アメリカでは「医者と弁護士と不動産屋は友達にしておけ」と言うらしい。さもありなん、この3分野の専門家は、人生に大きく関わる幸運や不運に絡むことで、大いに助けになる場合が多い。アメリカならずとも、日本でも十分に通用するセオリーだ。

 

私は今から30年ほど前、新築マンションの広告を専業とする会社にコピーライターとして入社し、その後、マンション広告の制作プロダクションを起業した。仕事仲間や顧客はマンションデベロッパーや販売会社の社員から、広告代理店の営業担当、そして私のようなクリエイターたち。ほとんどが新築マンションの販売や広告に関係する業務を行う人々だった。

 

不動産売却

(写真はイメージです。)

 

また広告代理店には、マーケッターと呼ばれる職種の人がいる。新築マンション市場の動向をエリア別に分析して、デベロッパーに適切な価格や広告制作の方向性を示すのが彼らの仕事だ。

 

にもかかわらず、そういった当時の私の仕事仲間たちが、個人的にマイホームを購入する際、彼らの専門性がいくらか役に立ち、マイホーム購入で成功したかを考えると、残念ながら、私が知る限り「死屍累々」である。

 

成功したといえる人はほんの一部。ほとんどの人が「まあまあ」か、あるいは失敗していると言わざるを得ない。住宅ローンが払いきれず自己破産や個人再生をしている人もかなり多いし、マシな人でも、35年のローンを払い終えてほっとしながらも、資産価値が大幅に減じたマイホームに暮らしつつ老後の不安に脅えているという有様だ。

 

なぜそんなことになってしまったのか?

 

答えは、いつもながら単純だ。人口が減り、住宅需要が日々細る今日の光景を予測しなかったからである。みな、東京や大阪、名古屋といった大都会が永遠に郊外へ膨張し続けると信じていたのだ。しかし現実は、地方の商店街はシャッター化し、郊外のニュータウンは廃墟の危機を迎え、数十年前に分譲された建売住宅は日々朽ちている。

 

前述の「新築マンション市場分析の専門家」であるマーケッターを何人も知っているが、彼らの半数以上はマイホーム購入に失敗している。彼らは短期的な市場分析には長けていたかもしれないが、10年、20年という中長期の未来については、大いに誤ったというしかない。

さて、現実に目を向けよう。

 

最近『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(講談社現代新書)という書物が話題になった。未来を予想することは難しいが、確実に分かることもある。そのひとつが人口だ。実は私も、6月に刊行した拙著『2025年東京不動産大暴落』で、不動産における「未来の年表」を提示している。一部をここに紹介しよう。

 

•2019年 平成30年調査の空き家率発表(16.9%へ激増予測)
•2020年 東京オリンピック終了
•2021年 団塊ジュニア世代、50歳代へ
•2022年 生産緑地法の期限が切れる
•2023年 空き家率が21%突破、6,600万戸超へ
•2025年 東京都人口減少の開始、高齢者人口3,600万人へ

 

人口が減れば、空き家が増える。空き家が増えれば住宅市場への供給も自然に増える。空き家率は5年ごとに調査して発表されているので、次の発表は2年先の2019年だ。

 

2020年の東京オリンピックが終われば、その後は「祭りの後」の虚しさが漂う。「祭りの会場」だった湾岸エリアには、次なる発展ステップへの材料がこと切れてしまう。さらに団塊ジュニアが50代に達すれば、住宅需要が一気にしぼむはずだ。東京では新築マンションがますます売れなくなる。それが2021年以降だ。

 

2022年には、それまで大都市の郊外に点在していた不思議な農地たちが、次々にマンションや戸建て住宅に変わり始める。生産緑地法の期限が終了するからだ。しかし、それを吸収する需要はうんと細っている。

 

今から7年後には5戸に1戸が空き家になっているかもしれない。その現実を想像してほしい。住宅の価格はもちろん、賃料への強力な下落圧力が生じているはずだ。
そして、2025年には東京の人口までもが減り始め、日本人の3人に1人が老人に……。

 

こういった「未来」がやってくることは、ほぼ確実だ。これは動かしがたい。
それでも、日本の住宅産業はマンションや戸建て住宅を作り続けている。行く先に奈落へ落ちる滝があることが分っているのに、船を進めているようなものだ。

 

では、我々はそういった確実な未来に向けて何をすればいいのか。これは自明だ。

 

現時点で自分が住んでいる、あるいは未来に住むことになる以外の不動産は、一刻も早く売却しておくべきだろう。特に大都市の都心ではなく、郊外や地方に所有する不動産は処分すべきだ。そのうち、売ろうにも売れなくなる。
現に、地方の郊外にある不動産には値がつかないものが多い。実家の処分を思いあぐねている人も多いことだろう。

 

しかし、私が見る限り、多くの人がまだ迷っている。思い出のある家、親や祖父母が築いた家、先祖伝来の土地を売るには忍びないと考えている人が多い。

 

ご自身に相続者がいなければ、思い出の不動産を持ち続けてもいい。しかし、子どもたちに少しでも優良な資産を残したいのなら、何の利用価値もない不動産は残さない方がいい。相続が発生した場合、資産は選別できない。「金融資産は相続するが、田舎の家はいらない」ということはできないのだ。全部を相続するか、全部を放棄するかの二者択一である。

 

田舎の家や土地にも固定資産税はかかる。利用価値のない不動産は、負担ばかりが発生する「負」動産だ。子孫のためにも、なるべく早く手放すべきだろう。

 

これからの日本は、不動産業者に対して「購入をサポートしてくれる」というアグレッシブな役割ではなく、「不要な不動産を処分してくれる」といういわば敗戦処理的な役割を求められる場面が多くなりそうだ。そういう意味でも、良心的な不動産業者と友好関係を築いておくことは、人生にとって有益になると思う。

 

業界人、あるいはその周辺の人たちも、かつての私の仲間たちのように「自分は分かっているから大丈夫」などと考えずに、不要な不動産を処分できる最後のチャンスがこの数年間だと理解しよう。

 

そして最初にやるべきことは、自分の周りを見渡して、信頼できそうな不動産仲介業者を見つけることだ。

 

榊 淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『マンション格差』(講談社現代新書)など。

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