このシリーズで中央区を取り上げるのは、今回で2回目です。
 
前回も申し上げた通り、中央区内のタワーマンションは、そのほとんどが隅田川を渡った佃、月島、勝どき、晴海エリアに立地します。銀座や日本橋といったトラディショナルな東京の中核エリアには、分譲タイプのタワーマンションはほとんどありません。

 
近年は銀座と地続きの八丁堀エリアでも散見されますが、中心はやはり隅田川の向こう側。今回ご紹介する3物件も、いずれもこのエリアに属するものです。
 
タワーマンション
(写真はイメージです。本文の内容とは関係がありません。)
 

ファミール月島グランスイートタワー

 
売主/丸紅 東京メトロ有楽町線「月島」駅から徒歩1分
全242戸 2002年09月完成 地上30階・地下1階建
 

月島駅徒歩1分の利便性を買う

 
月島駅前の交差点は名を「初見橋」といいます。
佃大橋とつながる通りと清澄通りとの交差点です。
月島駅の4番出口を出ると、交番の脇に出ます。
 
そこから清澄通りを門仲方面へ少し歩いた左側が、このマンションです。
もう少し門仲方面へ歩くと、和田アキ子が大好きだというチャーシューを売る
「肉のたかさご」という有名なお店があります。
 
このマンションは、タワーが多い佃や月島にあっては目立たないほうで
30階という高さも平凡です。
 
外観もさしたる特徴はないのですが、この辺りのタワーマンションとしては珍しい色付き。
ベージュ系とグリーン系のタイルを貼り分けています。
 
だから、この辺の人にはマンション名を言うよりも
「あの、ちょっと茶色っぽい、タイルが縦の模様になっている……」
と言ったほうが通じるかもしれません。
 
佃と言えば、大川端リバーシティ。

石川島播磨の工場だか造船所の跡地を三井不動産が中心になって開発しました。
バブルの頃からタワーマンションをニョキニョキと建てていました。
 
しかし、ああいった物件はだいたいが駅徒歩5分かそれ以上です。
それに比べると、このマンションは直結ではないながらも「駅徒歩1分」。
利便性においては勝るとも劣りません。
 
また、大川端リバーシティ内の商業施設と、月島の商店街の両方を身近に使えるポジションにもあります。
 
建物が出来たのは2002年9月。販売は前年あたりが山だったと記憶しています。
 
2002年といえば、バブル以来の不況で不動産価格が底を打った年。
つまり、このマンションを購入した方は今でも値上がりの含み益を抱えています。
 
まあ、だいたい1住戸で1千万円程度の含みがあるはずです。
したがって、新築時に購入したオーナーには売りやすい環境といえます。
 
今後、売り物は増えていくと思われます。

こういうマンションは、市場全体が下落期に入っても下がりにくいはずです。
 
その理由は「徒歩1分」。月島駅には今や大江戸線も乗り入れています。
 
ただ、近年はキャピタルゲートタワーなどの手ごわいライバルも出現しています。
築15年選手としては、やや遅れをとるかもしれません。
 
しかし、その分購入サイドからは買いやすい環境になると思われます。
 

晴海テラス

 
売主/コスモスイニシア 都営大江戸線「勝どき」駅から徒歩10分
全379 戸 2009年3月完成 地上20階建
 

イニシア最後の大型案件

 
このマンションが新築分譲時に販売されていたのは2008年から2009年。
完成在庫になっても苦難の販売が続いていました。
 
というのは、売主企業であるコスモスイニシアがADR手続きに入ったのが2009年9月。
ADRというのは、要するに銀行に対して借金の棒引きを依頼することです。
つまり、このマンションが完成した年に、売主企業は事実上倒産したわけです。
 
その後、大和ハウス工業の支援を受けてグループ企業入りしました。
そのうち、本体に吸収合併されるのではないでしょうか。
 
現状、このマンションは築8年です。
そろそろ瑕疵担保期間も終了するのですが、分譲企業が消滅しているよりも
大企業に吸収合併されているほうが、いくらかマシだと思います。
 
そして、このマンションはコスモスイニシアが単独で開発した、最後の大規模プロジェクトになったのではないでしょうか。
 
実は、この後に川崎市川崎区の港町計画というのがあったのですが、経営難から大和ハウス工業などに事業を売却しました。
 
その後「リヴァリエ」として開発され、先ごろめでたく完売。
まあ、本件とはあまり関係のないお話ではありますが。
 
このマンションの新築分譲時、ホームページのキャッチコピーはこうでした。
 
「銀座のとなり、海と空の眺め」
 
確かに、銀座へは「黎明橋」という中くらいの橋と
「勝鬨橋」というでっかい橋を渡れば行き着くことができます。
 
約3kmの道のりですから、歩いて40分弱ですか。
これで「銀座のとなり」と言っていいものだったかどうか?
 
でも、「中央清掃工場」は立派にお隣です。
東京都23区のゴミを処理してくれているありがたい施設。
 
東京23区のゴミ処理

↑ こちらに「無料見学」の案内もございます。
 
とても高い煙突が立っていますから、夏の南風に乗って煤煙が降り注ぐ心配など、しなくていいはず。
 
実はこの物件、そもそもが「賃貸用」だったそうです。
 
しかし、売主企業の資金計画が怪しくなったので急遽「分譲」に切り替えたとか。
売り急いでいたこともあって、価格はさほど高くありませんでした。
 
しかし、
●中央区にありながら駅から徒歩10分と近くない
●清掃工場の隣
●長谷工の設計・施工が平凡
 
という3重のハンディキャップを背負っていることも確かです。
 
ただし、このマンションは東京オリンピックの選手村予定地にかなり近接しています。
清掃工場の向こう側はほぼ選手村となります。
 
また、そのうち清掃工場は移転することになるかもしれません。
つまり、五輪開催後はこの辺りの風景が一変しているはず。
 
その割には、中古としての流通価格が新築時よりもさほど上がっていません。
今が狙い目ではないでしょうか。
 

勝どきビュータワー

 
売主/ゴールドクレスト 都営大江戸線「勝どき」駅から徒歩1分
全712戸(うち非分譲住戸384戸) 2010年10月竣工 地上55階・地下2階建
 

駅徒歩1分、複合開発タワー

 
マンションの場合、「駅徒歩1分」というのは「別格」扱いになります。
つまり、周辺相場より多少高くても売れる、と考えられるのです。
このタワーも、そういう意味では新築時に「別格」だったと言っていいでしょう。
 
特に、駅の改札からそのまま建物に入れる「直結」というのは大きな魅力。
建物の中に、区立の保育園や児童館、さらにスーパーまで入っている、
ということも「別格」性を高めています

余計だと思える共用施設も「シアタールーム」くらいです。
橋を1つ越えた住友物件の「ドゥ・トゥール」には、スパがありますね。
 
利用者が激減する10年後、20年後はどうするの?と言いたくなりますが、
こちらは、まずまずそういう心配はしなくてよさそうです。
 
実はこのマンション、まだ「新築」時代からの販売が続いています。
建物が竣工して、間もなく7年になろうとしているのに「完売」していないのです。
 
なぜかというと、新築分譲時には当時の市場相場から見るとバカ高い価格で販売を開始。
当然、建物が完成しても完売しませんでした。
 
その頃の平均坪単価は350万円から360万円だったと推測されます。
その水準で2013年までは販売が続いていました。
 
ところが、2013年の秋に東京でのオリンピック開催が決定。
この辺りはにわかに五輪ブームが押し寄せたのです。
 
そこで、この売主はどうやら売れ残り物件を「値上げ」した模様。
なんともあざといビジネスではないでしょうか。
 
2017年6月14日現在発売中の「7戸」は坪単価371万円から400万円です。
一時期は500万円台後半の住戸も表示されていました。
 
駅から徒歩6分の「ザ・東京タワーズ」は当初の売り出し価格が
坪単価200万ちょぼちょぼでした。中には200万円を切った住戸もあったほど。
 
その1.5倍と考えても300万円、2倍で400万円です。
現在、東京タワーズの中古は坪単価300万円前後で取引されています。
 
周辺の中古マンション市場はちょっとバブル化していますが、
このエリアには「オリンピック」という材料があります。
私としては、2013年の前半まで、このマンションの新築価格は
坪300万円がせいぜいではないかと考えていました。
 
しかし、今では400万円も当たり前のように思えます。過熱気味ですね。

ただ、今の勝どきの中古マンション市場は、極めて動きが悪くなっています。
7千万円から9千万円くらいまでの物件には買い手が現れます。
 
しかし1億を超えると途端に動きが出なくなります。
「市場は何かを知っている」のだと思いますね。
 
このエリア、五輪ブームも一息ついたのではないでしょうか。
今後は、あまりに上がり過ぎた中古価格の揺り戻しがありそうです。
現に、大量の売り出し物件があり、市場はだぶついています。
 
3年後には選手村跡地でもマンション分譲が始まるはずです。
このエリアの将来性は確かなのですが、マンションの価格はやや弱含み。

そんな中で、このマンションは別格性を持っているので底堅いはず。
今から「売り急ぎ物件」をじっくり待つのも1つの選択肢です。
 
榊 淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『マンション格差』(講談社現代新書)など。
 
 

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