「東京都中央区」と聞くと、いかにも東京のど真ん中のように思えますが、実は区域のほとんどは山手線の外側です。銀座や日本橋というトラディショナルな東京の中核エリアが区域内に含まれますが、そこには分譲タイプのタワーマンションはほとんどありません。

 
中央区内のタワーマンションは、そのほとんどが隅田川を渡った佃、月島、勝どき、晴海エリアに立地します。近年、銀座とは地続きの八丁堀エリアでも散見されますが、中心はやはり隅田川の向こう側ですね。

 
中央区のタワーマンション・購入・売却
(写真はイメージです。本文の内容とは関係がありません。)
 
 

「シティフロントタワー」

 
売主/三井不動産 都営大江戸線「月島」駅から徒歩6分
全290戸 1991年8月竣工 地上31階・地下2階建
 
 

大川端リバーシティ21、三井不動産の第2弾

 
中央区のタワーマンションといえば、やはり筆頭に「大川端リバーシティ21」が挙げられます。銀座からだと、新富町を経て佃大橋を渡ったところが佃島と月島。佃島はすでに江戸時代からあった島で、住吉神社があります。
 
江戸開闢の頃、徳川家康が大阪の住吉大社の周辺に住む、瀬戸内海での漁業に優れた人々を招いて住ませたそうです。この島には明治期まで、独特の上方言葉(関西弁)が残っていたとか。その後、石川島播磨重工業の造船基地ができました。戦前は軍艦を作っていたそうです。
 
その跡地を住宅・都市整備公団(現UR、都市再生機構)や三井不動産などが中心となって開発。タワーマンションを8棟ほど建てて、開発はほぼ終了しました。タワーマンションの街としては、最も歴史がある一画ではないでしょうか。
 
 
いちばん最初にできたのは「リバーポイントタワー」。1989年の竣工です。事業主は言わずと知れた三井不動産で、当時はかなりの話題になりました。時あたかも平成バブルが燃え盛らんとしていた頃です。
三井不動産は分譲を考えていたようですが、バブル沸騰を懸念した当局から指導が入り、やむなく賃貸に切り替えたと言われています。
 
その三井不動産がリバーシティの第2弾として市場に登場させたのが、この「シティフロントタワー」全290戸です。1991年の竣工ですから、まだバブルの終了間際。リバーポイントタワーとは異なり、賃貸ではなく分譲としてリリースされました。
 
新築時の販売価格は調べ切れませんでしたが、坪単価にして300万円は超えていたと推定できます。現在は坪単価260万円あたりと、かなり需給を反映した市場価格になっています。
アベノミクス前は200万円近辺でした。本来の実力値はそれくらいで、現在の価格は若干バブルが入っていますね。
 
 
現時点で築26年ですが、バリバリのバブル仕様です。
東京メトロ有楽町線の「月島」駅へは徒歩6分。
今、この交通スペックで同じようなタワーマンションを開発分譲すると、販売価格は坪単価400万円を超えるはずです。
なので、現在の相場観である坪単価260万円を、安いと捉えるか高いと判断するかは各自の価値観の問題となります。
 
今後、佃エリアにタワーマンションが供給される可能性は、ゼロとは言いませんが、さほど高くありません。
なにしろ狭い島ですから。逆に、佃とは地続きの月島エリアには、まだ可能性があります。
 
2014年に販売していたキャピタルゲートプレイスザ・タワーは、坪単価330万円で短期間の完売となりました。このエリアは中央区の中でも、コストパフォーマンスが優れているところが人気なのかもしれません。
 
 
 

「ザ・東京タワーズ」

 
売主/オリックス不動産他 都営大江戸線「勝どき」駅から徒歩5分
全2,801戸 2008年1月竣工 RC造58階・地下2階建
 
 

リチャード・ギアがCMに起用されていた

 
このマンションは、平成バブルが終わった約15年後にやってきた不動産ミニバブル期に分譲販売された大型プロジェクトでした。
イメージキャラクターはハリウッドスターのリチャード・ギア。2005年頃、盛んに広告を打っていました。
 
まだネットが普及する前でしたから、チラシやポスター中心。大手町や日比谷あたりの地下鉄の駅や通路はリチャード・ギアだらけでした。広告には総額で約30億円が投じられたと言われています。
まあ、今も昔もマンションの広告宣伝費は戸当たり100万円といわれていますから、このマンションが突出していたわけではありません。
 
 
それにしても、最初にこのマンションの名前を聞いた時には「アホかいな」と思いました。
まず、何でもかんでも「THE」を冠するのは日本人の悪い癖。「ザ・ビートルズ」をまねて「ザ・ドリフターズ」とした頃から存在しています。英語圏のマンションや建物の名前で「THE」を冠しているのは少数派ですから。
 
次に「トウキョウ・タワーズ」とは何のことでしょうね。あの「東京タワー」があるのに、こちらはその親戚とでも言いたいのでしょうか。このマンションのネーミングにこそ、デベ業界の悪しき広告表現感覚が凝縮されています。今でこそ、誰も何も言わなくなりましたが、これほど恥ずかしいネーミングも珍しいですね。
 
ただ、、このマンションは様々な面でエポックメーキングでした。そもそも、この事業用地を仕込んでいたのはミサワホーム。ところが、経営不振でオリックスを中心としたJVに譲渡します。この頃、オリックス不動産は本格的にマンション分譲事業に進出し、企業グループとしてもかなりの勢いがありました。
 
しかし、現在のオリックスはほとんどマンション事業から撤退しています。グループに組み入れた大京がわずかに行っているくらい。リーマンショック以後の不況で、かなりの含み損を抱えているそうです。この事業がオリックスの不動産事業の頂点だったと言えるかもしれません。
 
 
2015年当時、この全2,801戸は約7か月で完売したといいます。日本一かどうかは分かりませんが、驚異的なスピードですね。ちょうど、海外からファンドが押し寄せてミニバブルを形成し始めた頃です。
そこへ、当初の売り出しは坪単価160万円台からという驚異的な安さ。最終的には200万円ちょっととなりましたが、飛ぶように売れました。
 
現在、築10年になろうとしています。中古マンションとしての相場観は、坪300万円ちょっと。
この戸数ですから、常に何戸かが市場に出ています。2017年4月10日時点で不動産業者間の物件情報データベースであるレインズを見ると、56件の物件が売りに出ています。
 
周辺の業者さんによると「7千万円、8千万円の物件は売れるけれど、1億円になると売れない」とか。
すでに相続税対策や外国人の思惑買いはかなり減ってきているので、「住むため」の実需が中心です。そうなるとさすがに「億ション」は敬遠されるのかもしれません。
 
しかも、周辺には新築のタワーも供給されています。今後は緩やかに下落していくでしょう。
そうはいっても、現状で都営地下鉄大江戸線「勝どき」駅を最寄りとする分譲型のタワー物件としては、「勝どきビュータワー」を除いて、このマンションが最も資産価値が安定しています。
坪単価の目安としても今後は200万円台の半ばまで落ちたら、そのあたりで下げ止まりそうです。
 
したがって「永く住む」という条件ならば「買い」といえる物件です。
 
 
 

「ザ・パークハウス晴海タワーズ クロノレジデンス」

 
売主/三菱地所レジデンス 都営大江戸線「勝どき」駅から徒歩11分
全883戸 2013年10月竣工 地上49階・地下2階建
 
 

駅からの距離も名前も長すぎる

 
銀座から晴海通りをまっすぐに南下すると、まず築地を抜けます。そこから勝どき大橋を渡ると、そこは勝どき。さらに黎明橋を渡ると晴海で、右手には東京五輪の選手村予定地、左にはトリトンスクエアが見えます。
 
そのトリトンの向こう側に現在、2つのタワーマンションが立っています。有明通りから見て手前側が、この「ザ・パークハウス晴海タワーズ クロノレジデンス」。向こう側は同じ名前で、最後が「ティアロレジデンス」です。意味は不明ですが、なんだか恐竜みたいなイメージですね。
 
それにしても、この名前は長すぎますよね。時々、住所を書く時にマンション名まで必要なことがあります。
住民票の請求などの際には、こんなに長い名前は何とも面倒です。少なくとも「タワーズ」は不要ですね。クロノとかでなく単に「A」とか「B」で十分だと個人的には感じます。「パークハウス晴海A」とかにすると、よほどシンプルですね。
 
 
このマンションの資産価値は、先に挙げた「ザ・東京タワーズ」に比べて基本的に脆弱です。
何より残念な理由が、最寄り駅の「勝どき」から「徒歩11分」という距離です。
 
最近は「勝どき」を最寄りとするタワーマンションはウジャウジャあります。オリンピックが終わると、選手村には3本のタワーマンションが残ります。それらが分譲されれば、このエリアが絶対的な供給過剰になることは容易に想像がつきます。しかも、わずか3年後の話ですから。
 
 
現在、このマンションは築3年。中古市場の相場観は坪単価300万円超ですが動きは鈍く、ほとんど成約していない、というのが現実です。
さらに、このマンションの2区画向こうでは、三井不動産の「パークタワー晴海」が、新築マンションとして販売中。なんと坪単価350万円だそうで、とても健全な販売価格とは思えません。
 
「徒歩11分」というのは、当然ながら各不動産ポータルサイトの「徒歩10分以内」の検索範囲に入りません。あと3年くらいは新築の余韻でそれなりの価格がつくでしょうが、5年後、10年後は駅から遠くて古いタワーマンション。
そうなった時に、いかにも弱いといえます。
 
したがって、将来どこかで売却する予定があるのなら、このマンションよりも「ザ・東京タワーズ」や「勝どきビュータワー」、「勝どき ザ・タワー」を選ぶべきでしょう。
 
(2)へ続く
 
 
榊 淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『マンション格差』(講談社現代新書)など。
 

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