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リチャード M.ナッシュRichard M. Nash

気候変動リスクを考慮しない物件査定は果たして有効か?

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公開日:2021年2月15日

     気候変動による相次ぐ水害とそれが住宅にもたらす損害を鑑み、去年の8月28日より水害リスクに関する情報をハザードマップも含めて重要事項説明書に詳しく載せるよう法律が改定されました。しかし、住宅を脅かすリスクは他にもあります。地震リスク、土砂災害リスク、そして火山噴火リスク等があります。果たして、この様なリスクは住宅物件の査定価格に反映されているのでしょうか?

     良く考えてみれば、同じ地域にあっても災害リスクの高い場所に在る物件とそうでない物件の価値は、リスクプレミアムを考慮すれば、自ずと違ってくるべきだと私は思います。ところが、実際は用途地域、駅からの距離、敷地面積や築年数等の要素が同じであれば物件価格は基本的に同じです。簡単に言えば、「坪単価X坪数」で決まってしまいます。浸水を含む水害リスク、地すべりに代表される土砂災害リスクや、地盤の強さで変わる地震リスクは不動産価格の算出に残念ながらほとんど考慮されていません。

     従って、気候変動や天災リスク等が不動産価値に及ぼす(べき)影響の認識はプロの世界でも今は薄いですが、年々災害の頻度や規模が大きくなればなるほど、住宅物件の査定の面でも価値を算出する際にこれらのリスクを考慮したものを消費者は求めてくるようになるでしょう。査定方法が、リスクの低い物件の価格を割高にするのか、それともリスクの高い物件の価格を割安にするのか、どちらの「式」になるかは分かりませんが、AIの時代になっている昨今ではそう難しいことではないでしょう。

     しかし、アメリカの様に将来的に訴訟の可能性を考えると、特に買手側の仲介を扱う不動産業者は、災害リスクを正しく反映した妥当でフェアな査定価格をもとに物件の取引が行われるように努力することが法的に義務付けられる時代はそう遠くないと私は考えます。

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