テレビ東京系で「どっちの家を買いますか?~最強不動産屋のガチンコ家売りバトル」が放送されました。(2019年12月17日18:55~)

 

不動産関連の番組というと、手抜き工事やサブリース契約問題、不正融資問題などの不祥事ネタが多い今日この頃。業界の隅に身を置く者としても、現状を憂い、不動産業界の地位向上のためにも信頼感と存在感を高めるように日々勤しむ毎日です。

 

今回の番組は、実在の購入希望者のニーズにマッチした物件を売るべく、不動産会社から選ばれた超一流の営業マン同士がバトルするというもの。何軒も実際に物件を内覧し、最後に両者おススメの物件をプレゼンテーションして、どちらが選ばれるかを競うという、本当のガチンコ勝負です。

 

会社名も公表され、営業マンもモザイクなしで登場する、やらせなしの真剣勝負ということですから、不動産会社の「本気」が伝わる対決となるのは間違いなく、営業マンの真摯な活動を見ていただくことは業界のステータス向上にもつながるのでは、という期待もあり、私も放送を楽しみにしていました。

 

それでは解説を交えながら、番組の感想を披露していくこととしましょう。

 

住図面を持つビジネスマンと施主

(写真はイメージです)

 

3,000万円で自由が丘に住みたい

 

購入希望者の板倉ご夫妻は、ご主人が東京のグッズ販売会社勤務、奥様は長野のご実家にお住まいでカフェを経営され、2年間別居中とのこと。ご主人の生活が不規則なことが心配で、新居に一緒に住みたいとのご希望です。

 

購入希望条件は、以下の通りです。
・エリア:自由が丘
・新築もしくは中古マンション
・予算:3,000万円台
・間取:ご主人の希望は1LDK、奥様の希望は2LDK

 

問題は予算とエリアです。自由が丘は都内でも有数の人気エリア。出演者で住宅評論家の櫻井幸雄先生も仰っていましたが、中古でも3,000万円台でマンションを探すのは厳しいというのが相場でしょう。4,000~5,000万円は普通のエリアです。さすがの最強営業マンの方々も苦労すると予想されます。どんなマンションを紹介してくるのでしょうか?

 

業界大手エースV.S.少数精鋭エース

 

物件をご提案する営業マンとして、業界大手の会社と少数精鋭を売りにする会社という対照的な二社からそれぞれエース級の方がエントリーしています。

 

1人めは、業界最大手の一つ、株式会社センチュリー21ジャパンの桃原氏です。同社はご存知の通り、世界82ヵ国従業員13.1万人を誇る、日本最大級の不動産フランチャイズチェーン。桃原氏はその中でも、都内トップクラスの実績を持つ上、地元が自由が丘であり、得意のLINEを駆使してお客様とのコミュニケーションを密にしているそうです。今回も板倉ご夫妻との情報交換にLINEが一役買っていましたね。

 

筆者も最近は、LINEやメッセンジャーを同業者やお客様との連絡に活用しています。電話やメールと違い時や場所を選ばず確実に情報を届けられますし、大事な情報を後から「言った、言わない」の論争になるのを避けられます。50代のおっさんに似合わない可愛いスタンプを駆使するのも密かな楽しみです。

 

対するは、レッズ(株式会社不動産流通システム)の村上氏です。同社は2008年に設立して10年あまりの若い会社ですが、スタッフ全てが不動産取引のプロの資格である宅地建物取引士で、全国で500人あまりしかいない「宅建マイスター」の資格を持つ人材をも多数という少数精鋭主義です。また路上店舗を置かない・新聞チラシやポスティングなど旧来の宣伝手法を行わないという低コスト戦略により、仲介手数料の割引を実現し、業績を伸ばしています。

 

村上氏は、そうした精鋭の中でも年間20億円の売り上げを誇る敏腕営業マンです。はい、筆者よりも売り上げは大きいですね。なんも言えねえ…。筆者としても、売り上げを伸ばす参考にできないかと、彼ら2人がどんな物件を紹介するのか気になるところです。

 

相場よりも安いマンションで気を付けたい2つの注意点

 

対決のルールでは、ご夫妻の希望を聞いた営業マン2人が1ヵ月間で様々な物件を紹介し、最終的に各々1件に絞って提案することとなります。

 

しかし、自由が丘で3,000万円という条件は筆者が見てもかなりハードルが高く、新築は皆無でしょうし、中古でも様々なマイナス要因があると予想されます。

 

相場より安いのには、必ず訳があるのです。以下に注意点を何点か挙げてみましょう。

 

築年数

 

最近はマンションでも新築物件が高騰していることから、古い物件を改造してキレイな内装を施した「リノベーション物件」が人気となっています。デザイン性を重視した内装の物件も多く、新築物件より価格が安いのも魅力です。

 

少しネットを調べると、自由が丘でも「インスタ映え」の素敵な内装の1SLDKが3,599万円で紹介されていました。

 

しかし、こうした物件も「建物の築年数自体は古い」ということを忘れてはいけません。上記の物件も共有部は旧態依然としており、古いアパート的な扉やオートロックもないことが目立ちます。それもそのはず、築50年のマンションでした。修繕費も15,700円と高めです。

 

築年数が古いことのデメリットを理解し、そうしたデメリットが解消されているか、デメリットを上回るメリット・魅力があるかを冷静に評価する必要があります。

 

築年数が古い場合のデメリットは以下の通りです。

 

(1)耐震性に不安
新耐震基準(震度6~7でも倒壊しない)が建築基準法で定められているのは1981年6月以降。したがって現時点で築38年以上の建物は、旧耐震(震度5程度で倒壊しない)の基準しか満たしていません。

 

(2)築25年以上は優遇措置が受けられない
築25年以上の中古住宅は、所有権移転の登録免許税の軽減税率、住宅ローン減税、住宅取得資金贈与の特例等、住宅取得推進のための優遇措置などが受けられません。(ただし耐震基準適合証明を受けるなど方策はあり)

 

(3)建物・設備などの老朽化
マンションはおよそ12年おきに大規模修繕をする必要があるとされています。特に、屋上・外壁・給排水管・エレベーター・機械式駐車場は定期的なメンテナンスが必要とされ、築年数が古ければ古いほど老朽化リスクは高まります。

 

(4)流動性・資産性が低い
住宅ローンの際に、金融機関は会計上の償却残年数以上の期間の融資を渋る傾向があります。鉄筋コンクリート建物の償却年数は47年ですから、例えば築年数が35年だと12年以上の住宅ローンの設定を認めたがらないということです。

 

ただでさえ中古は築年数が増えるにつれ人気も価格も落ちていきます。ローンが付きづらいとなると流動性はますます低くなります。内装がいくら新しくても、築年で評価されることが多いので資産性も低いと言われています。

 

借地権

 

番組内でも解説がありましたが、借地権のマンションは、土地が所有権のマンションより価格が安くなります。

 

借地権とは、マンションの土地を借りる権利(普通賃借権・普通地上権・定期借地権など)です。借地権のマンションの売買では、部屋の所有権と借地権の2つを売買することとなり、土地の地主の承諾が必要となります。また通常は賃貸借期間と賃料が定められています。

 

借地権のマンションが安い理由として、賃貸借期間の延長が認められない場合がある、建物の建て替えなどに地主の許可がいる、更新料や譲渡継承料の定めがない場合多額となる可能性がある、金融機関のローンが付きにくいなどのリスクがあるためといわれています。同じ理由から、換金性・資産性が低く売買実績も少なくなりがちです。

 

勝者はレッズの村上氏! 勝因は?

 

板倉ご夫妻の選んだ物件は、レッズの村上氏が最終的に推した尾山台の3,780万円のリフォーム済み物件でした。勝因は、物件自体の魅力はもちろんですが、私見では以下の2点がご夫妻の決め手になったと考えます。

 

資産性に配慮した築24年の物件

 

尾山台の物件は築24年ということで、前述の登録免許税軽減税率、住宅ローン減税、住宅取得資金贈与の特例などの優遇措置が全て受けられることから、価格以上のメリットがありました。耐震性能も新耐震基準を満たしていて安心できます。

 

レッズならではの仲介手数料無料

 

レッズは、少数精鋭・低コスト運営を誇る会社だとご紹介しましたが、その特徴を生かし、「仲介手数料割引・最大無料」を実践しています。本物件も、売主が不動産会社だったため、買主の板倉ご夫妻からは一切仲介手数料を頂かない「仲介手数料無料」を実現することができました。

 

多くの不動産会社は、仲介手数料を宅地建物取引業法で定められている上限まで請求しています。具体的には、400万円を超える売買金額については「税抜売買金額×3%+6万円+消費税」です。

 

本物件の場合、約130万円が上限の手数料です。130万円もの金額が無料になるのは大きいですよね。

 

レッズが買主に仲介を依頼された場合、通常は半額までの割引を実施しますが、不動産会社が売主の場合は売主側からのみ仲介手数料をもらい、買主からはもらわず無料とするシステムなのです。

 

売却物件の広告には、必ず、広告を出した不動産会社が売主か、代理か、仲介かを明示しなければならない(取引態様の明示義務)と定められています。レッズに依頼すれば物件によっては仲介手数料が無料になること、売主が不動産会社かどうかは必ず広告に書いてあることを覚えておきましょう。

 

キレイで安い物件を探すには

 

今回の番組では、見事レッズの村上氏が物件を購入してもらうことに成功しました。そして人気エリアでのキレイで格安の物件は、やはり築年数が古いとか、借地権のマンションであるとか、格安なりの理由があることを改めて知ることができました。特に築年数は24年以下か25年以上かが、優遇措置が受けられるかどうかの重要な節目になります。

 

またマンション購入時には、不動産会社の仲介手数料は大きなコストです。仲介手数料が物件次第で無料になる、あるいは割引になる会社も検討されることをおススメします。

 

 

早坂 龍太(宅地建物取引士)
龍翔プランニング代表取締役。北海道大学法学部卒業。石油元売会社勤務を経て、北海道で不動産の賃貸管理、売買・賃貸仲介、プランニング・コンサルティングを行う。

 

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