首都圏で毎年、増え続ける分譲マンション。しかし、その資産価値を長く保つことができるものは限られるのではないでしょうか。不動産の価格は、利用価値で決まるといわれます。

 

その不動産を利用する人間の数が減っていく近未来、利用価値は低くなるため、価格は下がっていきます。住宅ジャーナリスト、榊淳司氏は近著『2025年 東京不動産大暴落』でこう警鐘を鳴らしました。

 

各メディアで健筆をふるう榊氏は不動産への愛ゆえの辛口で知られますが、そんな榊氏にも資産性や流動性からその価値に脱帽したマンションがあります。マンションの具体名を挙げて、なぜ優れているのかを紹介していきます。

 

マンション

(写真はイメージです)

 

プラウド船橋

 

売主・野村不動産、三菱商事 東武野田線 「新船橋」駅 徒歩3分
全1497戸 2013年1月完成 10階建

 

超ド級、1497戸のスケールで震災後に誕生

 

野村不動産のマンションブランドである「プラウド」としては最大級の規模ではないでしょうか。だから新築販売時にはかなり注目されました。ちょうどマンション市場の回復期と重なったのでかなり好調に販売が進んで完売した、という記憶がありますね。

 

ただ…やはりロケーションに難がありますね。「船橋」から東武野田線でひと駅の「新船橋」。過去に、同じ駅徒歩10分の「ルネ・アクシアム」という700戸のマンションが一発で即日完売したのは今から20年ほど前のこと。

 

当時はマンション市場が底を打っていました。記憶が正しければ、坪単価は120万円。嘘みたいでしょ。ちなみに、このルネ・アクシアムの中古価格はいったん坪100万円あたりまで落ちた後に上がって、今は130万~140万円。元が安すぎたので、20年たっても値上がり状態です。

 

では、徒歩1分(1~3街区)であるこのプラウド船橋はいったいいくらでお出しになったのか? 非常に注目されたところです。当時の感覚として「プラウド」である限りは、坪単価150万円以下ではありえないと予想したのですが、実際はやはり150万円前後でした。

 

それで1・2・3・5街区1259戸をすべて「即日完売」したと当時の野村不動産はオフィシャルページで堂々とうたっています。2012年の6月から12月までの、モデルルームへの来場は1万5000組だとか。表面的に見る限り、この京葉エリアではまさに「独り勝ち」物件でした。

 

現在、レインズで調べてみるとこのプラウド船橋の中古価格は坪単価が200万円前後を相場観に取引されています。分譲時よりもやや値上がりしています。当時、新築で購入した方は今売却することで値上がり益を享受できるはず。

 

さて、中長期的にこのマンションが今後どのように評価されるのかは、新船橋という街の開発がうまくいくかどうかにかかってきます。大型の商業施設であるイオンモール船橋ができたのですが、果たして周辺の中核都市に発展しきれるのか。

 

仮に、何年か先に業績が不振に陥ってイオンが撤退すると、ただの田舎の大型マンションになってしまいます。また、このマンションは全部で約1500戸もあります。そうでなくても京葉間というのはファミリーマンションが大量供給されています。マンション価格が下落期に入ると、底が見えなくなる可能性も否定できません。

 

現在ご所有の方々は、売却価格について、ひとまず新築購入価格を目安にされるはず。その次は住宅ローンの残債の額でしょうね。その次は…そうなったら恐ろしいことになりそうです。将来売る予定があるのなら、早めに動くべきでしょうね。

 

 

榊淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年生まれ、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上、携わってきた。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)、『マンション格差』(講談社現代新書)など。