAG」という新築マンションに変わります。分譲戸数4,145戸、賃貸戸数1,487戸、計5,632戸という、過去に前例が無いビックプロジェクトで、1つの街が新しく出来上がるようなイメージです。入居時期が東京オリンピック後になるにもかかわらず、2019年1~11月に先行販売された分譲住戸の申込平均倍率は約2.36倍と好評となっています。

 

この晴海エリアですが、実は交通の便がそこまで良くありません。都営大江戸線の勝どき駅や月島駅が最寄り駅となりますが、徒歩10~15分程度を要します。勝どき・月島・豊洲などに比べると交通便の魅力に劣るエリアでしたが、今回の東京オリンピックに合わせてBRT(バス高速輸送システム)がスタートします。

 

BRTは、バスを専用レーンで運行させることで、交通渋滞に巻き込まれずに都心部まで乗客を運ぶ新しい交通機関です。現在は新橋駅や虎ノ門駅につながることが決まっています。銀座・東京駅方面への運行も計画されており、この交通機関が上手に稼働すれば、晴海エリアの交通便はぐっと良くなるでしょう。

 

BRTは、豊洲方面や有明・お台場方面など路線が分かれる予定ですが、現在の計画では、晴海エリアは全ての路線が通過するため、十分な運行本数も見込まれます。東京オリンピックでの暫定運行で問題が無ければ、新しい交通機関として認められ、晴海エリアの交通便の向上とマンション価格の上昇が見込まれます。

 

2020年注目エリア② 高輪ゲートウェイ駅周辺

 

JR山手線の新駅「高輪ゲートウェイ」駅が2020年3月に暫定開業予定です。本格稼働は2024年を予定しており、周辺マンションの価格上昇が見込まれます。

 

同駅は田町駅から約1.3km、品川駅から約0.9kmの距離にあり、この間のエリアにあるマンションは、位置によっては山手線の駅から徒歩5分以内(400m以内)という交通表示に変わります。最寄り駅が近くなれば資産価値は高まるでしょう。特に芝浦エリアは、これまで徒歩10分程度の田町駅が最寄りでした。高輪ゲートウェイ駅が開業すれば、駅周辺が再開発されて利便性の向上が期待できます。

 

既に新駅が発表されていますので、現時点からの資産価値の向上は見込みにくいかもしれませんが、芝浦に位置するキャピタルマークタワー、芝浦アイランドなどは今後の資産価値を維持できるマンションとして注目されます。

 

2020年注目エリア③ 大井町駅・品川駅周辺

 

2020年3月から、羽田空港の国際線の増便に合わせて新ルートによる運航が始まります。この新ルートは、都心部の上空を通過するため、騒音問題などが懸念されています。

 

この羽田新ルートの影響が特に懸念されるのは、大井町駅や品川駅です。大田区の端に位置する羽田空港との距離が近いため、品川駅では上空500m程度、大井町駅では上空400m程度を航行する予定です。

 

既に試験的な運行が始まっており、上空1,000m以下を飛行する渋谷区や新宿区では70~80デシベルの騒音が記録されています。これは「幹線道路際」と同等程度です。

 

品川駅・大井町駅ともにターミナル駅として栄えており、特に品川駅はリニア新幹線の駅としても注目されていますので、これをもって急激に資産価値が下落することは考えにくいですが、エリアを絞らない購入検討者がこのエリアを検討しなくなることも考えられますので、今後のマンション価格の動向に注視しておいた方が良いエリアです。

 

2020年注目エリア④ 東雲エリア

 

東雲エリアは、東雲キャナルコートと呼ばれる一帯に複数のタワーマンションが建っています。24時間営業のイオンがあり、りんかい線の東雲駅の他、有楽町線の豊洲駅や辰巳駅を利用できるので、利便性の高さからファミリー層に人気の高いエリアです。

 

東雲エリア自体の利便性が低下することはありませんが、今回の東京オリンピックに伴うBRTの路線からは外れており、他の湾岸エリアの開発状況を見ると、相対的に見劣りしてしまいます。またここでは、2000年代後半からタワーマンションの分譲が始まっているため、分譲の早いマンションは築12~13年、大規模修繕工事の時期を迎えます。修繕積立金の値上げ、子育てに目途がつく時期、武蔵小杉に見るタワーマンションの構造的な危険性などを考慮すると、東雲エリアのマンションは売却物件が増え、資産価値が低下すると考えられます。売却を考えている方は周辺マンションの売却状況をしっかりと確認しておいた方が良いでしょう。

 

まとめ

 

いかがでしたでしょうか。
東京オリンピックの開発整備エリアや高輪ゲートウェイ駅の誕生などを考慮すると、2020年は湾岸エリアへの注目が集まります。湾岸エリアは「HARUMI FRAG」の他にも、国際展示場駅で1,500戸規模のマンションや豊洲駅で1,100戸規模のタワーマンションが分譲されておりますので、供給過多による相場下落も懸念されます。BRTによる利便性の向上などによって、他地域と相対的な評価から資産価値が変化する恐れもありますので、売買を検討されている方は市場動向をつかめるように早めに不動産会社に相談することをおすすめします。

 

 

斉藤勇佑(宅地建物取引士)
大学卒業後、5年間不動産売買業務に従事。その後、不動産管理会社に転職し、分譲マンションの維持・管理を中心とした業務に5年間かかわり、現在は不動産のストック分野の業務に従事。