平成30年(2018年)度から、高さ60メートル以上の高層住宅が「タワーマンション」と定義され、固定資産税などが新しい方式で課税されます。簡単に言うと、高層階になるほど高くなるというものですが、平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものは除かれますので、高層階の購入を検討されている方にとっては、まさに今が最終チャンス! もう日がないのでまあ、さすがにそれは無理だとしても、将来的に資産価値が維持できるものを選びたいものですよね。

 
 現在、夕刊紙や経済誌などで不動産について健筆を振るっている住宅ジャーナリストの榊淳司氏が都内6区(江東区、目黒区港区新宿区千代田区中央区)の有名タワーマンションについて、徹底分析します。

 

不動産売買,江東区,タワーマンション
(写真はイメージです。本文の内容とは関係がありません。)

 

タワーマンション個別資産評価1 江東区豊洲エリア

江東区の豊洲エリアは「タワマン銀座」と呼んでいい地区です。現在分譲中の物件はほとんどないものの、これまでに供給された数は都内有数のボリューム。

 

東京メトロ有楽町線「豊洲」駅徒歩圏が中心ですが、ここ3年ほどはゆりかもめ「新豊洲」駅近くに2物件が供給されました。新市場の移転問題で話題になっていますが、その影響として実は資産価値には逆にマイナスの影響が出始めています。

 

では最近分譲された中から、象徴的な3物件について私の「独断と偏見」で語ってみましょう。

 

シティタワーズ豊洲 ザ・ツイン

売主/住友不動産他 有楽町線「豊洲」駅徒歩4分
全1063戸 平成21年3月、6月完成 地上48階建

 

2000年代後半ごろに登場した住友不動産の「シティタワー」シリーズは、だいたいが黒いガラスウォールの外観でした。シティタワー麻布十番や大崎ウエストシティタワーズが分譲されましたが、あれは外から見ていて美しいものではないと思います。お好きな方もいるかもしれませんし、主観的な話なのですが、私から見ると醜悪そのものです。

 

ただし、このシティタワーズ豊洲だけは街並みに合っているように感じました。やはり人工的な街づくりの景観がハッキリと出ている新興の埋立地だからこそ、うまく溶け込めたのだと思います。

 

このマンション、デビュー時の売れ方は華々しかったのですが、リーマンショックによって急ブレーキがかかったことで知られています。

 

新築販売時の来場は、最初の20ヶ月間で1万人だったそうです。住友不動産は兄弟物件である「シンボル」をプレスリリースする時(2010年3月)に、「(シティタワーズ豊洲は)すでに800戸以上売れて、残りは200戸」「毎月50戸売れている」と発表しました。

 

もし発表どおりだと、その年の7月にはめでたく完売になっていたはず。しかし、実際にはオリンピック開催が決まった2013年の9月まで低迷が続き、正式に完売が発表になったのは、さらにそれから1年以上を経過してからでした。その間、新築販売価格を値上げしていた可能性さえうかがえます。

 

そもそも住友不動産の販売目標は、竣工後1年半程度で完売すれば満点というものらしいです。竣工後も2年程度は販売を続けるようです。だから、古さが出ないよう、エントランスやロビーを豪華に作り上げます。こうしたゴージャス感はタワーマンションの大きな魅力の一つと言えますが、最大の魅力は眺望にあるといえるでしょう。これも私の主観ですが、このマンションからの眺望は意外に「つまらない」という印象でした。というのは、そもそもまわりにタワーマンションが多すぎるのと、埋立地とはいっても海までは案外遠いため、期待するようなオーシャンビューはほとんどないのです。

 

もう一つの難点は間取り。「タワーマンションの間取りは使い勝手が悪い」というのは実はあまり知られていませんが、業界では常識です。最近はそれなりに工夫したものも多く見られるようになりましたが…。設計者の能力と心意気で乗り越えられるものだと思うのですが、このマンションの間取りには、残念ながらそういった工夫の跡があまり感じられませんでした。「素人が、エラそうなことをいうな!」と叱られそうなのですが、自分が住むことを想定したら「これはないんじゃないの」という間取りが多すぎましたね。ただ、これも主観に属することなので、みなさんはご自身で確認なさってみてください。

 

住友不動産のタワーマンションは内廊下になっている場合が多いのですが、この物件も例外ではありません。私はこういうちょっとゴージャスな造りは好きです。普通のマンションなら容積率の関係でなかなか実現しないプランです。

 

このほか、私が評価できるのは余計な共用施設がないことです。それだけ、共益費が安くつくことになりますから。エントランスやロビー等は、前述の通り豊洲にしてはちょっと豪華すぎ、という気がしないではありませんが、まあ邪魔になるものでもありません。ゲストルームも共用施設のなかでもかなり稼働率が高いものですし、部屋数も1063戸に対して6部屋ですから、別に多いわけではなさそうですね。

 

かなりリッチな内装が施してあるので、これは管理にお金がかかりそうかも・・・などと余計な心配をしてしまいますが。

 

中古市場での人気はまずまずです。何といっても「豊洲」駅から歩いて4分です。いっときは坪単価が300万円を大きく上回っていましたが、今は落ち着いてきています。だいたい、分譲時の価格にちょっと上乗せしたくらいの感覚でしょうか。

 

築10年が迫ってきました。あの黒のガラスウォールが、なんとなく陳腐に見えてしまうのですが、建物自体はそれなりに上質な造りです。中古での購入を検討するのなら、何よりも眺望重視で。ただ、南向きは避けた方がいいかもしれません。夏の日照が強すぎるので日中はカーテンを閉めっぱなし、エアコンはつけっぱなしになるといいますから。

 

THE TOYOSU TOWER

売主/三井不動産レジデンシャル他 有楽町線「豊洲」駅徒歩6分
全825戸 平成20年11月完成 地上43階建て

 

こちらの売主は、三井不動産レジデンシャルに野村不動産、そして三菱地所。2008年の11月に竣工しているので、このマンションももうすぐ築10年になります。

 

この「THE TOYOSU TOWER」にも、これといって語るべき造形的な個性がありません。別にこのマンションに限ったことではないのですが、タワーマンションにはそもそも、建築造形としての「個性」が感じられないものが多いものです。ただ、ズドーンと天を突かんばかりに聳え立っているという・・・。

 

一方、建物の周りには巧みに植栽が配されていて、美しいランドスケープが形成されています。

 

立派なファサードのエントランスを入ると、吹抜け構造の伸びやかな空間。上質なシティホテルのような広々ホールに外の眺めを楽しみながら、ゆったりくつろげるラウンジがあります。分譲時の坪単価が300万円弱もしただけあって、造りも中身も高級そのものです。「それでは、シティタワーズとの違いはなんでしょう?」となったときに、実は顕著に異なるものは何もありません。

 

あるのは花火が見えるスカイデッキ、仲間でくつろげるスカイラウンジ、ライブラリーなのですが、はっきり言ってどこにでもあるもので、特に目立ったものではありません。

 

間取りは概ね使いやすそうです。少なくとも住友のシティタワーズよりも、設計の努力が感じられました。不整形なスペースを、それなりに上手にレイアウトしていましたね。建物の斜めのラインをすべてリビング・ダイニングにしたのが勝因でしょうか。居室がきっちりと使いやすい形になっていたプランを多く見かけました。収納の配し方も使いやすそうでした。

 

ただ、眺望面では他の「豊洲駅徒歩圏」のタワーマンションと同じような悩みがありそうです。例えばこのマンションと芝浦工大の間には住友不動産の「シンボル」が誕生しました。これさえなければ、北側の眺望はスッキリ開けたはずですが・・・。

 

SKYZ TOWER&GARDEN東京ワンダフルプロジェクト

売主/三井不動産レジデンシャル他 東京メトロ有楽町線「豊洲」駅徒12分
全1,110戸 2015年3月竣工 地上45階建

 

このプロジェクトが正式に発表される数年前に私が聞いたところでは「事業主は東京電力、1800戸規模」という内容でした。ところが蓋を開けてみれば、「財閥系4社+野村不動産+東急不動産でスケールは1110戸」に変わっていました。やはり、これは2011年の東日本大震災と原発事故による東京電力の急速な経営悪化が招いたことなのでしょうね。

 

この物件にご興味のある方は、まず「豊洲」駅から現地まで、自分の足で歩いてみてください。徒歩12分は単調で退屈なルート。新たな発見はなにもなさそうな道を毎日歩く覚悟をなさってください。橋も渡らなければいけないから、雨風の強い日は怖いですね。

 

ゆりかもめの「新豊洲」駅へは徒歩5分。こちらとて、今は退屈な順路です。このゆりかもめがなかなか使えません。「汐留」までは乗っているだけで28分もかかりますし、運行本数も地下鉄に比べると少ないですね。

 

そしてこの「新豊洲」駅のまわりは現状、「何もない」ところです。でっかい建物は、兄弟のベイズを除くとTEPCOとCUBE。日常生活の役には立ちません。他には見事なまでに何もなく、近所で休日を楽しむことは期待できません。「築地市場の移転」も先行き不透明ですし、移転されたとしても今の築地の賑わいがそのままやってくるというのは、夢のまた夢でしょう。

 

建物は形状がユニーク。トライスター型というそうです。3つのウイングが放射的に外に向かって伸びています。それぞれのウイングの中央に内廊下を通して、その両側に住戸を配置。リゾート地のホテルにありそうなカタチですね。壁面が多いのでほとんどの住戸をワイドスパン化し、角住戸もたくさん作れました。ただ、角住戸以外からの眺望はパノラミックには広がりません。必ず左右どちらか側に端っこを隣のウイングが塞いでしまうからです。

 

気になるのは乾式壁を多用していることです。住戸間にも使われていますから、音漏れがかなり心配。施工精度が高ければ湿式とさほど変わらないのですが、粗い施工だと音漏れに加えて地震時の歪みが発生しがちなことなども気になります。

 

共用施設の目玉はプールと大浴場です。でも、こんなものは本当に必要なのでしょうか? 1110戸あって、頻繁に使用するのは数十戸の世帯だけではないでしょうか。それを全戸で費用負担しているわけです。私には、ちょっと偏った共用施設のように思えます。

 

このマンション、売り出しから現在まで、山あり谷ありでした。新築販売時には私の予想を大幅に上回る価格設定で驚かせてくれましたが、2013年の消費増税で、当初の売れ行きが失速。「これは完成在庫が確実」と思っていたら、同年9月に五輪開催が決定し、販売センターに大勢の人々が押し寄せるようになり、その勢いで完売してしまいました。

 

さらに2014年10月の異次元金融緩和による局地バブル拡大によって、湾岸の値上がりを象徴する物件になり、一時は新築時の販売価格を大幅に上回る坪単価300万円台の半ばまで相場観が上昇しました。しかし、全体的な市況の悪化と豊洲新市場の土壌汚染問題でイメージが一気に悪化し、今では価格下落を象徴する物件へと変わってしまいました。中古市場には大量の売り物件が出ていますが、なかなか成約しないことでも知られています。

 

榊 淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『マンション格差』(講談社現代新書)など。

 

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