REDSエージェント、宅建士の手塚です。今回は、不動産業界がどうしてもやめることができない商慣習「両手仲介」について改めて考えてみました。(※両手仲介に関する詳細と、REDSのスタンスについてはこちらをご覧ください)
以前は不動産購入のお手伝いをたくさんしてきたのですが、REDSに入ってからというもの、特に最近は売却のお手伝いの方が多くなってきたことがきっかけです。「両手仲介」は圧倒的に売主にババをかける行為にほかならないからです。そして、ぜひ知ってほしいことは両手仲介は脱法行為だらけであるということです。
(写真はイメージです)
両手仲介はルールの隙を突いて行う
不動産売却の際には不動産業者と媒介契約を行い、売却活動を始めます。媒介の種類は3種類で、専属専任・専任・一般。大きく分けると前2つをまとめた「専任」か「一般」になります。
「専任」は宅建業法で媒介契約締結後、「一定の期間」内に不動産業者間の物件情報データベースであるレインズへの登録が義務づけられております。
この「一定の期間」というのがポイント。具体的には、専属専任は媒介契約締結日の翌日から5日以内 (不動産会社およびレインズの休業日は除く)、専任は同7日以内に登録しなければなりません。
この期間は、物件を登録するのに調査が必要なので仕方ない期間ですが、
●調査が終わっているのに物件情報を登録しない
●登録は自分たちのホームページや不動産ポータルサイトのみに掲載する
ということが、まだ横行しております。
また、一般媒介はレインズへの掲載義務はありません。売主への報告義務もないかわりに、複数の業者と媒介契約を交わすことができるのですが、それを適当な理由をつけて拒む業者もあります。
双方代理は成立しない
なぜこのような悪事が横行するのでしょうか。個人の売主の方から預かった物件を、自分で見つけた買主に売る場合、不動産会社は売主と買主の双方から仲介手数料をもらえるからだと思います。1件の取引で両方から手数料をもらえれば、営業としては手間の面でも金銭の面でもずいぶんおいしい話です。
しかし、変だとは思いませんか。この仲介業者はだれからお仕事をもらっているのでしょうか? 売主が不動産を売却すると言わなかったら始まらなかったでしょう。ということは、お仕事を頂いたのは売主からなのです。売主の売却希望価格で売れたのであれば、売主は「いい仕事をしてくれたな」と思うでしょう。
一方の買主はどうでしょうか。できるだけいい物件を安く買いたいでしょう。
このように、それぞれの立場からしてみると、不動産仲介会社はうまく間に入って自分の都合の良いところで調整しているようにしか思えないのではないでしょうか。注意したいのは、売主と買主のどちらとも公平に付き合っていることが大前提。仮に売主か買主と裏でつながっているなら、早く売りたい買いたいという気持ちにつけ込んで不当に価格を上げたり下げたりして自分に利益を得ることもできるのです。
そういう事態を防ぐため、アメリカなどの海外では、双方の代理になることは禁止されています。裁判で考えると、原告と被告の両方の弁護をすることにほかならないからです。刑事事件で一言目に「原告は被告から被害を受けたと言っている」と言ったかと思えば、二言目に「被告は無実です」と言うなんてことは成立しないでしょう。
そういうことから、私は不動産において両手仲介は禁止すべきだと思います。REDSの場合、売主か買主かどちらか一方の利益を最大化する「エージェント制」を採用していますので、その心配はないのですが。売主様からお仕事を頂いた売却の仕事は、売主様ファーストで、高く売るために何ができるかを追求します。これが不動産仲介業の「当たり前」になっていけばと思います。
手塚竜也(REDSエージェント、電話:090-3317-1600、メール:tatsuya@red-sys.jp)
神奈川県出身。所有資格は宅地建物取引士、宅建マイスター、損害保険一般資格、生命保険一般資格。担当エリアは首都圏一円。居住用、投資用どちらも得意。
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