首都圏で毎年、増え続ける分譲マンション。しかし、その資産価値を長く保つことができるものは限られるのではないでしょうか。不動産の価格は、利用価値で決まるといわれます。

 

その不動産を利用する人間の数が減っていく近未来、利用価値は低くなるため、価格は下がっていきます。住宅ジャーナリスト、榊淳司氏は近著『2025年 東京不動産大暴落』でこう警鐘を鳴らしました。

 

各メディアで健筆をふるう榊氏は不動産への愛ゆえの辛口で知られますが、そんな榊氏にも資産性や流動性からその価値に脱帽したマンションがあります。マンションの具体名を挙げて、なぜ優れているのかを紹介していきます。

 

団地

(写真はイメージです)

 

常盤台ガーデンソサエティ

 

売主・住友不動産など 東武東上線 「ときわ台」駅 徒歩8分
全419戸 2009年2月竣工 18階建て

 

長谷工プロジェクトの築10年超モノって…

 

このマンションは新築時、売主筆頭は丸紅でした。もう1社は住友不動産。ただし、施工は長谷工コーポレーションです。土地の持ち込みや事業企画は長谷工だったのではないでしょうか。ということは、いわゆる「長谷工プロジェクト」ですね。最近のこのマンションの様子をうかがうと、いかにも「築11年の長谷工プロジェクト」のにおいがします。

 

長谷工プロジェクトの場合、街並みや建物は熟成するというよりも単純に老朽化していくケースが多いように思えます。昭和風の言い方をすれば「団地」なのです。築年数を重ねた「団地」が味わい深い建物になることはほとんどありません。単純に建物が古くなっていくだけなのでしょう。

 

このマンションも、リーマンショック前のミニバブル期に企画され、そういう価格で販売を始めたら、途端に不況に突入。販売は相当、長引きました。

 

長谷工プロジェクトの場合、建物ができあがってしまうと販売が辛くなります。なぜなら、実物よりも広告の方がよく見えてしまうことが多いからです。購入検討者が実物を見てしまうと「えっ、これか……」となります。

 

このマンション、救いはロケーションです。常盤台というのは、このあたりではちょっとステイタス感のある住宅地なのです。そして、交通スペックは東武東上線「ときわ台」駅 徒歩8分。これも悪くありません。「ときわ台」最寄りエリアでマンションを探す人はそれなりにいらっしゃいますから。

 

このマンション、新築時は販売に苦戦したので1割程度は値引きがあったと推定できます。そこを加味すると、新築時の実質的な販売坪単価は230万円あたりが平均。その後、リーマンショック後の不況期にはかなり値下がりしたのですが、アベノミクスで盛り返してきました。

 

ただ、ローカルエリアで人気が高いとはいえ、このマンションの立地は板橋区アドレス。局地バブルの影響を強く受けることもほとんどありませんでした。2018年からは、中古マンション市場もやや弱含んできたのも影響しています。

 

現在の流通価格は、新築時の実質販売価格と同レベルの平均坪単価230万円前後。都心近郊エリアの中では買いやすい水準になっています。

 

 

榊淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年生まれ、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上、携わってきた。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)、『マンション格差』(講談社現代新書)など。

 

物件名:常盤台ガーデンソサエティ

物件外観・画像

物件概要

  • 交通

    ときわ台駅より徒歩で8分
    板橋本町駅よりバスで8分

  • 沿線

    『ときわ台駅』 東武東上線
    『板橋本町駅』 都営三田線

  • 所在地(住所)

    東京都板橋区前野町2丁目16番1号

  • 構造

    SRC一部RC(鉄骨鉄筋コンクリート一部鉄筋コンクリート)

  • 階建て

    地上18階 地下1階

  • 築年月

    平成21年2月

  • 総戸数

    419戸

  • 管理方式

    常駐

  • 土地権利

    所有権

  • 用途地域

    準工業地域,工業地域

  • 小学校区域

    区立中台小学校

  • 中学校区域

    区立上板橋第三中学校

  • 備考

    ●平成22年3月撮影 ●構造:一部RC造 ●ルーフバルコニー:あり ●最寄りバス停より徒歩3分