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最終更新日:2022年1月20日
公開日:2016年9月7日

「家売るオンナ」【第8話】解説―不動産会社や担当が不満ならチェンジはあり!?

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日本テレビ系ドラマ「家売るオンナ」(毎週水曜夜10時より放送)は、不動産会社の営業チーフ三軒屋万智(北川景子)が、毎回、奇想天外な手法で家を売りまくるドラマです。
最初は、彼女の強烈な言動を煙たがっていた職場の同僚たちですが、次第に彼女の「不動産屋の仕事は家を売ることです」という揺るがぬ信念と顧客への真摯な対応に心動かされ、シンパとなる人も増えてきたようです。エリート社員の足立(千葉雄大)、新米社員の庭野(工藤阿須加)、ダメ社員の白洲(イモトアヤコ)などの面々です。
職場の雰囲気も、彼女を中心に徐々に積極的な姿勢に変わってきています。課長の屋代(仲村トオル)も彼女を認めざるを得ない、といったところでしょう。

今回もドラマで語られる不動産営業について、気になった点をピックアップしてご紹介しましょう。

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不動産会社の営業担当替えは簡単にしてもらえるの?

足立は、朝からテンションが上がっています。それもそのはず、今日は「日本一かわいいお天気お姉さん」「6:58の恋人」と呼ばれる人気急騰中の気象予報士、前原あかね(篠田麻里子)のアポがあるのです。庭野もあかねのフアンで、すっかり嬉しくなり、お茶出しを引き受けます。

ところが、マネージャーの津田順(和田正人)と現れたあかねは、禁煙のオフィスでいきなり煙草をふかし、ヤンキー言葉で啖呵を切るような傍若無人の振る舞いをします。しかも、実は津田と結婚しているというのです。
自分の出演するテレビ日本から徒歩10分以内の家を探せというあかねですが、足立と庭野はテレビで観るあかねと現実とのギャップにすっかり動揺して、ドギマギするばかりです。

話を終え会社を出たあかねですが、津田に電話をさせ、屋代課長に「あの二人が担当じゃ心許ない、家を買うことは重要なことなので、神経質になっている。担当を替えろ」と主張します。
屋代は「それではウチのNo.1の三軒家万智を担当にします」と、あっさりとそのクレームを受け入れ、担当を替えてしまいました。

でも、不動産営業は個人の成績やノルマが厳しい世界だと、このドラマでも何度も語られていますよね。現実の世界でも、顧客からのクレームで、こんなに簡単に担当替えが起こり得るものなのでしょうか?

担当は変えられます。不安や不満があれば、先方の上司に相談してみましょう

インターネットの不動産に関する相談コーナーなどでも
「不動産会社の担当が信頼できない、不満があるのだが、替えてもらえないものだろうか」
という悩みや質問は意外に多いものです。
でも答えは簡単。会社に希望を伝えれば、当然担当は替えてもらえます。

不動産会社の営業担当者の割り振りは、ドラマの様に来店予約を取った者が担当になる、と決められているわけではなく、

  • その時点で一番担当案件が少ない者
  • 来店時に在席した者
  • 購入希望地域の担当の者
  • 上長が権限で指名する者

など、各々の会社で千差万別のルールによって決められています。

しかし、それは各社の内部ルールですから、実際に購入を検討するお客様が、担当者に不安や不満があって替えてほしいと感じるならば、それは、はっきりと会社に伝えるのが正解です。

重要なことだからこそ、信頼できる人に依頼することが重要

あかねが言うように、家を買うことはまさしく重要なことですので、信頼に足る人を担当にしてもらいたい、というのは当たり前のことです。
その場合は、本人に言うのではなく、本人よりも立場が上の責任者に、そう思うようになってしまった事実とともに明確に伝えることが必要です。
それでも事態が改善しなければ、その不動産会社とはお付き合いを避けた方がいいでしょう

担当変更は、不動産会社側は真摯に受け止め対応すべき

もちろん、担当替えは、会社にとっても担当者にとっても屈辱的なことであるのは間違いありません。真摯に受け止め、その原因が何であるかを追究し、会社も担当者も改善していくことが必要です。

足立は、信頼に足ると思わせることのできなかった自分に不甲斐なさを感じて、新たな担当の万智に全面協力を誓います。
同じく庭野も全面協力を誓いますが、こちらは単に万智のことが好きなだけのようで、もう少し反省した方がいいような気もしますが…。

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探偵みたいな身上調査 不動産営業ってそこまでするの?

万智は新担当者として、津田に会いに行きます。
すると津田は、実は自分も気象予報士で、あかねはアシスタントとして働いていたが、結婚後はあかねの人気が上がり、自分は失業。
今は主夫として、マネージャーとして、あかねの身の回りの世話をしているだけで、彼女はもう自分を必要としていないのかもしれない、と語ります。
そんな話の途中で、津田にかかってきた電話の様子から、万智は津田に浮気相手がいるのではないかと疑います。

会社に戻った万智は、全面協力を申し出た足立と庭野に「オンナがいるはずだ!旦那を探れ!」と命じます。
「それは不動産屋の仕事ではないのでは」と異を唱えた庭野に、万智は「家を売るためです」と言い放ち、2人に津田を尾行させます。

不動産営業は、そこまでやらないといけないのでしょうか?

「本人確認」は契約時には義務化されています

不動産業者は、不動産の購入希望者に住所・氏名・年齢・職業などの他に、配偶者や子供の数、購入の動機などプライベートなことも確認します。
これは、できるだけお客様のライフスタイルや希望、収入に見合った物件を紹介するために行うものです。

また売買契約締結時には、犯罪収益移転防止法に基づき、宅地建物取引業者は売買当事者の本人特定事項(住所、氏名、生年月日)、取引を行う目的、職業を確認し、確認記録と取引記録を作成して、7年間保存しなければなりません。

でもさすがに探偵まがいのことはしません!

しかし、足立や庭野のように何日もお客様を尾行するなんてことはしません。
ましてや、万智のようにお客様のデート相手(浮気相手?)に話しかけ、勝手に帰してしまうような真似などできるわけがありません。
こんなことがバレたら、重大なプライバシーの侵害として訴えられてもおかしくありません。ですのでこれはもちろん、ドラマならではの出来事です。

「ひとつ屋根の下で一緒に暮らすなら、それは家族です」

万智に浮気をとがめられた津田は、たとえ男と女としては終わった関係であっても、あかねが一番大切な存在だと気づきます。
結婚していたことを週刊誌にすっぱ抜かれて荒れるあかねに、万智は天窓がある家を紹介します。
気象予報士としての初心を思い出した2人に「人間としてお互いを必要としている2人は離れることができません」という万智の言葉が沁み渡り、成約に至ります。

そして一方で屋代は、成約の報告にきた万智が発した「ひとつ屋根の下で一緒に暮らすなら、それは家族です」という言葉にヒントを得て、バブル時代の遺物として売れ残っていた5SLDKの家を、元妻の理恵(櫻井淳子)に売ることに成功します。

実は、屋代は理恵から、2度目の離婚で得た家を売却して新しい家を購入したい、そして2人でやり直したいと迫られていました。
しかし、屋代は復縁を断り、理恵と理恵の離婚仲間3人に5SLDKの家をシェアハウスとして、家族のように暮らしてみてはどうだと提案し、受け入れられたのです。

流石、屋代課長です。だてに課長はしていません。一石二鳥の提案でした。

シェアハウスの現実

「テラスハウス」という番組のおかげで、シェアハウスは、一躍住居形態のひとつとして市民権を得ました。

都心部の20代から30代の女性がほぼ7割を占めるというシェアハウスの需要層ですが、今後ますます需要は広がると予想されています。その要因として大きいのは経済的な理由です。
4LDKの家を4人でシェアすれば、1人当たりの家賃が周辺の1DKよりも安くなり、しかもランクの高い物件に住むことができることが往々にしてあるからです。地方の空き家対策としても有効だといわれています。

近年では、ゴルフやサバイバルゲーム、テニスなどの趣味を共通とする人向けのシェアハウスや、ドラマの様にバツイチで将来に不安を持つ女性向けのシェアハウスなど、共通項を持つ人向けのものも増加しています。
シェアハウスのニーズはどんどん上がってきており、現在では専門の不動産会社や運営会社も設立されています。屋代課長の目の付け所もまんざらではありませんね

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今回は、家を売ることよりも、あかねと津田、屋代と理恵、万智と足立と庭野、などの人間関係に重きを置いたドラマに仕上がっていたような気がします。
もっと硬派な万智を次回は観てみたいと期待しています。

(監修:不動産流通システム)

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