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公開日:2025年6月24日  井原 直樹

株価暴落で不動産価格は下がる? 断言できない理由を考察

REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの井原です。

株価の暴落が不動産価格に与える影響として「下がる」があるとされます。しかし、一概に「下がる」と断言できるものではありません。多くの要因が複雑に絡み合うため、状況によってその度合いや結果は大きく異なるからです。

今回はその理由を考察します。

不動産価格

(写真はイメージです)

株価と不動産価格の連動性

一般的に、株価と不動産価格には「ゆるやかな連動性」があると言われています。特に都心の投機的な不動産や、REIT(不動産投資信託)のような金融商品と不動産価格の相関性は高い傾向にあります。

資金の流動性

株価が上昇すると、企業の業績が好調になり、投資家の資産が増加します。これにより、不動産投資への資金が潤沢になり、不動産需要が高まる傾向があります。逆に株価が下落すると、投資家のリスク回避志向が高まり、不動産投資を控える可能性があります。特に、株式市場と不動産市場の両方に投資している富裕層や機関投資家は、リスク回避のために不動産投資を抑制することが考えられます。

投資家心理と景況感

株価の動きは、経済全体の景況感を測るバロメーターのひとつです。株価が上昇すれば、経済全体への期待感が高まり、不動産価格もさらに上がるとの焦りから需要が増幅されることがあります。しかし、株価が暴落すると、経済への不安が広がり、消費や投資が冷え込み、不動産購入を躊躇する人が増える可能性があります。

タイムラグ

株価が数秒で変動するのに対し、不動産の売買は売却決定から契約成立までに時間を要するため、株価変動が不動産価格に影響を与えるまでにはタイムラグが生じると言われています。一般的には、株価の影響は半年程度遅れて現れることが多いとされています。

株価暴落が不動産価格を下げるメカニズム

株価暴落が不動産価格に下落圧力をかける主なメカニズムは以下のとおりです。

資金調達の悪化

株価暴落は金融機関の貸し出し姿勢を慎重にさせ、不動産購入におけるローン金利の上昇や融資基準の厳格化を招く可能性があります。これにより、不動産購入者の資金調達が困難になり、需要が減少することで不動産価格が下落することが考えられます。特に、レバレッジをかけて不動産投資を行っていた投資家は、資金繰りの悪化から物件売却に走る可能性があり、これが市場への供給過多を引き起こし、価格を下げる要因となります。

企業業績の悪化とオフィス需要の減少

株価暴落は企業の業績悪化を招き、リストラや事業規模の縮小につながることがあります。これにより、企業のオフィス縮小や統廃合が進み、商業用不動産の賃料や価格が下落する可能性があります。

消費マインドの冷え込み

株式資産を保有する個人投資家にとって、株価暴落は資産の目減りを意味します。これにより、消費マインドが冷え込み、住宅購入のような高額な買い物への意欲が減退する可能性があります。

海外投資家の動向

近年、日本の不動産市場には海外投資家からの資金流入が増加しています。世界的な株価暴落は、海外投資家のリスク回避姿勢を強め、日本市場からの資金引き上げを招く可能性があります。これにより、特に都心の高額物件の価格が下落するリスクがあります。

デベロッパーの倒産と供給過多

景気悪化や株価暴落が長期化すると、不動産デベロッパーの資金繰りが悪化し、倒産に至るケースも出てきます。この場合、建設途中の物件や仕掛かり中の用地が投げ売りされるなど、市場に供給過多をもたらし、価格下落を加速させる可能性があります。

歴史から見る株価暴落と不動産価格

過去の歴史を見ると、株価暴落が不動産価格に与えた影響例はさまざまあります。

バブル崩壊(1990年代初頭)

1990年からの株価暴落に続き、地価も大幅に下落しました。これは、当時の過度な投機と政府の総量規制(不動産融資の制限)が重なった結果であり、株価と地価が密接に連動して下落した典型的な例です。

リーマンショック(2008年)

世界的な金融危機により株価は急落しましたが、日本の不動産価格は比較的緩やかな下落にとどまり、その後比較的早く持ち直しました。これは、日本の金融機関がリーマンショックの震源地であるサブプライムローン問題へのエクスポージャーが限定的であったことや、実需に支えられた不動産市場の底堅さがあったことが要因として挙げられます。

これらの歴史的経緯からもわかるように、株価暴落が不動産価格に与える影響は、その時の経済状況、金融政策、不動産市場の需給バランス、さらには政府の政策など、さまざまな要因によって変動します。

株価暴落時における不動産価格の「選別」

株価暴落が起きても、すべての不動産が一律に下がるわけではありません。むしろ、「どの物件が本当に必要とされているか」という「選別」が始まる局面となります。

実需に根ざした物件の底堅さ

交通利便性や生活利便性に優れ、子育て世代や共働き世帯など、地に足のついた実需層のニーズが強いエリアや物件は、価格の下落が限定的であるか、比較的早く回復する傾向があります。郊外エリアなど、都心ほど価格の上下動が大きくない地域もこれに該当します。

投機的な物件のリスク

高利回りや将来の値上がり期待だけで購入された都心の投資用マンションや、ブランド力だけで実需とかけ離れた価格になっている物件は、株価暴落時に最初に価格調整の対象となる可能性があります。

不動産価格に影響を与えるその他の要因

株価暴落以外にも、不動産価格に影響を与える重要な要因は多数存在します。

金利動向

金利の上昇は住宅ローン金利の上昇を意味し、月々の返済額が増えるため、不動産購入者の購買力を低下させ、不動産価格に下落圧力をかけます。逆に金利が低下すれば、不動産購入のハードルが下がり、需要が高まる可能性があります。

人口動態

人口減少は、長期的に見て不動産需要を減少させる要因となります。特に地方では、人口減少が進むことで不動産価格が下落するリスクが高まります。一方で、都市部では引き続き人口流入が見込まれるため、需要は底堅いと予測されます。

経済政策・都市計画

政府や地方自治体の経済政策、都市計画、インフラ整備なども、不動産価格に大きな影響を与えます。例えば、大規模な再開発や交通網の整備は、その地域の不動産価値を高める可能性があります。

供給量

新築物件の供給過剰は、既存物件の価格を下げる要因となります。逆に供給が絞られれば、価格は安定するか上昇する可能性があります。

建築費の高騰

人件費や資材費の高騰は、新築物件の価格を押し上げる要因となり、結果として中古物件の価格にも影響を与えることがあります。

結論:株価と不動産価格は複合的影響を考慮すべし

株価暴落は、不動産価格に下落圧力をかける主要な要因の一つですが、それが即座に不動産価格の全面的な暴落につながるとは限りません。むしろ、以下のような複合的な影響を考慮する必要があります。

ゆるやかな連動性とタイムラグ

株価と不動産価格は長期的にゆるやかに連動する傾向がありますが、不動産価格は株価より遅れて変動します。

資金流動性と投資家心理の変化

株価暴落は投資家のリスク回避姿勢を強め、不動産投資資金の減少や購買意欲の低下を招きます。

金利動向と金融機関の融資姿勢

金利上昇や融資基準の厳格化は、不動産購入者の資金調達を困難にし、価格下落につながる可能性があります。

「選別」の加速

投機的な物件は下落しやすい一方、実需に裏付けられた立地や質の高い物件は底堅い可能性があります。

その他の複合的要因

人口動態、経済政策、供給量、建築費など、さまざまな要因が不動産価格に影響を与えます。したがって、株価暴落が不動産価格にどのような影響を与えるかを予測するには、単に株価の動きだけでなく、金利、経済政策、海外投資家の動向、地域の人口動態、そして個別の物件が持つ特性など、多角的な視点から分析することが重要です。

最後に

不動産市場は株式市場に比べて流動性が低く、価格の変動も緩やかなため、短期的な株価の動きに一喜一憂するのではなく、長期的な視点を持って判断することが賢明と言えるでしょう。

 

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