1月15日の日本経済新聞の夕刊・社会面に、私が気にしているニュースの続報があったので、少し触れたいと思います。
記事の見出しは「調布の地中新たな空洞 陥没現場の近く」というもので、前年の10月に発生した調布市の道路陥没事故(?)の続報となります。
そもそもこの事故は、ある日突然に住宅街の道路が陥没して「長さ約5M・幅約2.5M・深さ約5メートル」という大きな穴が発生したというものです。
当該箇所の地下では東日本高速道路が外環道のうち東名高速と関越道を結ぶ区間のシールドトンネル工事を行っており、当初は「因果関係は不明」としていたものの、原因の調査を進めたのちの12月に工事との因果関係を認めたという経緯があります。
実は、この陥没事故現地近隣の地下には、まだ陥没をしていない「空洞」が前年のうちに2か所発見されていたのですが、今回新たな空洞が発見された、というのが今回のニュースです。
今回のトラブルが発生した原因は東日本高速道路による地下深くの高速道路工事にあるようですが、それが確かであれば、この事故は単なる事故にはとどまりません。
なぜかといえば、この道路工事は「大深度地下」における特別措置法を利用した工事であるからです。
「大深度地下」とは、おおむね深さ40メートル以上を指しています。
この深さでの工事は「地表への影響はない」とされており、公益事業に限って土地の所有者に事前に補償することなく利用できるのです。
そのため、道路や地下鉄などで地中が混雑している大都市では、インフラ整備の費用や工期を縮める重要な手法とされています。
ところが、今回の事故によって、「地表への影響はない」という大前提が覆されてしまいました。
大深度地下における今後の工事においては、施工する側は従来より慎重な計画を求められると思います。
ですが、大深度地下の工事における知見が十分ではない現状において、施工者側がどれだけ万全をアピールしたところで、地上における不動産所有者がすんなりと納得するとは思えません。
外環道の工事は大幅な遅れはもちろんですが、計画を大幅に変更する必要に迫られそうです。
大深度地下工事といえば、現在計画中の「リニア新幹線」にも影響が出そうです。
JR東海はリニアを建設する予定の首都圏や名古屋において、大深度地下利用の認可を受けていて、今年掘削を始める予定となっています。
リニアは都内や川崎市内などの住宅街の下を通りますから、予定地周辺の住民をどのように説得するか・・・
ここにきて重大な課題が発生したわけです。
個人的には「リニア=未来の乗り物」という憧れを持っていて、一日も早い開通を期待しているのですが。
大深度地下工事の問題は今後も興味深く追っていきたいと思います。