首都圏で毎年、増え続ける分譲マンション。しかし、その資産価値を長く保つことができるものは限られるのではないでしょうか。不動産の価格は、利用価値で決まるといわれます。

 

その不動産を利用する人間の数が減っていく近未来、利用価値は低くなるため、価格は下がっていきます。住宅ジャーナリスト、榊淳司氏は近著『2025年 東京不動産大暴落』でこう警鐘を鳴らしました。

 

各メディアで健筆をふるう榊氏は不動産への愛ゆえの辛口で知られますが、そんな榊氏にも資産性や流動性からその価値に脱帽したマンションがあります。マンションの具体名を挙げて、なぜ優れているのかを紹介していきます。

 

上野のマンション

(写真はイメージです)

 

パークタワー上野池之端

 

売主・三井不動産レジデンシャル 東京メトロ千代田線 「湯島」駅 徒歩7分  同「根津」駅徒歩7分
全175戸 2010年8月完成

 

不忍池を見下ろすタワーマンション

 

場所は不忍通りに面して、すぐ西側は東大病院の敷地。千代田線の駅で言うなら「湯島」と「根津」のちょうど真ん中あたりにあります。東側と西側へは、かなり開放的な眺望が広がっています。ただ、駅からちょっと歩きますね。「7分」という表示ですが、実際はもう少し遠い感じがしました。

 

不忍通り自体は、なかなかの交通量があります。ただ、片側が公園になっているので喧騒な感じは薄れています。また、街並みとしてもしっとりと落ち着いた感じ。住宅街ではないのですが、それなりに風情のある場所です。

 

「日本建築の思想に学び・・・」。これは新築販売時に広告でうたわれていたコンセプトです。三井さんらしいです。街の雰囲気とはあっているので、よいと思います。

 

30層の外観も、あたりを睥睨(へいげい)するような威圧感がなく、まずまず落ち着いた感じが出せています。そのあたり、この後でご近所にできたシティタワーとは大きく異なるところ。

 

ただ、気になるのは南北ともに高層建物にはさまれていることでしょうか。北側は13階建ての「パシフィックパレス池之端」。南側には14階建ての新築マンション「ウェリス池之端」が建設されました。さらに、北側をすこし離れると38階建ての「ルネッサンスタワー」。特に14階以下の南向きと北開口の住戸は、かなりの圧迫感がありそうです。

 

間取りはそれなりに工夫されています。50~60㎡台などシングル・DINKS向けが中心です。面積が抑えられている分、グロス価格はそれほど高くなっていませんでした。新築時の販売価格は平均坪単価が330万円前後。今から見ると安いですね。

 

現在は坪単価が400万円台の中盤まで値上がりしています。ノムコムによると2018年10月10日の時点で、参考相場価格は4,572万~2億3,860万円。参考相場単価は㎡あたりが109万~213万円、坪あたりが360万~704万円でした。

 

このマンションは誰が見てもそれなりに評価するので資産価値は底堅いはず。しかし、今の流通価格はやや実力を上回っているように思えます。新築販売時はリーマンショック直後の不況期でした。だから坪単価330万円はややお安めの販売でしたね。それでも完成在庫になっていました。

 

私は中層階以上で窓の外に抜けがある住戸が坪単価400万円前後であれば「買ってもいい」のではないかと考えます。もちろん、リーマンショックみたいなことがあれば、その水準をも下回る可能性は十分に秘めていますが。

 

 

榊淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年生まれ、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上、携わってきた。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)、『マンション格差』(講談社現代新書)など。