首都圏で毎年、増え続ける分譲マンション。しかし、その資産価値を長く保つことができるものは限られるのではないでしょうか。不動産の価格は、利用価値で決まるといわれます。

 

その不動産を利用する人間の数が減っていく近未来、利用価値は低くなるため、価格は下がっていきます。住宅ジャーナリスト、榊淳司氏は近著『2025年 東京不動産大暴落』でこう警鐘を鳴らしました。

 

各メディアで健筆をふるう榊氏は不動産への愛ゆえの辛口で知られますが、そんな榊氏にも資産性や流動性からその価値に脱帽したマンションがあります。マンションの具体名を挙げて、なぜ優れているのかを紹介していきます。

 

錦糸町マンション

(写真はイメージです)

 

アトラスタワー曳舟

 

売主・旭化成不動産レジデンス他 京成押上線「京成曳舟」駅徒歩3分、東武スカイツリーライン「曳舟」駅徒歩4分 
全245戸 2015年9月完成 28階建 

 

準郊外なのに駅前はタワーだらけ

 

同じエリアには、2012年の11月にほぼ「即日完売」して業界を驚かせた「マークフロントタワー」というのがあります。事業主は7割が旭化成、3割が首都圏不燃建築公社というからこちらと同じかもしれません。売主が人気の理由を語ったところによると、以下3点。

 

 ・駅前に整備される再開発事業の利便性
 ・イトーヨーカドーまで徒歩1分
 ・学区小学校へ徒歩2分、2~5階に図書館が併設

 

まあ、普通に考えれば人気のいちばんの理由は「都心直結の京成曳舟駅徒歩3分」でしょうか。ほかに、スカイツリーへの眺望もあったのではないかと考えられています。私の個人的な感覚では、スカイツリーはここほど間近に見ると圧迫感しかないような気がするのですが…。さらに「スカイツリー効果」だとすると一時的なものです。早晩、そういうメッキは剥げ落ちるので用心が必要。

 

冷静に考えると、墨田区のこのあたりのマンションは不動産としてあまり資産価値を高く評価されません。今のバブルが始まる以前は、新築マンションの坪単価にすると200万円未満。駅前でも180万円前後であることも普通でした。中古市場でも駅近の築10年モノは当時、坪130万円前後が目安でしたね。ところが、マークフロントタワーとこのマンションは240万円から255万円。バブルの影響で「ちょっと高すぎ」な水準なのに、完売しました。

 

間取りを見ましたが、それなりに工夫はしてあるのですが、「どこにダイニングテーブルを置くの?」と聞きたくなるプランもありました。まあ、タワーマンションの間取りは往々にして使いにくいもの。設計さんがよほどがんばらないと変なプランになりがちです。

 

規模も規模ですから、無駄な共用施設はありません。眺望も悪くないでしょう。資産価値は…。「京成曳舟」という場所をどう捉えるかですね。今は局地バブルがこのあたりまで及んできたので、新築時の2割高あたりで売り出している住戸も多いようですが、今ならせいぜい1割高くらいでないと成約しないでしょう。

 

こういうマンションは、市場が下落時に入ると取引が停滞します。だから、今は焦らないことですね。このマンションも実需が大半でしょうから5,6年後くらいから中古での売り出しが多くなるはずです。本来なら、そこまで待ってみるべきかと思います。

 

 

榊淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年生まれ、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上、携わってきた。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)、『マンション格差』(講談社現代新書)など。

 

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