先日、大阪のとある不動産仲介業者さんの団体にお招きいただいて講演した。その中で、「今は考えられないかもしれないが、近未来にレインズの一般開放はあり得ること。なぜなら、エンド(ユーザー)さんたちにとっては何のデメリットもないから」というお話もさせていただいた。

 

さらに、2017年春のリクルート住まいカンパニー社内研修の折に「SUUMO(スーモ)」の編集長と話す機会があって「私たちもレインズの開放を視野に入れていますよ」とおっしゃっていたエピソードもお話しした。

 

私が知る限り、東京の仲介業者の間では「レインズの開放なんて夢物語だろ」「また榊がアホなことを言うとる」という世界だった。しかし、大阪のその団体さんの間では違った。講演会後の懇親会で、団体の代表さんとお話をさせていただいた。

 

「私たちはレインズの開放を提言しようとしています。講演で榊さんがおっしゃった通り『レインズの開放自体はエンドさんに何のデメリットもない。それをしないのは、ただ仲介業者を守っているに過ぎない』ということには納得できますから」

 

な、なんと…。これは大きな衝撃だった。世の中は、私が考えている以上のスピードで変化しているのかもしれない。もちろん、レインズの開放が数年以内に実現するとは思えない。しかし、すでに当の仲介業者さんの中にも、それを見据えた未来戦略を描いている一群が存在するのである。

 

レインズ

(写真はイメージです)

 

世間からみた不動産業界

 

ともすれば「売ってやる」「貸してやる」という高飛車なエンド対応に走りがちなのが、従来の不動産業界だった。東京の仲介業者の中には、「エンドはすなわちカモである」とあからさまに広言している人々さえいる。そういうことをしている限り、不動産業者はいつまでも社会的地位を向上させられない。

 

不動産業というのは、上手にやればかなりもうかる。しかし世間からは冷たい目で見られがちだ。不動産業に従事する人間は、医師や弁護士はもちろん銀行員や公務員、商社マンやメーカー勤務のサラリーマンよりも低く見られる。なぜか?

 

それは、すべての不動産業者ではないにしろ、いまだに一般消費者を半ばだますような取引を行っているからだ。また、そういった行為を悪びれることなく仲間内で自慢し合う人士(じんし)も多い。道徳的にはかなりお寒い業界である。

 

なぜか一般開放されていないレインズ

 

その彼らを守っている仕組みの1つがレインズだ。正式名称は「不動産流通標準情報システム(Real Estate Information Network System)」。国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピュータ・ネットワーク・システムである。

 

不動産の仲介業者は、売却や賃貸募集の依頼を専任で受けた場合、その物件をこのシステムに必ず登録しなければならない。だから有り体に言えば、「SUUMO」や「HOME’S」よりも登録物件数は圧倒的に多い。しかも成約事例まで見ることができる。

 

つまりレインズは、買い手や借り手を探しているほとんど全ての物件をカバーしている、日本最大にして最強の不動産物件情報サイトなのだ。成約事例も登録されているから、売買でも賃貸でも、市場価格を類推するためのデータになる。

 

しかし、このレインズはなぜか一般開放されていない。仲介業者しか見られないのだ。何ともおかしな話ではないか。

 

レインズを一般開放せよ

 

私は常々「レインズを一般開放せよ」と唱えてきた。エンドユーザーにとってそれは何のデメリットもなく、むしろ物件選びや売却価格の設定に関してかなりの参考になるはずだ。不動産の売買や賃貸における市場価格の形成は、よりスムーズになる。

 

ただ、レインズを一般開放すると困る人々がいる。それが不動産の仲介業者だ。「このあたりの相場は坪○○万円ですよ」「△△マンションの成約事例は今年の□月と□月にあって、坪○○万円でしたから……」何も知らないエリアでもエンドユーザーにこういうトークができるのは、彼らがレインズを見ることができるからだ。

 

エンドさんたちは「SUUMO」や「HOME’S」で、現状で市場に出ている一部物件の売り出し価格や賃貸募集の賃料は調べられても、成約事例は分からない。レインズは、こういう情報の非対称性を構築している元凶なのである。

 

だからレインズの一般開放は、エンドさんたちにとってはメリットばかり、逆に仲介業者にとっては自らの情報の優位性を奪われることになる。

 

見えてきたレインズの開放

 

しかし時代の流れは確実に、レインズの開放に向かっている。これは時間の問題だ。

 

2013年に始まったアベノミクスと金融緩和は、この国の不動産市場に局地バブルをもたらした。だがバブルは所詮バブルだ。ピークはすでに過ぎたと思われる。

 

局地バブルで住宅価格が高騰した東京の都心などでも、いずれ健全な市場価格形成に向けた下落が始まる。そしてその後には、誰もが生涯に何度も住宅を買い替える時代が到来するだろう。新築が中心だったこれまでの一次需要層の住宅購入も、欧米先進国のような中古主流の構成に変わっていくはずだ。

 

そういう新しい時代に向け、市場は今よりも健全になるべきだ。レインズを仲介業者しか見ることができない現状は、不動産市場をゆがめている。これは一刻も早く改め、誰もがレインズを見られるように改革すべきである。

 

私は、レインズの開放という避けられない流れに対し、仲介業者の99%は反対して頑強に抵抗するものと考えていた。しかし意外にも「エンドユーザーさんたちにとって良いことなら、われわれも受け入れるべき」と考える仲介業者さんたちも多くいることを知った。その事実に勇気づけられるとともに、大いに誇りに思った次第である。

 

榊 淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。一般の人々にわかりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『マンション格差』(講談社現代新書)など。

 

 

この記事に関連する「レインズはマンション売却成功のカギ! 登録前・登録後の注意点」「マンション売却は売買契約後も気が抜けない! 契約後の注意点と手続き」「榊淳司のマンション注意報「物件案内を有料化せよ」」もぜひご覧ください。

 

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