首都圏で毎年、増え続ける分譲マンション。しかし、その資産価値を長く保つことができるものは限られるのではないでしょうか。不動産の価格は、利用価値で決まるといわれます。

 

その不動産を利用する人間の数が減っていく近未来、利用価値は低くなるため、価格は下がっていきます。住宅ジャーナリスト、榊淳司氏は近著『2025年 東京不動産大暴落』でこう警鐘を鳴らしました。

 

各メディアで健筆をふるう榊氏は不動産への愛ゆえの辛口で知られますが、そんな榊氏にも資産性や流動性からその価値に脱帽したマンションがあります。マンションの具体名を挙げて、なぜ優れているのかを紹介していきます。

 

資産性の高い優良マンション,世田谷区桜上水ガーデンズ

(写真はイメージです)

 

桜上水ガーデンズ

 

売主・野村不動産、三井不動産レジデンシャル 京王線「桜上水」駅徒歩3分
全878戸(非分譲住戸362戸含む) 2015年5月完成 RC14階建て

 

管理費と修繕積立金は安い

 

新築販売当時、タワータイプ以外では最も注目されていた物件です。いわゆる「桜上水団地」の建替えプロジェクト。全878戸のうち、約41%である363戸が元住民のものになったはずです。残り6割弱で事業が成立しているのですから、かなり立地が評価されたのでしょう。また、野村不動産がこういうメンドクサイ建て替え事業をやっていた、というのも、当時はちょっと意外でした。この手の事業が最も得意なのは、旭化成レジデンスというのが常識でしたから。

 

計画はよくできていると思いました。特に、ランドプランは無理なく無駄なく仕上がっていましたね。それもそのはず、驚いたことに容積を2割近く余らせていました。純粋な長谷工プロジェクトなら、ありえないことです。多分、再開発の話し合いの中でそうなったのでしょう。よく野村不動産が受け容れたと思います。結果的に、敷地計画にゆとりが生まれ、いいマンションに仕上がっています。

 

間取りもすっきりしていて好感が持てました。新築販売時、専有面積は58.48~111.84㎡ということですが、80㎡以上のプランが多かった印象があります。それぞれシンプルな間取りレイアウトながら、住みやすそうです。

 

面白いのは、管理費と修繕積立金がかなり安く設定されていたこと。当時の表示を見ると以下のようになります。

 

管理費 月額 1万2,750円~2万4,490円
修繕積立金 月額 5,610円~1万1,070円

 

管理費と修繕積立金の㎡単価合計額は285~319円だそうです。これは他の野村不動産開発案件と比べて「安い」と強調しています。まあそうでしょうね。ただ、なぜ安いのかも考えたいところ。それは単に878戸というスケールだから、という問題でもなさそうです。私の推測では、多分元の住民たちの要請でしょうね。それを開発実行への条件にしたのだと思います。

 

というのは、元の「桜上水団地」に住んでいた人々の中には、現金収入があまり多くない人々も含まれていたと考えられるからです。タダで今より広い住戸に住めるからと言って、目をむくほどの管理費・修繕積立金を払うことには大きな抵抗を感じる人も多かったのでしょうか。「管理費はできるだけ安く」という強い希望が出た結果だと推測しました。

 

注意して当時のオフィシャルページを見てみると、管理費が高くなりそうな共用施設やサービスの表示が見当たりませんでした。そういったところにも旧住民の意向が反映されているのでしょう。

 

このマンションの強みと弱みは、やはりこの旧住民の存在でしょうね。きっと再開発組合でさんざん話し合ってきたので、それなりに結束しているはず。マンションの管理組合では主流派を形成していることは、ほぼ間違いありません。そして、新住民とは所得の格差や意識の違いが生まれているはず。最初の数年はいいのでしょうが、年をへるごとに新旧住民の対立が激しくなっていくことも考えられますね。ちょっと心配です。

 

さて、業界内ではこの物件の新築販売価格について「坪330万円」と噂されていました。当時は「それでも売れるだろう」というのが大方の見通しでしたね。私も多分、それで大半売れると思いました。でも、販売開始当時はちょっと高めであったことも確か。当時の坪単価330万円と言ったら、何といっても山手線内のレベルでしたから。

 

現在、中古マンションとしてそれなりに流通しています。相場観としては新築時とほとんど同じ。気持ち上がったかなという感じです。だから、新築購入者は今のところ「損はしていない」という感覚でしょう。今後はジワジワと下がっていくはずです。ノムコムによると、参考相場価格は6,556万~1億1,317万円。参考相場単価は㎡あたりが91万~120万円、坪あたりが300万~396万円でした(編集部注:2018年8月3日現在)。

 

憂慮すべきは、この先に中古での売り出し物件が多くなりそうなこと。旧住民がお金に困ったときに手っ取り早く換金に走るかもしれないからです。そうなると、やはり需給バランスが緩んで値下がりが進む可能性もありそうです。旧住民住戸が4割あるということは、そういう資産の脆弱性も含んでいるのです。したがって、このマンションはじっくりと出モノを待つ物件ですね。

 

 

榊淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年生まれ、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)、『マンション格差』(講談社現代新書)など。

 

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