不動産売買の仲介手数料を割り引く会社は、今後増えてくるだろうが、まだ業界では少数派だ。しかし、それでお客様が満足するだろうか。別の言い方をすれば、不動産の世界に、顧客が店舗のサービスを評価する「食べログ」のようなサイト、Real Estate log(不動産ログ)が成立する可能性はないのだろうか。

 

不動産流通システム(REDS)のように「仲介手数料無料」を打ち出す不動産会社は、業界の中ではまだまだ少数派だ。仲介手数料には上限があり、その上限価格を一律にとっているのが現状だが、この仲介手数料の価格設定が自由化されればどうなるか。やがて不動産も「価格比較サイト」に掲載され、手軽に取引されるようになるかもしれない。しかし、そう簡単にはいかないようだ。

 

 

不動産比較サイトは成り立つのか?

 

住宅ローンや証券会社などの手数料の比較サイトは、すでに存在しており、多くの人に利用され始めている。さらに進んで、不動産の取引でも仲介手数料の比較や、取引にかかわるすべての人の意見と情報をもとにした「ランキングと口コミで探せる不動産サイト」が成り立つのであれば、不動産の流通はもっと簡素なものになるかも知れない。

 

そうなると、たくさんの不動産情報を持つ大手仲介会社の優位性が際だってくるといえるかもしれない。しかし、REDSの代表取締役、深谷十三さんは「ビッグデータを持ったから存在感を示せるというわけではありません。住まいの売り買いは、どこまで行っても仲介してくれる『人』で決まるのです」と言い切るのだ。

 

確かに、クルマなど高額の買い物をする時の「買い」のポイントは、信頼できる仲介者や専門家がいたから、という経験をお持ちではないだろうか。経験やスキルだけでなく、客から信頼される人間力を持つ営業マンが大事だということなのだろう。

 

 

宅建士&宅建マイスターの高坂さん

 

REDSの取締役兼営業部長の高坂拓路さん(48歳)は、同社の筆頭営業マンだ。不動産取引のための必須資格である「宅地建物取引士」(宅建士)だけでなく、その上位資格と業界で認められている「宅建マイスター」の資格を持っている。

 

宅建業法は、宅地建物取引業者の営業マンのうち5人に1人は宅建士であることを義務づけている。高額になる不動産取引の「重要事項」を説明するのは宅建士にしかできないのだ。その宅建士の資格をとって5年以上の実務経験があって、高度な知識と判断力を身に着けたと認定されたのが宅建マイスターだ。

 

REDSの営業マンは、高坂さんを含め全員が宅建士と宅建マイスター資格を持っている。高坂さんは最も早く2012年にマイスターの資格を取った。

 

 

旅行企画マンからの転身

 

高坂さんは、かつて旅行会社で企画を担当していた。旅行業界の将来に不安を持ち始めていた時に、体調を崩したこともあって35歳で不動産業界に転じ、REDSは5社目。前職を辞めてハローワークに行ったところ「インターネットに特化した不動産会社」としてリストに上がっていたため興味を覚え、訪問して面接を受けた。「今日からでも来てください」と言われ、慌てて準備をして1週間後に仕事を始めたという。

 

入社4年で扱った新規不動産物件は、ざっと700件。3日に2件は新しい不動産の「売り」と「買い」にかかわってきたことになる。

 

 

「売り」と「買い」はこうする

 

売りたいという人の仲介をする場合は、物件のある場所に赴き、ていねいに調べる。

 

REDSでは「両手仲介」をしていないため、買う人を探すのは基本、別の会社の仕事だ。こちらがやることは、国土交通大臣の指定を受けた公益財団不動産流通機構が運営している不動産の売買情報が掲載された「レインズ」という不動産会社だけがアクセスできるサイトがあるので、そこに「広告可」と登録する。

 

あとは、レインズ加盟業者が自ら広告してくれる。いくらで売り出すかという査定価格はレインズを参考にして決めるが、「7割は売り主に決めてもらう」という。そのほうが納得感が得られるのだそうだ。

 

このプロセスをみると、同社の「仲介手数料無料」営業は、決して業界を敵視しているのではないことがわかる。むしろ、業界の正しいありかたにうまく沿っているシステムといえる。

 

最近、物件を買いたい人は、買い主自身がネットで調べて希望の物件をピックアップする人が増えてきた。REDSのお客さんは全員がそうだ。営業マンはお客さんが希望の物件を具体的に知らせてくれるので、そこから作業が始まるのだ。物件が空き室か空き家であれば訪問するし、居住している物件であれば、喫茶店などで商談するなど臨機応変に対応する。

 

「買いたい方も売りたい方も、われわれの仲介手数料無料を、最初のうちは疑っておられる。別の形で、手数料を取るのではないかと。たいていの場合、いろんなサイトを調べ、2社目、3社目に我が社にたどりつく人がほとんどですから」と高坂さんは言う。

 

 

営業マンっぽくない営業マン

 

同社の営業マンは、全員で16人。最高齢は59歳、いちばん若い人は33歳だが、堂々の10年選手だ。どの顔も営業マンっぽい雰囲気がしない。くたびれていない、若く見える、といった印象だ。

 

「ストレスがないからですね」と高坂さん。無理な営業をしなくてもいいし、売りたくない物件を売るとか買わせるとか、そういったことをしなくてもかまわないためだそうだ。その余力はブログでの情報発信に注がれている。「自分を見せる」ことが営業の一環のようだ。

 

 

採用基準は「親兄弟に自分の会社で仲介する気になるかどうか」

 

「もし、あなたの親か兄弟が不動産を買おうと思った時に、自分の会社で仲介しますか、しませんか? 私どもの会社は、ちゃんと親兄弟に紹介できる会社ですよ」。代表取締役の深谷さんは営業マンの採用面接で必ずこう尋ねるという。「そこでビビッと来た人は有望です。ピンと来ない人は採用しません」。

 

同社は、2016年1月、名古屋証券取引所上場の注文住宅事業、不動産事業、断熱材事業、リフォーム事業、介護保険事業を展開する「桧家ホールディングス」の出資を受け入れ、桧家のグループ会社のひとつになった。会社の基盤が安定したのに伴い、営業マンをさらに増やす可能性もあるという。

 

同社のスタイルが業界の中で通用していくということが、現在の日本の不動産業界の問題点を逆に浮き彫りにしているといえそうだ。

 

 

山嵜一夫
著述業、毎日新聞グループホールディングス(GHD)顧問。毎日新聞の検察、裁判等を追う司法担当、遊軍記者など記者生活28年。2008年取締役社長室長。毎日新聞GHD取締役兼毎日新聞常務経営戦略担当などのあと2014年、毎日新聞GHD取締役専務で退任。

 

 

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