「マンションは新築で買うのがいいのか、中古を選ぶのがいいのか?」
これは一種の神学論争だ。つまり、どちらがいいという決定的な答えはない。ただ、損得だけで考えるのなら中古であろう。

 

マンション
(写真はイメージです。本文の内容とは関係がありません。)
 
理由は色々あるが、主なものを挙げると次の3つになる。
 

  1. 「新築→中古」よりも「中古→中古」の方が、下落幅は小さくて済む
  2.  

  3. 中古は常に市場価格だが、新築は市場を突き抜けたバブル価格の場合がある
  4.  

  5. 中古は時に売り急ぎのお買い得物件があるが、新築では少ない

 

まず1について、新築マンションの価格にはデベロッパーの利益が15~20%、販売会社の手数料が3~5%乗っている。それが新築プレミアムと呼ばれるもので、ひと昔前までは「新築は購入した途端に2割下がる」などと真面目にささやかれていた。
 
今でも郊外ならその法則が適用できるが、都心だと、中古の価格が新築のそれを上回る逆転現象さえ見られ、そういう場合は、個々の物件への資産価値評価も絡む問題となる。また、ここ数年は投機・投資の需要が都心エリアの価格形成を歪めてきた。
 
今のようなやや不自然な価格形成が行われている時期を別にすれば、1の法則は十分に説得力があろう。特に建築費が下落しにくい近未来において、新築と中古の価格差が、エリアによらず乖離していくことは十分に予測できる。
 
2についても、ここ数年の局地バブル期においては割と分かりやすい形で見られた現象だ。新築マンションがバブルに先行して値を上げ、中古がそれに付随するように値上がりしていった。
 
しかし、すでに新築の値上がりは停止している。中古価格もそれに先駆けて調整局面を迎えていた。つまり、中古の方がより市場の需給関係を反映しやすいということだ。
 
3に関しては一般消費者にはその認識が薄いが、何よりも大きな違いは、新築マンションの売り手はデベロッパーだという点。小さくても年商数百億円、大手だと数兆円の企業規模になる。それだけに価格決定や値引きに対しては動きが鈍い。
 
しかし、中古マンションの売り手はほとんどが個人あるいは個人規模の法人だ。そのため、販売条件は個別事情で大きく異なってくる。時に売り急いでいる物件は、市場価格の2割安で売り出され、相応の値引きに応じる場合もある。
 
以上のような理由で、中古の方が新築よりも「高値つかみ」の可能性は低いといえる。あるいは、割安物件を引き当てる幸運も期待できる。
 
一方、特に日本人は「新築好き」が多い。私は、「多少高くても新築を」という嗜好を持った人が全体の2割から3割はいると予測するが、それは個人の好みなので仕方ない。新築が買える資力があるのなら、他人がとやかく言う筋合いはないだろう。
 
ただ、一つ申し上げたいのは、新築マンションというのはやたらと「厚化粧」だということである。つまり、実力以上に良く見せているので、ついついその本質を見誤ってしまうということだ。
 
まず、広告に多額の予算を注ぎ込まれる。目安としては1住戸100万円。またオフィシャルページの制作・運営費、Yahoo!不動産やSUUMOなど不動産ポータルサイトへの出稿料、イメージ動画制作にウン百万円、イメージキャラクターに有名タレントを起用すれば数千万円かかる。さらにはDMや豪華パンフレットの製作費などなど。
 
この他にも、敷地外モデルルームの設営費は最低でも4千万円はかかると言われている。土地の賃借料は1ヶ月数十万円~百万円超。新築マンションのプロモーションには、こうした多額の予算が注ぎ込まれているのだ。
 
さて、あなたがその新築マンションを購入し、10年後に中古として売却する時、広告費として出せる予算はどのくらいであろうか。ほとんどの人は、自分のマンションの売却にプロモーション費用など出さないであろう。新築時が厚化粧とすれば、中古での売却はスッピン。その物件の持つ実力で勝負するしかなくなる。
 
だからこそ、厚化粧にだまされてはいけない。どれだけきれいなCGパースを見せられ、オフィシャルページの中で人気タレントがニコっと微笑んでも、10年後の物件の実力には何の関係もありはしない。
 
では、新築マンションの厚化粧にだまされないためには、どうすれば良いのだろうか?新築マンションのオフィシャルページを見る際に注意すべき点を挙げる。
 
まず、何よりもマンションが「どこにあるか」。現地案内図があれば、それで大まかな場所が分かり、周辺環境が想像できる。現地には必ず行ってみることだ。それも、あの手この手で幻想を抱かせる仕掛けが整えられているモデルルームを見る前に、現地を見るべきである。
 
さらに言えば、現地を見る前に「グーグルストリートビュー」や「グーグルアース」で周辺をチェックしておけば万全だ。ぐるぐる歩き回らなくても、エリアのイメージをつかめるだろう。
 
オフィシャルページの中で次に見るのは「概要」だ。住所、交通、総戸数、専有面積、間取り、完成予定日など、重要情報がギッシリと詰まっている。「販売価格」や「販売予定時期」なども重要。これらをチェックすれば、本当にそのマンションの概要が理解できる。
 
あとはトップページである。そこには、売主がそのマンションをどういうベクトルでアピールしたいのかがハッキリと表れている。
 
物件のある場所を前面に出しているなら、立地で勝負しているということ。価格がデカデカと表示されているのは「安いから買ってね」という意図。タレントで出てきて微笑んでいると「中身では勝負できないからごまかしています」と伝えてくれている。
 
さらに「契約者先着5名様に500万円プレゼント」のようなものが出ていると「値引きしてあげるからお願い、買ってください」という悲愴な叫び声だと考えればいいだろう。
 
トップページのメッセージがよく理解できない新築マンションは避けるべきだ。なぜなら、そのマンションの開発事業を担当している人間のセンスや考え方と、あなたのそれが、かなりずれている可能性が高いからである。
 
そういうマンションを購入して住み始めても、その違和感がずっと続くことになるかもしれない。それは一種の不幸ですらある。
 
前回も書いた通り、現時点で首都圏の新築マンションは「完成在庫の山」状態だ。そして、新築マンション市場の2017年は「値引きyear」になっている。この後、中古マンション市場も下落期に突入すると思われる。
 
今言えるのは、「売るべき物件があるのなら早々に売り、買いたいのなら慎重に物件を選んで、高値つかみを避けるべきだ」ということ。新築マンションを狙うのはいいが、間違ってもその「厚化粧」にだまされてはいけない。
 
榊 淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『マンション格差』(講談社現代新書)など。

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