首都圏で毎年、増え続ける分譲マンション。しかし、その資産価値を長く保つことができるものは限られるのではないでしょうか。不動産の価格は、利用価値で決まるといわれます。

 

その不動産を利用する人間の数が減っていく近未来、利用価値は低くなるため、価格は下がっていきます。住宅ジャーナリスト、榊淳司氏は近著『2025年 東京不動産大暴落』でこう警鐘を鳴らしました。

 

各メディアで健筆をふるう榊氏は不動産への愛ゆえの辛口で知られますが、そんな榊氏にも資産性や流動性からその価値に脱帽したマンションがあります。マンションの具体名を挙げて、なぜ優れているのかを紹介していきます。

 

高層住宅

(写真はイメージです)

 

ザ・パークハウス池上

 

売主・三菱地所レジデンス他  都営浅草線「西馬込」駅徒11分 東急池上線「池上」駅徒歩11分
全157戸  2012年3月完成 14階建

 

静かな住宅地の実需マンション

 

大田区の池上や馬込、洗足の周辺はマイナーながらそれなりの住宅地です。それでいて、不動産の価格が世田谷区ほど高くないのが特徴。この3エリアをあわせて「馬池洗(まいせん)」という呼び方もあるそうです。文京区周辺の「谷根千」に対抗しているのでしょうか。

 

ただ、このエリアを走っている東急池上線や都営浅草線という路線は、いたってマイナーなラインです。ステイタス感もありません。浅草線は新橋や日本橋方面に直通していますが、池上線は五反田と蒲田をつないでいるだけ。地下鉄の乗り入れはありません。

 

それでも、池上エリアの住宅地としての人気はそこそこあります。周辺エリアの住民には根強い需要があるように思えます。ただし、広域から多くの人々が流入するイメージではありません。あくまでも、地元の人々が「離れたくない」というエリアでしょうね。

 

このマンションが完成したのは2012年の3月。まだ都心バブルがその片鱗も見せていない頃の話です。民主党政権の暗い時代です。なので、新築分譲時の価格はさほど高くありませんでした。平均坪単価にして220万円前後だったそうです。

 

現在、そこからさして値上がりしていません。なぜなら、地味なマンションだからだと思います。東急池上線の「池上」駅もしくは浅草線の「西馬込」駅へそれぞれ徒歩11分。これからの時代、「徒歩10分以内」の検索範囲内でないと辛いですね。

 

現地周辺は静かな街並みです。目立った嫌悪施設もありません。家族で静かに住むにはいいところだと思います。売却や賃貸運用もそれなりにできるでしょうが、時間はかかるでしょう。ですので、このマンションはもっぱら「住む」ためですね。

 

中古市場での流通戸数はそれほど多くありません。しかし、一定数は出てきているようです。検討するのであれば、坪単価220万円を基準に価格交渉すべきでしょうね。現在、ノムコムによると、参考相場価格は3,983万~7,487万円。参考相場単価は㎡あたりが58万~89万円、坪あたりが191万~294万円でした(編集部注:2018年9月6日現在)。人気殺到、というマンションではないので、じっくりと構えれば、それなりの価格で購入できる物件だと推察します。

 

 

榊淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年生まれ、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上、携わってきた。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)、『マンション格差』(講談社現代新書)など。

 

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