首都圏で毎年、増え続ける分譲マンション。しかし、その資産価値を長く保つことができるものは限られるのではないでしょうか。不動産の価格は、利用価値で決まるといわれます。

 

その不動産を利用する人間の数が減っていく近未来、利用価値は低くなるため、価格は下がっていきます。住宅ジャーナリスト、榊淳司氏は近著『2025年 東京不動産大暴落』でこう警鐘を鳴らしました。

 

各メディアで健筆をふるう榊氏は不動産への愛ゆえの辛口で知られますが、そんな榊氏にも資産性や流動性からその価値に脱帽したマンションがあります。マンションの具体名を挙げて、なぜ優れているのかを紹介していきます。

 

資産性の高い優良マンション,品川区プラウド大井ゼームス坂

(写真はイメージです)

 

プラウド大井ゼームス坂

 

売主・野村不動産 JR京浜東北線・東急大井町線・東京臨海高速鉄道りんかい線 「大井町」駅 徒歩4分
全165戸  2012年4月完成 RC一部S12階

 

羽田進入ルートの変更に注意

 

JR京浜東北線の「大井町」は、品川からわずかにひと駅。その交通利便性の高さはつとに知られたところです。ただし、住宅地としてのステイタス感はイマイチなエリア。ただ、駅から南側の仙台坂というところは、ある程度は知られています。いまはどちらかというとマンションが立ち並んでいます。

 

このマンションが立地するゼームス坂というのは、住宅地というよりは繁華街の延長線上にあるような街。あか抜けした住宅地というよりは、便利でにぎやかなところ。このマンションも交通スペックは「JR京浜東北線 『大井町』 徒歩4分」。「駅徒歩5分以内」に入ってくるスペックです。悪くありません。

 

建物の完成が2012年の4月です。新築販売は2011年頃がピークでしょうか。2011年といえば、3月11日に東日本大震災がありました。震災後、ほぼ半年は新築マンションをはじめ、あらゆる不動産の取引がほとんど行われない状態でした。だから、このマンションも当然影響を受けたはずです。

 

また、2008年に起こったリーマンショック後の不況が続き、政権は旧民主党。日本という国が、どうにも抜け出せない閉塞感に包まれていました。当然、新築マンションの価格はジワジワと下落していました。このマンションの新築販売時の坪単価は322万円だそうです。当時としても、若干割高感を抱く設定だったと思います。

 

現在、そこから1割ちょっと上がった感じになっています。ノムコムによると、参考相場価格は5,280万~1億3,736万円。参考相場単価は㎡あたりが80万~144万円、坪あたりは264万~476万円でした(編集部注:2018年8月16日現在)。

 

ただこのマンション、住み心地がいいのか、あまり売出し物件が出てきません。平均すると1年に2戸くらいのペースではないでしょうか。そういうことなので、私はマンションとしては悪くないと思っています。

 

ただし、このマンションの資産価値にとって、最も懸念される「羽田空港への進入路問題」を抱えています。2020年中に変更、とされていますが、それ以降はどうなるのか。このマンションの場合、直線距離で数百メートルのところを飛行機が飛びます。最大70から80デシベルの騒音に耐えねばならない可能性があります。このくらいの騒音例は「走行中の電車内」や「パチンコ店内」くらいだそうです。

 

マンション内で過ごしている分には「ああ、飛んでいるな」のレベルかもしれません。しかし、屋外に出るとその騒音は相当なものだと思います。やがて、大井町近辺では不動産の資産価値へ悪影響が出始めるはず。それを考えれば、今の価格で購入を検討するのはやや危険かもしれません。

 

榊淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年生まれ、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上、携わってきた。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)、『マンション格差』(講談社現代新書)など。