あの有名タワーマンションは、優良物件、それともダメ物件? 不動産業界に精通した気鋭の住宅ジャーナリストが、東京23区のタワーマンションの資産価値を独自の視点で論じます。今回は「港区」の第2弾として3物件を徹底チェック。マンション購入・売却のご参考になさってください。

 

  タワーマンション

(写真はイメージです)  

 

ワールドシティタワーズ

 

売主/住友不動産 JR山手線「品川」駅から徒歩14分
全2,090戸 2007年2月全体竣工 地上42階・地下2階建

 

完結型のタワーマンション団地

 

住友不動産が手掛けた数々の開発プロジェクトの中でも、 代表的な事例と言っていいのがこのワールドシティタワーズ。 開発が始まったころは、あまりにも無謀と思えたが、結局は成功裏に終わっている。 途中、不動産ミニバブルとリーマンショックを経て販売は2012年まで続いた。

 

アドレスは港区港南4丁目。普通に考えれば不便な場所だ。 JR品川駅までは徒歩14分。とても毎日歩けるものではない。 他にも、東京モノレール「天王洲アイル」駅へ徒歩4分、りんかい線「天王洲アイル」駅へは徒歩8分。 この両線とも著しく使い勝手が悪い。

 

では、この2,090戸に住む住民は毎日どうやって通勤、通学しているのか。

 

おそらく専用のシャトルバスを利用する人が大半であろう。 以下、ウィキペディアからの引用。  

 

“品川駅とマンション間にマンション専用シャトルバスが運行、品川駅まで約5分(平日126往復、通勤時間帯朝7時台・8時台5分毎出発、その他の時間帯10分毎、土日・祝日は15分毎、午前5時台より深夜1:25まで運行)“(Wikipediaより)

 

これなら便利である。

 

また、たとえ最終を逃しても品川駅から何とか歩ける。しかし、シャトルバスが永久に運行されるとは限らない。

 

管理組合が正常に機能している限り問題はなさそうだが、建物も住人も高齢化することは避けられない。 人手不足の時代に、運営コストもかさんでいくことが予想される。

 

そう考えると、いつまでも「片道100円」の利用料で運行が続けられるとは思えない。

 

すでに全体完成から10年が経つ。棟によっては築12年になる。老朽化の足音がそろりと近付いてきていることは確か。

 

しかし、コミュニティとしては成熟期を迎えていると推測できる。何より、このスケールだけにさまざまな生活利便施設が充実している。

 

敷地内で営業する食品スーパーのマルエツは24時間営業。棟内には認可保育園もあればクリニックもあり、 スカイラウンジやフィットネスなど一通りの共用施設がそろっている。ただしプールや温浴施設など、あとあと面倒になりそうなものはない。普通に考えれば、あと20年程度はコミュニティとしての良好な環境が続きそうだ。

 

資産価値も、新築時に比べれば多少は上昇しているケースもある。 実のところ、最初に売り出された2004年ごろの販売価格と、 完売間際の2010年ごろでは坪単価に差異が生じていたようだ。 販売途上の2005年から2007年にかけて、不動産ミニバブルがやってきた。 この時期にどうやら住友不動産は値上げに踏み切ったと考えられる。

 

当初売り出し時の坪単価は200万円台の中盤から後半。販売終了時の2010年から2012年ごろは、優に400万円を超えていた。途中、2008年にリーマンショックが起こったことで、 値上げした住戸の販売が長引き、2012年ごろまで引きずったのだ。

 

その後、現在の「局地バブル」が発生したことで相場観はさらに上昇。しかし、2016年の後半から実勢の資産価値は徐々に切り下がっている。現在の相場観としては、20階あたりで坪単価300万円。 20階未満だと坪単価は200万円台の中盤から後半。今後はジワジワと下がり続けることが予想される。

 

このマンションの購入を考えるのなら、あわてないことだ。何といっても2,090戸と住戸数が多い。数か月に1戸ぐらいは、売り急いで相場よりも安く売り出される可能性がある。あるいは、売出価格が相場であっても交渉可能なケースもあろう。そういう物件を上手に見つけ出すことがキーになる。  

 

赤坂タワーレジデンス トップオブザヒル

 

売主/サンウッド他 東京メトロ銀座線「溜池山王」駅から徒歩4分
全518戸 2008年4月竣工 地上45階・地下3階建

 

赤坂、人生、のぼり坂

 

このマンションは売主の幹事企業であるサンウッドが、まだ森ビルグループの一員であった頃に開発された。 言ってみれば、サンウッドというデベロッパーの代表作である。 その後、サンウッドは森ビルグループから切り捨てられて現在に至る。

 

「赤坂、人生、のぼり坂」  これは、このマンションの販売キャンペーンを担う広告代理店の選別コンペティションで、 かなり著名な某コピーライターが考えたキャッフレーズ。ちなみに、そのコピーライター氏の代表作は「北海道、でっかいどう」。

 

ちょうど不動産ミニバブルが日本を席巻していた頃のエピソードだ。残念ながらこの「のぼり坂」のキャッチコピーは不採用。 実際に使われたのはもう少し味気ないフレーズだったと記憶している。不動産屋さんに広告的センスを求めるのは無理ということだ。

 

ともあれ、このマンションは「人生の坂を上りつめた成功者」が 買うにふさわしい物件だという認識は、当時の関係者に共通していた。 まあ、TBS側に比べればさほどでもないが、一応は坂である。その頂上付近と言えば頂上付近。だから「トップオブザヒル」。

 

タワーマンションとしては平凡だ。全518戸という規模も普通サイズ。取り立てて際立った共用施設があるわけでもない。ただ、この辺りは超高層建物がさほど多くないので、開放感をたっぷりと享受できる住戸は多い。

 

このマンションを新築時に購入した人は、今ごろ、ほくそ笑んでいるかもしれない。何しろ資産価値としては、1.2倍から1.3倍程度に上昇しているのだから。銀座線の「溜池山王」駅から徒歩4分だが、千代田線の「赤坂」駅からも4分。この資産価値の基盤は揺るぎない。だから、新築時も販売は好調に推移し、短期間で完売に至った。

 

今後、現在の局地バブルが崩壊するとマンション価格の下落期が訪れるだろう。このマンションの資産価値も下落基調に転じるのは間違いない。というか、昨年あたりからやや弱含んではきている。しかし、新築時の平均坪単価500万円(推定)を割るには、 相当の時間を要するのではなかろうか。また、ここ10年以内に400万円まで落ちることは考えにくい。そういった意味では「底堅い」物件ではある。

 

その底堅さを支えているのは、やはり「立地」。今後、近隣に同様のタワーマンションが開発されるとは考えにくく、 その希少性が続く限り資産価値は底堅いのである。 

 

芝浦アイランドグローヴタワー

 

売主/三井不動産 JR山手線「田町」駅から徒歩8分
全833戸 2006年11月竣工 地上49階・地下1階建

 

「芝浦の島」は、今も島のまま

 

このマンションのアドレスは「港区芝浦4丁目」。 しかし位置するのは、芝浦運河をはじめとしたキャナルに囲まれた南北に縦長の「島」。

 

まあ、そういう見方をすればこの辺りは「島」だらけになる。江戸時代に陸地だったのは、今の山手線のちょっと外側までだったはずで、 言ってみればこの周辺エリアは全て埋立地。この「芝浦アイランド」も埋め立てられた島である。

 

このマンションは、島の南側にあるトライスター型の「ケープタワー」と 同じ時期に新築分譲の広告キャンペーンを行っていた。 そのときのキャッチフレーズが、「芝浦の島」。意図が分からない。わざわざ「島」であることを強調することで魅力が高まったのか?

 

しかし、実際のところは大変な人気を呼んで高倍率の抽選住戸が続出。「買いたくても買えなかった」という人が私の回りにもたくさんいた。中には不動産業者もいたから驚きだった。ちょうど2005年から2006年、不動産ミニバブルが頂点に向かうころだった。このマンションもスペックの割には価格が安く思えたのだろう。

 

実際、今でもJR山手線の「田町」駅から徒歩8分というと希少。ここからもう少し北に行ったところの「グローバルフロントタワー」という 物件は、3年ほど前に売り出されて平均坪単価360万円という、 当時としてはかなりの高値であったが通常通り完売した。ただし、購入者の外国人比率がかなり高いと推測する。

 

この「芝浦アイランドグローヴタワー」の新築販売時には、 外国人の影はほとんど感じなかった。その点では多少は安心できる。また、「田町駅徒歩8分」というスペックはかなり強力。現に、「12分」の「ケープタワー」と比べて資産価値の差が広がっている。

 

現在、資産価値評価は新築時の販売価格を多少は上回っている。新築時の推定平均坪単価は、250万円から260万円。昨年から今年にかけてのレインズの成約例を見ると、200万円台後半から 300万円台前半にボリュームゾーンがある。

 

今後の見通しとしては、当面は底堅く推移すると思われる。泉岳寺近辺の山手線新駅の開業でちょっとしたブームが起これば、 さらなる値上がりもあり得るエリアではある。しかし、懸念点もある。一番に挙げるべきは「地震」。

 

東京に直下型地震がやってくれば、埋立地には何らかの異変が起こるはずだ。液状化程度なら想定内だが、もし他に「想定外」の被害が生ずると、 このマンションはもとより広く湾岸埋立エリアの不動産は、 資産価値に大きなマイナスの影響を受けるだろう。

 

そのリスクさえ深刻に考えないのなら、 「山手線徒歩8分、港区アドレス」であるこの物件は、それなりの魅力を備えている。

 

 

榊 淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『マンション格差』(講談社現代新書)など。

 

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