令和の時代、数少ない成長産業は不動産の仲介業であると私は考えている。その理由は単純。
ズバリ、仕事が増えるからだ。

 

仲介業者の仕事が増える、ということはつまり、不動産の売買が多くなるということである。

 

ビジネスウーマン

(写真はイメージです)

 

9割以上が「負動産」時代、「一所懸命」の価値観が大崩壊

 

日本人は元来、「一所懸命」という価値観を抱いてきた。「一所」とはつまり「ひとつの土地」、あるいは「所領」という意味。ひとたび領地を得れば、命を懸けてでもそこを守る、というのが「一所懸命」なのだ。

 

この価値観は世代を超えて受け継がれる。つまりは「先祖伝来の土地を自分の代で手放すというのは恥。なんとしても次代へ残さねばならない」というのが日本人の伝統的な不動産への考え方だった。

 

今は違う。日本の土地のほとんどは、所有しているだけで「負」の資産。すなわち「負動産」でしかないのだ。

 

土地は所有していれば必ず値上がりする、という土地神話は遠く昭和の時代までしか有効でなく、平成の世には潰えてしまった。令和の時代、確かに値上がりする不動産もあるだろう。しかし、日本国内の不動産は9割以上が年々歳々その資産価値を下落させていくことは明々白々である。

 

4年後から10年間、「大相続時代」となる

 

さらに言えば、そういう不動産にも確実に相続が発生する。

 

かつて日本にはベビーブームと呼ばれる期間があった。第二次世界大戦が終わり、戦場に駆り出されていた若者たちが復員し、大量に一般社会に戻ってきた時代である。1946年から49年。この頃、戦場から帰った若者たちはいっせいに結婚して子供を作った。この期間に生まれた人々は、後に「団塊の世代」と呼ばれるようになる。

 

一学年の人口が優に200万人を超えていた。今の2倍以上である。日本が焦土から復興して経済成長を遂げる過程で、彼らは成長して社会人となる。凄まじい競争社会であったらしい。彼らは切磋琢磨しながら昭和と平成の時代を生き抜き、多くの人がマイホームを購入した。そして10年ほど前に、この団塊の世代はほぼ社会の第一線から退いた。

 

そんな彼らの中心である1948年生まれの方々が、令和5年には後期高齢者となられる。当然、その前後に生まれた方も相次いで同様に後期高齢者となる。包み隠さず書いてしまうと、彼らは「終活適齢期」である。平均余命の統計どおり推移するなら、その後15年ほどで彼らの大半は帰らぬ人となり、相続が発生する。

 

不動産業の視点から見ると、相続とはつまり所有権者の移動である。天に召された方が所有していた不動産を、そのまま相続人が受け継ぐ場合もあるだろうが、「売却して現金化」という需要も一定数は発生する。

 

そこで登場するのは他ならぬ仲介業者。つまりは我らが不動産屋の出番と相成るのだ。

 

令和5年前後からの10年程度は、かつて日本社会が経験したことのないボリュームで相続が発生すると私は予測している。つまりは不動産屋さんたちの出番が多くなる。だから、日本の成長産業のひとつが不動産仲介業といえるのだ。

 

「団塊ジュニアジュニア世代」は存在しない

 

不動産業者側からすると、これは無条件で喜べることでもない。その理由は、大量の物件が市場に出てくることになるが、それを受け取る側の需要が絶対的に不足するであろうという事態が確実視できるからである。

 

団塊の世代の子供たちは「団塊ジュニア」と呼ばれている。令和5年には、この団塊ジュニア層は50代の半ばに差し掛かっている。この年齢層は、住宅の需要層の中心からはやや外れてしまっているのだ。

 

団塊の世代はある程度、同じ時期に結婚をして出産を経験した。だからこそ団塊ジュニアと呼ばれる世代を作った。しかし、団塊ジュニア世代が高校や大学や専門学校を卒業して就職した時期は、長い就職氷河期の真っただ中であった。正規雇用による就業を果たした人の割合は、他の世代よりも低い。

 

彼らの多くは低収入に喘ぎ、結婚もできず、子供も作っていない。だから、「団塊ジュニアジュニア」という世代は統計上存在しない。

 

令和5年以降、団塊の世代がこの世を去って発生する大量の相続案件には、これを喜んで買い取る世代ニーズは存在しないのだ。

 

悲惨な郊外不動産をどう活用するか?

 

そこでどういうことが起こるのか?

 

単純に想像すれば、市場には売り物件があふれかえり価格は下落するばかり、ということになる。特に団塊の世代が大量に購入して住んだ、郊外のニュータウン型のマンションや戸建て住宅には悲惨な未来が待っている。その現象の一部は、今でも確認することができるくらいだ。

 

こんな相続時代こそ、意識の高い不動産業者が従来のビジネススタイルから大きく飛躍し、稼ぎまくれるチャンスではないかと私は考えている。価格が極端に下落した郊外の住宅を、ただ安い価格で仲介するだけでは芸がない。

 

たとえば周囲の住宅をまとめて新たな活用法を見出すとか、その過程で一時的に福祉的な用途で地域社会に貢献するとか。単なる売買の仲介から一歩踏み出したビジネス。もちろん、慈善事業ではなくてきちんと利益を生み出せるビジネスだ。

 

幸い不動産業者は相続が発生した際にいち早く声をかけてもらえるポジションにいる。その立場を生かさない手はないと思う。

 

繰り返すが、令和5年以降、相続が大量に発生するのは確実だ。なぜなら、いかなる人間も寿命には逆らえないからだ。

 

令和の大相続時代に、どの業種よりも役割が膨らむのが不動産仲介業。その時になって、従来通りのビジネスモデルで立ち向かうのか、新たなフィールドを切り開いていくのかは、それぞれの不動産屋さんたちの創造力と志の有無にかかっているのではないか。

 

◆ ◇ ◆

 

昭和、平成時代を経て日本のマンションは大きな転換期を迎えています。人生のうちで大きな買い物となるマンション選びにおいては、常に最善の選択をしたいものですが、そのためには変化に即して考え方や行動を変えていかなければなりません。長年にわたりマンションを取り巻くさまざまな業界の最前線をウオッチしてきた住宅ジャーナリスト、榊淳司氏がこれまでの常識はどの時点からどのように変わってきたのか、そしてこれからどう変わっていくのか、マンション購入を考えているみなさまにとって有益かつ目からウロコのお話満載で語っていきます。

 

◆ ◇ ◆

 

榊淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年生まれ、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上、携わってきた。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『限界のタワーマンション』(集英社新書)、『すべてのマンションは廃墟になる』『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)、『マンション格差』(講談社現代新書)など。

 

●ご存じですか? 不動産売買の仲介手数料はすべて割引!さらには無料になることを

東証一部上場企業グループの不動産流通システム(REDS)は、不動産売買の仲介手数料をすべて割引、さらには最大無料としつつも、お客様からの満足度の高いサービスを実現しています。

広告宣伝費などのコストを徹底的にカットしつつ、資質と経験を兼ね備えたベテランスタッフの運営でサービスの質は高め、お客様に利益を還元しています。

業界の常識を覆すREDSの新たなビジネスモデルは、「ワールドビジネスサテライト」「とくダネ!」などのテレビ番組をはじめ、各メディアでも紹介されています。

平日・土日祝日も営業中(10:00-19:00)です。お気軽にお問い合わせください。フリーコールはこちら0800-100-6633


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る