東京都豊島区は、池袋や大塚周辺にタワーマンションがそれなりに散在しています。多くもなく、少なくもないと言えるでしょう。

 
ただ豊島区は、日本創成会議(現在は活動休止中)が2014年に公表した全国自治体の将来人口推計において、23区で唯一、20~39歳代女性が減少する「消滅可能性都市」に指定されました。現状の繁栄ぶりからは想像できないことですが、中長期の将来予測では衰退する可能性も否定できません。
 
その場合には、マンションも含めた不動産価格も下落しそうなので、豊島区内でタワーマンションを購入するのなら、できるだけスペックの良い物件を選びたいもの。ここでは、豊島区内のタワーマンション3物件を紹介します。少々辛口ですが、参考になさってください。
 
豊島区のタワーマンション・不動産購入・売却
(写真はイメージです。本文の内容とは関係がありません。)
 
 

【物件1】ザ・タワーレジデンス大塚

 
売主/東京建物他 JR山手線 「大塚」駅から徒歩4分
全201戸 2012年07月完成 地上23階・地下1階建
 
 

ピーター・バラカンでデビュー

 
この物件が新築マンションとして販売されていたのは2010年から2013年初めまで。広告には、ピーター・バラカンというタレントをイメージキャラクターとして起用していました。
 
他の紹介でも書きましたが、新築マンションの広告にタレントが登場すると要注意。そのマンションには、タレントを使って「惑わせたい何か」があるかもしれないのです。
 
例えば、同じ売主の「ブリリアマーレ有明」というマンションでは、アメリカからマドンナを呼んでイメージキャラクターにしました。当時も今もそうですが、有明という街に行くと、あの荒涼とした風景に立ちすくみます。
 
今後は五輪が開催されることで、少しはにぎやかで人が暮らす温かみのある街並みが形成されるのでしょうが、10年前は何の展望も感じられない場所でした。だから、マドンナのようなド派手なキャラで盛り上げねばならなかったのでしょう。
 
 
では、ここはどうなのでしょう。ピーター・バラカンを使って惑わせたい何かがあったというのでしょうか?
 
「大塚」というのは、必ずしも治安の良いところではありません。素行の悪い外国人も住んでいるイメージがあり、風俗店も数多く営業しています。「大塚」と聞いて、決して高級住宅地をイメージはできませんよね。
 
そういったイメージを、ピーター・バラカンの知的な存在感によって薄めようとした……。私は、そのように捉えていました。それが正解かどうかは定かではありませんが。
 
しかし、それが売主の戦略であったとしても、成功したとは思えません。何といっても、竣工後半年以上も、完成在庫として販売が続いていたのです。この売主が過去にも行っていた「値引き」が、最終的には行われていたかもしれません。
 
つまりは、インテリなイメージのピーター・バラカンであっても、「大塚」のイメージはひっくり返しきれなかったということでしょう。
 
 

2010年秋に配布されたチラシ

 
私自身、このバラカン氏が嫌いなわけではありません。どちらかといえば、好意を持っています。それだけに、こういった露出は残念でした。
 
それよりも、「向かいは警察署」であることが、この物件の大きなメリットのはず。なのに、広告では全く触れられていませんでした。警察署が向かいにあるマンションに、暴力団は事務所を構えません。暴力団員も住もうとはしません。風俗店も出店しません。空き巣狙いやサムターン回しも、まずやってきません。
 
それが、この大塚ではどれほどの価値があることなのか。売主の担当者は、ご理解なさっていなかったのではないでしょうか。
 
 
今となってはどうでもいいことですが、「上山手、未来価値」というキャッチコピーも奇妙に感じます。裏を返せば、「本当の山手ではなく、未来にしか価値がない」ということでしょ?
 
その他にも、「松平藩屋敷跡」という表現も使っていました。江戸期、300諸侯のうち松平姓を名乗り、許された藩は一体いくつあるのでしょう。数えたことはありませんが、100近いはずです。島津も毛利も「松平」ですから。
 
少々トンチンカンな広告でデビューはしましたが、私はそう悪い物件とは思いません。
 
何といっても、JR山手線の「大塚」駅から徒歩4分です。それも、特に危ない道は通りません。駅からまっすぐ巣鴨署へ向かう道筋。「大塚」とはいえ警察署の向かいですから、何よりも安心です。
 
また、周りにニョキニョキとタワーマンションが建っているわけではありません。だから、ほとんどの住戸で開放感を味わえるはずです。それを考えれば、実際の暮らしはかなり快適でしょう。東日本大震災前の設計ながら、免震構造を採用しています。そこもまずまずと言えます。
 
 
若干懸念されるのは、「オール電化」ということでしょうか。
 
電力会社は口をつぐんでいますが、IHクッキングヒーターからはかなりの電磁波が出るそうです。それが人体にどのような影響をもたらすかについては、いまだに科学的に信頼できるデータが得られていません。確かに、オール電化は機能的に優れています。しかし、私はご高齢の方の住宅以外では、お勧めしません。
 
新築販売時の平均坪単価は、300万円台の前半だと推測できました。その後、中古としての流通価格は少し下がってからちょっと上がり、今はまた小幅に下落。結局、今は新築販売時の価格あたりでウロウロとしている状態です。この先、売り出し物件は多くなるでしょうから、取引価格はジワジワと下がるはず。
 
しかし、「山手線最寄り駅徒歩4分」のスペックには手堅いものがあるので、市場全体が下落基調になっても、坪単価は250万円くらいで止まるのではなかろうかと予測します。つまりは、底堅い物件というわけです。
 
注意点は、こういう物件にしては修繕積立金が割安過ぎます。これは将来、値上げされる計画が出る可能性があります。検討する場合は、その辺をよく確認するべきだと思いますよ。
 
 
 

【物件2】ブリリアタワー池袋

 
売主/東京建物、首都圏不燃建築公社 東京メトロ有楽町線「東池袋」駅から徒歩1分
全432戸(うち非分譲住戸110戸) 2015年3月完成 地上49階・地下3階建
 
 

区役所と一体になった複合開発

 
「日本で初めて」だそうです、区役所の上がタワーになったのは。
 
ある意味、そういった「ハク」が付いていることは、このマンションの資産価値を高める上でかなり有利に働きます。特に、建物自体の耐震性は折り紙付きであることに加え、豊島区の災害対策センターが同じ建物に入ることは心強い限りです。
 
ただ、大きな災害が起こるたびに、行政の対応が「遅い」という批判はいつも聞かれることではありますが……。
 
ただし、「区役所と同じ建物」ということばかりに惑わされてはいけません。不動産の資産価値は、基本的にその立地で決まります。
 
このプロジェクトは、まず東京メトロ有楽町線の「東池袋」駅から徒歩1分。池袋駅まで歩くと、8分ほどかかるそうです。
 
現地の周りを見ると……、あまり実生活で役立ちそうなお店がありません。サンシャインシティやさまざまな文化施設には近いのですが、日常生活の利便性向上に寄与するような商業施設は乏しいですね。そういった面は、少しだけマイナスに捉えるべきだと思います。
 
 

4分の1以上が「非分譲住戸」とは?

 
全432戸の内、非分譲住戸は110戸。4分の1以上の割合になります。
現在の法規制では、管理組合で重要事項を決議する場合、「4分の3以上の賛成」という項目が実に多いのです。
 
例えば、管理規約の改正は基本的に「4分の3決議」。共用部分の用途変更も同様です。つまり、管理組合で4分の1以上の議決権を有するということは、「拒否権」を持っているのと同じなのです。
 
このマンションのように、再開発案件ではこういう現象がよく見られます。たいていの場合は、「再開発組合」の組織がそのまま管理組合の理事会に移行。管理組合自体を支配してしまう構図となります。これは、長期的な視点に立てば、かなりのマイナスでしょう。この物件を検討される方は、管理組合の実情にご注意いただきたいところです。
 
 
さて、このプロジェクトの外観と共用部分は、建築家の隈研吾氏の手によるもの。間違いなく、氏は今の日本を代表する建築家の一人です。残念ながら、これまで集合住宅をあまり手がけていません。強いていうなら、「東雲キャナルコートCODAN」があるでしょうか。
 
私は彼の建築が好きです。現地を期待して見ていただきたいと思います。
 
 

大幅に値上がりしている注目物件

 
このマンションは、新築販売時に超短期間で完売してしまいました。平均坪単価は350万円から360万円あたりだったと記憶しています。販売されていたのは2012年から13年あたり。今の「局地バブル」が始まる寸前です。言ってみれば、バブル前の「旧価格」だったのです。
 
現在、中古マンションとしての相場観は坪単価400万円台前半でしょう。上層階は500万円を軽く超えている感じですから、かなりの値上がりですね。
 
しかしこのマンション、さほど多くの住戸は売りに出ていません。私の勝手な想像ですが、このマンションは実際に住むために買った人の比率が高いので、売り物件が少ないのではないでしょうか。
 
新築で販売されていた時は、1ドル100円未満の円高時代。外国人のタワーマンション購入も目立っていませんでした。さらに、「池袋」は外国人に知られていても、「東池袋」はまだマイナーな存在でした。加えて「区役所の上」というのは、外国人に敬遠される要素なのかもしれません。
 
このマンションの資産価値は、極めて安定していると思います。ただ、売り物件が少ないので焦らないことです。
 
たまには、売り急ぎの物件も出てくるはずですから、1年や2年の長期間は待つつもりで、じっくりと市場を観察すべきでしょう。
 
 
 

【物件3】ライオンズタワー池袋

 
売主/大京 JR山手線「池袋」駅から徒歩11分
全238戸 2001年2月竣工 地上28階・地下1階建
 
 

サンシャインビューのタワーマンション

 
「ライオンズのマンションはどうでしょう?」という類のご質問を頂くことが多いです。それに対して、決まった答えはありません。良し悪しは、物件ごとにまちまちですから。「大京」という企業は、営業以外の統制が取れていなかったという印象があります。だから、事業担当者によって作るものもまちまち。
 
一つ言えることは、「売りやすそうなマンションを作りたがる」ということでしょうか。ある意味、私のような人間が「面白い」と感じるマンションはほとんどありません。
 
このマンションも池袋周辺のタワーマンションとしては、いかにも平凡。四角い敷地に四角いタワーマンションを建てました、という感じですね。
 
南西向きがほとんどなのですが、数百メートル南西にはサンシャインシティがあります。北西側にも、南西側ほどではないにしても高層マンションがあります。だから、北西向きの14階くらいまでは「避けるべき選択」と言えるでしょう。
 
しかし、局地バブルによってこういう平凡なマンションの価格も、不自然なまでに押し上げられました。新築分譲時の平均坪単価は200万円台の前半。今は200万円台半ばまで上昇しています。
 
最近、特にこのエリアは東アジア系の外国人に好まれている印象があります。これは、割と近い「ブリリアタワー池袋」の新築販売時には見られなかった現象です。
 
しかし、このマンションは交通スペックがさえません。なにしろ、「池袋駅徒歩11分」です。「徒歩10分以内」の検索に引っかかりません。「東池袋駅徒歩9分」ですが、「東池袋」で中古マンションを探す人は、「池袋」で探す人の1割に満たないだろうと想像します。しかも、「池袋駅徒歩10分以内」には、割と多くの中古タワーがあるのです。
 
それでも、このマンションは2001年の竣工です。築16年というのは、けっこう売り物件が増えてくる時期。
中には売り急ぐ住戸もあります。そういう住戸をうまく捕まえられれば、リーズナブルな価格での取得も実現する可能性があるでしょう。また、こういうマンションは、自分が住まなくなっても貸すことができます。
 
この辺りは、賃貸ニーズも高そうです。利回りにすると、6%以上が期待できそうな気もします。借り手の国籍を選ばなければ、高い賃料も設定できそうですね。ただし、賃料保証会社はしっかりと付けるべきでしょう。
 
マンションとしての魅力には乏しい物件なのですが、いかにも「上手に探せば安く買えそう」な物件です。
 
まずは、信頼できる業者に「このマンションが買いたい」というニーズを伝え、じっくり待ってさえいれば、1年以内には希望がかないそうな予感がします。ただし、各自の購買行動に私は責任を持てませんので、最終的には、ご自身で判断なさってください。
 
 
榊 淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『マンション格差』(講談社現代新書)など。
 

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