不動産のリアルREALITY OF REAL ESTATE

  • 最終更新日:2020年10月23日
  • 公開日:2020年3月10日

2020年、「マンション売却するなら東京五輪前」は本当か?

2020年夏、ついに東京オリンピックが開催されます。前回の東京五輪は1964年ですから、56年ぶりの開催です。

 

前回メイン会場として使用された国立競技場の建て替えなど、各地で会場や道路などが整備されている他、キャッシュレス決済の普及や山手線の新駅開業など、開催に向けての準備が日本経済の発展に大きく貢献しています。

 

一方、景気好調の要因が東京五輪であるということから、「五輪後には経済が低迷し、マンション価格が大きく下落する」といった予測が報道されています。この予測が当たるかどうかは正直、その時になってみなければ分かりませんし、その影響には地域格差もあるでしょう。

 

ただし、東京五輪以降にマンション価格が下落すると考えられる要因がいくつかあるのは事実です。本稿では、今マンションの売却を考えている方はオリンピック前に売った方が良いのかについて解説します。

 

不動産と時期

(写真はイメージです)

 

東京五輪の前に売却を進めた方が良いとされる4つの理由

 

① 既に現在のマンション価格はバブルを超えている

 

不動産経済研究所の調査によれば、2019年の首都圏新築マンションの平均価格は前年比1.9%増の5,980万円(㎡単価では87.9万円)。また全国平均では4,787万円となり、これは1973年の調査開始以降の最高値を更新しています。つまり、1990年頃のバブル経済の頃を既に超えているということです。

 

一方で、厚生労働省の調査によれば、世帯年収はバブル期である1994年の664.2万円が最も高く、2015年には545.8万円まで落ち込んでいます。現在はマンション価格は上がっているけれど世帯年収は落ち込んでいるという状態。マンション購入は「高嶺の花」なのかもしれません。事実、2019年、東京都区部では約13,700戸のマンションが販売されましたが、2019年12月末現在の契約戸数は約10,600戸、約3,000戸が売れ残っている状態です。

 

もちろん、マンションは数千万円の高額商品ですので、すぐに売れなくてもゆっくり販売していくというスタンスの不動産会社もありますが、普通は早く売れるにこしたことはありません。新築マンションが売れずに少しずつ販売価格を下げていけば、それが中古マンション市場にも波及し、中古マンションの価格も下げなくては売れなくなります。

 

東京五輪の影響を抜きにしても、今の首都圏のマンション価格は、既にギリギリのバランスで保たれているといえるでしょう。

 

② キャッシュレス消費者還元事業は2020年6月まで

 

昨今の日本経済全体に影響を与えた大きな要因として、2019年10月の消費税増税が挙げられます。

 

その影響はもちろんマンション価格にも及んでおり、例えば建物価格が4,000万円だとしたら、その2%に相当する80万円が増税されることになります。税込価格表示が普及している現在ではこの影響が見えにくくなっていますが、少なくとも増税分は確実にマンション価格が上がっているのです。

 

そして、この消費税増税を緩和するために、総務省主導でキャッシュレス消費者還元事業が展開されています。「PayPay」や「LINE Pay」、「楽天ペイ」などのキャッシュレス決済を利用することで最大5%が還元される事業です。この恩恵を受けて、日常生活では増税の影響が緩和されていますが、この事業は東京五輪と同時期である2020年6月までとされています。不動産売買でキャッシュレス決済が導入されているケースは微少ですが、これによって消費行動が落ち込めば、経済全体が落ち込んでいく恐れがあります。

 

③ 消費税増税に合わせた各種控除や給付金の期限

 

②にも関連しますが、消費税増税の影響を緩和するために、住宅購入に関する各種控除や給付金が設けられています。

 

住宅ローン控除については、これまで住宅ローンの年末残高×1%が所得税から10年間控除される仕組みでしたが、2020年12月までの入居であれば、これが13年まで拡充されます。また「すまい給付金」という制度が設けられており、2021年12月までに住宅の引渡しを受けると最大50万円が給付されます。

 

この他、次世代住宅ポイント制度や贈与税の非課税枠の緩和など、住宅購入に関する消費税増税の影響を緩和する施策が複数用意されていますが、どれも期限がありますので、少しずつ不動産市場に増税の影響が及ぶでしょう。

 

④ 建設費高騰による新築マンション価格の上昇

 

東京五輪を開催するために、新国立競技場を含めた各会場や道路・鉄道など各種交通機関の整備が進んでいます。建設業界から見れば、公共事業として安定した価格での発注が続いている状況であり、その中を、無理な価格でマンション建設を請け負う必要もないし、そこまでの余剰人員もないのが実情です。

 

しかしマンション業界としては、東京五輪で建設費が上がっているからといって「今はマンションを建てるのを止めよう」という動きは正直できません。用地は数年前から取得済みですし、自社のスタッフの給料を支払わなければなりません。規模の縮小はできても、用地取得・マンション建設・販売のサイクルを止めることは倒産を意味します。

 

したがって現在販売されているマンションは、建設会社が受注してくれる金額まで施工時の発注金額を上げなければ成立しなかったものです。この高額の施工費がマンションの販売価格に転嫁されていることも、首都圏マンション価格が高騰している要因として挙げられます。

 

オリンピックが終われば、会場整備を含めた建設ラッシュが落ち着き、施工費が下がってくることでマンション価格の下落にもつながってきます。

 

東京五輪の影響を受けやすいエリア

 

上にあげた4つのポイントのうち、消費税に関わる影響は全国規模ですが、マンション施工費の高騰については基本的には首都圏に限られます。それを考慮すると、東京五輪の影響を受けやすいエリアが見えてきます。

 

① 湾岸エリア(豊洲・有明・東雲)

 

湾岸エリアは1,000戸規模のタワーマンションが数多く供給されています。

 

大規模な新築マンションが供給されているということは、施工費高騰の影響を受けた新築マンションが多いということです。消費税の影響によって新築マンションの販売が停滞すれば、価格が下がり、中古マンションの売買価格へも波及します。

 

また、湾岸エリアは都心部へのアクセスが良く街がきれいなことから人気になりましたが、他の地域も駅前再開発などが増えてきており、湾岸エリアの魅力が相対的に弱くなっています。

 

供給されている戸数が多いだけに、中古マンション売買時には価格で比較されるケースが多くなります。売却活動を始める時期には注意が必要なエリアです。

 

② 六本木・麻布エリア

 

六本木・麻布エリアは、六本木ヒルズやミッドタウンなどIT企業が集まることで市場価格が高騰したエリアです。現在でも高級マンションが多数建ち並んでいます。

 

ですが、東京都内の主要駅でも再開発が進められており、渋谷駅前の渋谷ストリームにはGoogleの日本法人が六本木ヒルズから移転しています。JR山手線の新駅である高輪ゲートウェイにも高層ビルや商業施設ができますので、羽田空港とのアクセスなども考慮すると、外資法人が六本木エリアから離れていく流れができると考えられ、マンション価格の下落が懸念されるエリアです。

 

まとめ

 

最後に本題の「東京五輪前にマンション売却を行うべきか」についてですが、結論としましては、東京五輪そのものがマンション市場に影響を及ぼすかどうかはまだ明確でありません。しかし消費税の増税やマンションの施工費を考えると、五輪開催以降も現在のマンション価格が継続する見込みは低いということです。

 

一度下落が始まれば、湾岸エリアなどは中古マンション市場に売却物件が供給過多になる可能性があります。2020年にマンションの売却を考えている方は、早め早めの売却を考えた方が良いでしょう。

 

 

斉藤勇佑(宅地建物取引士)
大学卒業後、5年間不動産売買業務に従事。その後、不動産管理会社に転職し、分譲マンションの維持・管理を中心とした業務に5年間かかわり、現在は不動産のストック分野の業務に従事。

 

●ご存じですか? 不動産売買の仲介手数料はすべて割引!さらには無料になることを ●ご存じですか? 不動産売買の仲介手数料はすべて割引!さらには無料になることを

嬉しい口コミも
多数いただいております

  • 40代男性(マンション売却)
    こちらでマンションの売却をいたしました。
    比較した大手の不動産屋よりも専門知識が豊富に感じ、なおかつ仲介手数料も安かったのでこちらにお願いしました。
    結果、売り出し価格で1回の内覧で決まり、満足しています。
    無駄な勧誘が一切なかったのもおすすめできます。
  • 50代女性(マンション購入)
    マンション購入にてお世話になりました。
    担当の鈴木朋子さんには、本当に親切にしていただき感謝しかないです。 いつも私たちの目線になり、分かりやすいアドバイスをしてくださりました!子供への気遣いも嬉しかったです。 何より、鈴木さんの表裏のない感じが私も夫も大好きです。(笑)
    不動産購入で後悔したくない方、安心して物件探しや手続きを進めたい方にはぜひお勧めしたいです! お世話になり、本当にありがとうございました。
  • 40代男性(中古マンション購入)
    中古マンション購入にあたり、いくつかの不動産仲介会社にあたってたところ不動産流通システムさんに辿り着きました。他の仲介会社さんは営業の電話が激しく、仕事の障害になる程でうんざりしておりましたが、不動産流通システムにて担当頂いた成田さんは、押し売りする様なことは一切無く安心して物件を探せました。

    女性ならではの細かい気配りと単刀直入に物件の懸念点をプロの目からアドバイス頂き、納得のいく物件選びができました。会社名が大手の不動産仲介会社ほど知れ渡ってはおりませんが、ネットでの口コミで良いサービスが良いものとして伝わり、より多くの消費者が良いサービスが受けれる様になればと思い書き込ませて頂きました。
    大手の名前だけに騙されて無駄な手数料払うのは、勿体ないですよ。
    不動産流通システムさんで物件を売り買いするのに、大手に引けを取らないサービスをより安価に受けれますので
  • 40代女性(住み替え:購入・売却)
    不動産の売却・購入の両方お世話になりました。
    以前中古マンションを購入する際は、不動産ポータルサイトに掲載している不動産会社に問い合わせをしないと内覧ができなかったことが何度かあり、大手不動産会社に任せると、売却の際幅広く宣伝活動がされないのではないかという不安がありました。
    そこで、「囲い込みはせず、他社にドンドン広告掲載してもらい幅広い媒体で宣伝してもらう」「LINEからの問い合わせも可能」「仲介手数料が安い」の3点に惹かれ、お任せしました。
    担当の鈴木さんの明るく、お茶目な人柄も好きだったので、購入売却にかかる庶務も憂うつにならずに対応できました。 いつも家族のことや、部屋についてもポジティブなことを言ってくれるので安心してお任せしました。
    最寄駅にはないので、いつでも会って相談するというのむずかしいかもしれませんが、心配なことはメールや電話ですぐに対応してくれるので、私達には十分満足できました。
    結果としては売却も1ヶ月で売出価格で決まり、購入時のローンも紹介していただき、購入・住み替えもスムーズに決まりました。また住み替えの際にはぜひお願いしたいです。
  • 50代男性(マンション売却)
    マンション売却で、担当していただいた津司さんには本当にお世話になりました。
    次に住む所の相談と住んでいるマンションの売却を同時進行で行いましたが、分かりやすい説明と進め方の提示が手際良く、安心してお任せする事が出来ました。
    ネットで何でも調べられる時代ですが相手が何を考え、何を優先するかは会話の中でこそ分かると思います。プロフェッショナルを感じました
  • 30代女性(マンション購入)
    とにかくレスが早い。
    専門知識も豊富で、説明が分かりやすいです。
    担当してくれた方は非常に業界に通じており、ホスピタリティーに溢れていてかなり信用できます。 他社と比べて手数料もとても安いのでオススメの会社です。
  • 60代男性(戸建て購入)
    酒井智様にご担当して頂きました!細かい相談も小さな不安も毎回本当に迅速に対応して頂き、無事マイホームを購入できました!
    酒井さんは大変親切な方でREDSを選んで本当に良かったです。
    仲介手数料も無料で!今物件等お探しで検討してる方は絶対REDの酒井さんに相談してみてください!
※Google口コミより他の口コミを見る

一生に一度あるかの家の購入・売却…

相談したいけど、まだ買うか売るか決まっていない...

いきなり不動産屋さんへ相談に行くのはハードルが高い...

そんな方へ!LINEから気軽に相談でき、宅建士のプロが対応します。

宅建士が対応! LINEでご相談

LINEで気軽に相談したい方へ!