「未公開物件を多数、公開中です」
横浜駅前で たまたま通り掛かった 某不動産会社の店頭にデカデカと表示されていた看板ですが
目に止まり、しばらく注視した後、思わずニヤリとしてしまいました。
未公開を公開中・・・?なんじゃそれ。
つまり この看板の言いたい事は、「一般の広告などでは公開していない物件情報を紹介しますよ」と言ったところですね。
不動産会社が謳っている【未公開物件】という言葉を目にされた事があるのではないでしょうか。
お客様の中には【未公開物件】って、掘り出し物!?と思われている方もおられる様です。
この言葉からは 「まだ他の不動産会社は取り扱っていない、極秘情報」といったイメージがありますが実際にはどうなのでしょうか。
売却物件の情報について公開するにあたって、
宅建業法、及び、不動産の表示に関する公正競争規約 の2つのルールに従わないといけません。
一般の方が、所有する不動産を売却される場合、売却のご依頼を受けた不動産業者は、
国交省が管理している不動産業者間の共有データベース「レインズ」に物件情報を必ず登録しなければなりません。
「レインズ」は、全国の不動産業者が閲覧し、そこに登録されている物件情報を 各社の顧客に紹介出来るシステムで
これにより、より広く情報を拡散し、ご依頼された売主様が 買手を早期発見する事が出来る訳です。
宅建業法で、不動産業者は、売却依頼(媒介契約)を受けた場合、1週間以内に この「レインズ」への登録が義務付けられています。
また、一般向けの不動産広告への掲載は、その取扱い業者の費用負担にて適時、掲載されます。
また、新築分譲住宅などの場合。
売主は宅建業者になりますので「レインズ」への登録は、売主業者が自ら行う事が多いです。
ただし、一般向けの不動産広告については、開始時期が決められています。
新築戸建の場合は、建物の建築にあたっての、行政から建築許可「建築確認」を取得以降となっており、
まだ更地で、建築許可が取れていない物件を、一般向けに「新築戸建」として募集や、広告する事は出来ません。
基本的に、私共、不動産業者が取り扱う物件情報には、上記の様な種類とルールがございます。
【未公開物件】と言われる情報とは
まず、売却依頼を受けたにも関わらず、売主、買主 各方から仲介手数料を目当てとした「囲い込み物件」です。
宅建業法で定められた「レインズ」への登録を行わず、自社のみで広告宣伝を独占して行う
これは宅建業法に違反し、さらに、お客様である売主様への背任行為でもあります。
また 【未公開物件】と言われる情報で 最も多いのは「新築分譲住宅」です。
正規の手続きでは、行政に建築許可の申請を行い、審査を受け「建築確認済証」という許可証の交付を受けてから
「レインズ」に情報を登録、全国の不動産業者がその情報を元に 営業活動を行うのですが
売主業者は、出来れば早く買手を見つけて売却したい。
また 仲介会社も他社より早く販売活動をし、集客・成約に結び付けたい。
ですが、前記の様なルールがございますので、広告したくても出来ないので あたかも「掘り出し物」の様な物言いをしているのです。
未公開の新築戸建(予定)の場合、売主業者は用地仕入れをしたばかりで、建物完成まで、何か月もの期間を有しており
自社の事業計画に基づいた、売主業者にとって理想的な価格設定となっております。
ですから、この早すぎる段階で 値段を落としてまで売り急ぐ理由は全くありませんので、割安物件とは言えません。
また、ご注意いただきたい点としては、建売住宅の「青田売り」の場合、売買契約は「土地付き建物」としての契約が出来ません。
それ故、ご購入の際は、「土地売買契約」と「建物請負契約」として2つの契約を結ぶ事になり、
この場合、土地の代金のお支払いの後、建物の建築が始まります。
つまり、「建築条件付き土地」と言う取扱いになってしまいます。
「建築条件付き土地」については、先日 弊社が監修しておりますNHKドラマ「正直不動産」でも取り上げられていましたが 私のブログでも以前 解説させていただきましたので、そちらもご参照いただければと存じます。https://www.reds.co.jp/p71748/
【未公開物件】という情報は、お客様によっては 物件をお探しの条件的に、よほど合致している場合を除き、
それほどメリットが多い訳ではなく、むしろ不動産業者にとって都合の良い物である・・・と言う事をご承知おきいただきたいと存じます。
「不動産には掘り出し物はありません」
何はともあれ、こう言った物件についても、【REDS】へ、どうぞお気軽にご相談下さいませ。