大阪北部で発生した地震によりブロック塀が倒壊し、幼い女の子が犠牲になりました。そのブロック塀は、建築基準法違反の状態で放置されたままだったのです。

 

そもそも、学校のプールという公的な施設に違法塀が存在すること自体が信じられません。そこで今回は、なぜ建築法違反状態の建築物や工作物が存在するのか、さらにそれらが他人に傷害を負わせたときに誰が責任を取らなければならないのかなどについて紹介します。

 

ブロック塀

(写真はイメージです)

 

なぜ「違法状態」の建築物が存在するのか

 

大阪市が市立の小中学校で調査したところ、建築基準法に違反した倒壊の危険性のある塀は32校で確認されました。現行法による2メートル20センチ以下の高さ制限や補強材が設置されていないなどの違反です。

 

補強材については、ブロック塀の高さが1メートル20センチを超えれば直角方向に「控え壁」と呼ばれる補強材を設置することが義務付けられています。特に古い時期に設置された塀にはこうした措置が取られていないようでした。

 

現行法に違反している塀が多い理由は、宮城県沖地震等の被害に伴う昭和56(1981年)年6月の建築基準法施行令の大幅な改正が影響しています。この改正で、コンクリートブロック塀の高さ制限が3メートルから2メートル20センチに変更されました。

 

ただ、改正前に合法として建てられた塀を新しい規制に応じて、造り直さなけれなばならないということではありません。それは造った側の負担があまりに大きいからです。改正前の法律には適合していたのに、改正後の法律に適合しなくなった物件を「既存不適格」と呼びます。現時点では違法状態でも、造った当時に適法であれば、問題ないのです。「既存不適格」は、建物の高さや面積などの基準を無視した「違法建築物」は異なるのです。

 

1981年の同法改正では耐震基準も改正されました。1981年6月1日以降は、新耐震基準(震度6強~7程度の揺れでも倒壊しない)による建築でなければならなくなりました。それ以前は旧耐震基準(震度5強程度でも倒壊しない)による建築です。これも「既存不適格」です。

 

違法ブロック塀が放置されているように、マンションも同様に放置されています。少し古いデータですが、2013年5月発表の東京都マンション実態調査によると、23区内にある分譲マンション約4.6万棟のうち、旧耐震基準で建築されたのは約1万棟でした。本来なら、耐震改修工事をしなければならないのですが、費用不足などを理由に、実際に耐震改修工事を実施したマンションはこのうち1割未満しかないという状況です。

 

自宅の壁が人に損害を与えたとき、誰が責任を取るのか

 

ブロック塀によるリスク管理が必要なのは、学校のような公的な物件だけではありません。自宅の壁が倒壊して人を傷つけた場合も、所有者としての責任は免れません。つまり、今回の地震による事故のような問題は、誰にとっても起こりうることなのです。

 

民法に「工作物責任」という規定があります。建物などの欠陥が原因で人を傷つければ、その建物などを使っている人がまず、被害者に対して損害賠償しなければならないのです。

 

しかし、使っている人が適正な注意をしていたとき、責任が問われるのは所有者です。

 

たとえば、アパートの壁が崩れて人をケガさせたときは、まず住んでいる賃借人に責任があるのですが、賃借人が「壁が崩れそうだ」「修理してほしい」と大家さんに連絡するなど、適正な注意をしていたのであれば、責任はアパートの大家さんにあるということです。このように、所有者に過失がなくても責任を負うことを「無過失責任」といいます。

 

ただし、壁やブロックの倒壊した原因が建築や設計の欠陥によるものであれば、被害者に損害賠償をしたアパートの大家さんや民家の所有者は、建築業者や設計業者に損害賠償を請求することができます。施工者が最終的な責任を取ることもあるのです。

 

地震と平時で異なる損害賠償

 

建物の欠陥が原因ではなく、地震が原因で壁が倒壊してけが人が出た場合、誰が責任を取らなければならないのでしょうか?

 

工作物責任の場合、建物等の欠陥が原因で壁やブロックが崩れたことが前提になります。したがって、大地震のような不可抗力であれば損害賠償責任を負いません。しかし、不可抗力にあたる地震のレベルはどれほどのものなのでしょうか。

 

地震の基準を定めるのは難しいのですが、目安としては判例により「震度6以上」の地震を不可抗力としているようです。倒壊の危険性のない程度の地震で壊れたのであれば、もともと欠陥があったという判断がされるかもしれません。

 

もちろん、造ったときすでに建築基準法違反の壁やブロックであれば欠陥があるとされ、損害賠償責任を負うことになります。また、既存不適格の壁やブロックでも倒壊すれば責任を免れるのは難しいでしょう。なぜなら、建築基準法では責任がなくても民法や刑法での責任が発生するからです。

 

他人ごとではありません

 

震災時の建物被害から守らなければならないのは、自分自身だけはないようです。壁やブロックなどは、周囲に被害を与える可能性が高いので、注意する必要があります。

 

自宅が建築基準法上の耐震基準に適合しているかどうかを判断するのは難しいことです。しかし、「このブロック、高くてなんだか危なそうだな」くらいの判断はできるでしょう。大阪の痛ましい死亡事故を対岸の火事ととらえるのではなく、事前に備えることも大切なリスク管理です。

 

今中克己(宅地建物取引士) 約20年にわたりビジネススクールで宅建士・社労士など資格試験の講師を務める。宅建士以外の所有資格は、社労士、測量士補、マンション管理業務主任者など。理解することが興味へのアプローチになると考え、試験指導と同様、読者にわかりやすい内容で記載することを心がけている。

 

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